ユキノチュウゼンジ

ゆば丼セット
 ヤマメを食べたのは食べたのですが,やはり魚一匹だけでは腹はふくれません。
 夜は素泊まりで,どこまで食料にありつけるか分かっていないので(事前情報として,湯元にはコンビニのたぐいが存在しないこと,ホテルの売店にカップヌードルがあることまでは入手済。予備として夜用に金谷ベーカリーのパンを1つ残してはありました),昼はしっかり食べたいところです。
 日光というと湯葉が有名なようです(バスから見た景色がソースですが)。翌日はバスの車窓から見えた神橋近くの店で湯葉そばを食べることが内定しておりました。よって,この日は別の物を。てなわけで,「ゆば丼」という文字に惹かれて桐花というお店へ。

 ところで,今,店の名前を確認しようと「湯葉丼」で検索したところ,箱根のお店がヒットしました。昔から有る温泉地では湯葉が有名なんだろうか。そもそも,湯葉がどういう場所で名産化するのか分からないので鋭意検索したところ,基本的に門前町が産地として有名らしいです。このあたりは豆腐の歴史から紐解いていかないといかんのかもな。
 さらに,京都・身延では「湯葉」なのに対し,日光では「湯波」と表記するようです。現地にいるときは何も意識せずゆば丼やゆばそばを食べてたなあ。ちなみに,ATOKさんは西の方のメーカーのため,日光式湯波には対応していないようであります。このあたりは日光市から徳島県に対して申し入れを行っていただけると部外者的には楽しめます。

 そんなわけで,ストーブで外から,ゆば丼とお蕎麦で身体の中から,それぞれあったまりました。出てくるのを待っている間にトイレにいきつつ(トイレが離れにあってまさかここでいったん寒い目にあうとは想定外でしたが),競馬の予想。買いたい馬がなかったのでこの日はケンに決定。
 あわせて,地図を見て今後の身の振り方を再検討。
 そもそも,奥日光の素泊まりにしたのは,場合によっては湯滝あたりで下車して凍っている滝を眺めるのもありかな(その場合,バスの本数の問題もあって到着が遅れる),と思っていたからです。が,この風の強さを考えると,ちょっとそれは凍死しても文句は言えないなという結論に到達しつつあったのでした。とりあえず当初の予定通り中禅寺と二荒山中宮祠には行きます。そうしないと大金(奥日光の宿は高い!)払って奥日光まできた意味がない。

 そんなわけで,まずは中禅寺を目指します。バス停では立木観音入口となっていて,1つ分先に進みますが,距離的にはたいしたことがありません。以前はここからさらに中に入るバスは存在しなかったようですが,今では夏期には立木観音に向かってバスが走っているようです。しかし,残念ながらいまは1月。そんなバスはないので,自力で歩いて行きます。
 それはそうと,この立木観音。いや,中禅寺。中禅寺湖という名前がついているのだから当然中禅寺があってしかるべきで,当然定番観光コースに入っていておかしくないのですが,いまいちマイナーです。というか,NP自身,なにかと出てくる「立木観音」がなんなのか,と思って見てみたら中禅寺でした,という認知の仕方をしております。まあ「寺」のついた地名で寺が没落していることなんて枚挙にいとまがないのでしょうが(いとまがない,といいつつ思い浮かんだのは伊予松山梅津寺だけだったりするけれど),せっかく中禅寺湖にある中禅寺なんだからもうちょっとメジャーになってもいいような。
 そもそも,自分の誤解の出発点は,立木観音が輪王寺に紹介されているってところに発端があるんですが,輪王寺と中禅寺の関係やいかに。……と思ったら,輪王寺トップページに解答がありました。ああ,輪王寺というお寺は存在せず,「明治の神仏分離以降でも本堂・大猷院・慈眼堂・常行堂・中禅寺・護摩天堂・四本龍寺等のお堂や本坊、さらに十五の支院を統合して出来ており、その全体を指して輪王寺と総称します。」とのことであります。ううむ,本堂は本堂であって「輪王寺の本堂」ではないということか。まあ,現代人的発想で考えるからややこしくなるんだろうな。それにしても,これを知ったのが旅行から帰って2週間たってから,ってあたりが救いようがないな。それでも知れただけ,やはり復習は大事であるということなんだろうな。

 さて,距離的にはたいしたことがない,と書きましたが,たいしたことがあるのが風です。寒い。とにかく寒い。ひたすら寒い。風が強く,雪が舞います。実質吹雪みたいなものです。やばいです。あまり「やばい」という言葉は好きではありませんが,こんな言葉遣いをしてしまいたくなるくらいの大惨事です。風で雪は飛んでくるし,寒いし,自分も飛ばされそうになるし,道路は道路で歩道は雪で埋もれてて車道に足がずっぽりと入ったりなんかします。体中から体力が奪われていくのが分かります。さっき昼食休憩をとってなかったら本当に大変なことになってたかもしれません。いや,ほんと,こんな状態なんだったらバス出してください。いやあるいはタクシーに乗るべきだったのか……。

これは二荒山神社の鳥居ですね 中禅寺湖
風さえなければ気持ちいい冬晴れといえるんだけれども
右二荒山
左中禅寺
参道
板東18番霊場らしいです
まわってないからどうでもいいんだけど
序盤から案内図が
かぜで湖が荒れてます 途中にあった萬霊供養塔
雪をかき分けてのぼった形跡なし
自販機で温まろうと思っても,冬期は営業停止だったりする 冬眠するスワンたち

 必死の思いで,なんとかかんとか中禅寺に到着であります。
 お金を払って入場。お金をとるのに特段パンフレットもなんにもない様子。まあ,パンフがあったところで風が強いから読めたもんじゃないんだけど。

 まずは仁王門。
 表側(という表現でいいのだろうか)には阿形吽形の仁王像。裏側(境内側)には風神と雷神。仁王像は金網なしなのに,風神雷神には金網がついているのはなぜだろう…。とりあえず,自分が見た範囲では仁王門やこれらの像について解説はありませんでした。

ようやく着いた! 仁王門 仁王像 雷神 風神

 で,中に入ると右手に見えてくるのが鐘楼です。解説板には「本日この梵鐘の音を耳に刻まれてお帰りになることも,中禅寺参拝の思い出のよすがになることでしょう」と書かれていたので,てっきり中に入って鐘をつける(屋内に入って風をしのげる)かと思ったら,鍵がかけられていました。残念無念寒い寒い。
 反対側には石仏や石塔。

解説 鐘楼 アバカム! 地蔵や石塔。解説がないのでよく分からず
桂とご本尊 石護摩壇 延命水。寒くててを洗うと死にそうになります。
でも,ここの水は凍ってなかったな。

 さらに進みます。身代わりのこぶや愛染堂。愛染明王は開帳されておらず。
 普段あまり手袋を使ってないので,手袋をつけたまま財布から小銭を出せず,手袋を外して小銭を取り出すので,そのたびに指が死にそうになります。

身代わりのこぶ
ここに賽銭箱を
置こうと思ったのが凄い
愛染堂
中は見えず。中にも入れず
縁結びとあるものの,それ以上の解説がない…
宝珠地蔵
「金銭融通」って凄いな
単に金運アップとかとも違うんだろうし
紀文句碑と解説
その横には観音菩薩の石碑

 そんなこんなで本堂が近づいてきました。すると,後ろから1組のご夫婦らしき方が追いついてきました。まさかこんな日にほかに参拝客がいるとは。
 この寒い中に注意散漫なNPとは違い,この方々はちゃんと参拝順序を心得ておられ,まずはご本堂に向かって行かれました。すると,どうも中に入れるようです。それだけでなく,お寺の方から「説明が始まるからお前も早く来い」というような指示を受けました(言うまでもないですが言葉遣いははるかに丁寧です)。ふむ,それならば,と遅れて突撃。
 完全にお賽銭を入れるタイミング等々を逃して到着。
 ご説明によると,立木観音というのはその名の通り,立っている木を彫って作られたのだとか。なにぃ。しかも,現在でも根がついているとのことです。おー,それは凄い。しかし,さすがに観音様の足元をのぞき込むような不埒なことはさせてもらえないのでした。それならせめて写真でも,と望む俗物NPなのですが,現地にはそんな写真はなく,検索しても出てこないのでやはりそういう不埒なことはダメなのでしょう。
 で,観音様の説明が終わるとそれに引き続いてお守りの説明。握ると色が変わる云々。「黄色になったときにいいことがある」の例として,子宝に恵まれた,のはいいとしても,「ナンバーズが当たった」を出すのはどうなのよ。本当にそういうお礼状がきたのかもしれんけど,もうちょっといいお礼はなかったのでしょうか。商売繁盛あたりにとどめた方がいいような……。いや,あるいは,「宇都宮記念で後閑選手が神山選手を差したレースを1点でばっちりとった。あの差し脚はまさに仏様のご加護」くらい具体的なコメントがあったほうが……。
 あと,びっくりしたのは,なにやら無線で情報を伝えていたこと。てっきり「怪しい男が一人上がっていくから寺を破損しないか注意しろ」とでも言っているのかと思ったら,上の五大堂でもお寺の方からの解説があるため,「○人上がっていくぞ」という連絡だったのでした。

 で,こちとらゆっくり上がっていったのでまた解説の途中から到着してしまったわけですが,解説によるとこのお寺は檀家はもっておらず,日々五大明王に護摩焚きをして国のためみんなのためにお勤めしているようです。
 というわけで,解説の趣旨は,「お香を買うなり祈祷の申し込みをするなりしてね」ということで,上に描かれた龍の解説や,奥の天井に描かれた様々な花の解説など一切なし。をいをい,いいのか,それで。日光観光協会のページによると,この龍は堅山南風氏によるものらしいです。人名言われても分からんな。思ってたよりも新しい絵みたいですね。奥の天井の草花の絵は,堅山南風氏のお弟子さん34名(!)による日光の草花の絵らしいです。もうちょっとこのあたりも解説してもよかったんじゃなかろうか。
 どうも,この五大堂から見る中禅寺の景色が素晴らしいらしいのですが,これを見た記憶がまったくありません。冬だから扉が閉まってたのか,それとも単に見逃しただけか……。

観音堂と大黒堂 大黒天
これを撮っているところで呼ばれたため,
大黒堂の写真がないことに帰ってから気付いた
観音堂 裏に五大堂が見えます
灯籠 しゃくなげ 最後に鼓楼と仁王門 仁王門の上部の天女の絵 参道

 お寺をあとにして,またも死にそうになりながら中禅寺湖畔を歩きます。次の目的地は二荒山神社中宮祠。
 湖畔の奥日光方向に向かう道沿いにはいくつかオープンしているお店もあり,そのため電気の通っている自販機もありました。ここでようやく暖かいコーヒーを購入して手指を温めます。やっぱり携帯用カイロ(しかも5年くらい前のもの)だけだと限界があるな……。
 さらに進むと,展望台がありました。寄り道してる場合かとも思いましたが,せっかくなので登ってみました。結論として,「エレベーターの中は風がないから暖かい」ということが分かりました。というか,「風さえなければそこまできつくない」のですね。とにかく風が強くてきつかった……。どうも後日入手した情報によると,この日は「この冬1番の寒さでこの冬3番目に風が強い日」だったらしいです。

近代の湖畔 巫女石 展望台 Lakefront Park
解説
このあたりは「狸」と書いて
ムジナと読むことが分かります
中禅寺湖の眺め。風がなければかなり気持ちよかったと思う

 さらに歩くと,ようやく見えてきました,二荒山神社中宮祠の鳥居。ばんざい。裏参道?から進むか,湖畔を歩いて階段をのぼって入るかちょっと迷いましたが,湖畔よりもこっちの方が風も少なかろうということで裏から入りました。

鳥居!! 字はもうちょっと

 まあ,どっちから入っても距離的にたいしたことはなかったのでありますが。
 ここでバスの時間を確認し,おおよそ持ち時間が50分と判明。時間を余すなあ,寒いなあと思ったのですが,二荒山神社は見所が多く,十分時間を使い切ることが出来ました。
 いやほんと,見所が多いんです,ここ。見所が多いというか,神社側が創意工夫精神に満ちあふれていて,よく分からないことになってました。これくらいやってくれた方が観光客としては楽しくていいのですが。
 まず,目の前に現われるのは白い大蛇。「勝利の大蛇」と書かれております。男体山の大蛇vs赤城山のムカデという,あまり見ていて気持ちよくない戦いが戦場ヶ原で繰り広げられたのだとか。ううむ,戦場ヶ原ってことは結構大蛇が押し込められてたんだな。解説を読む限り大事にすべきは弓の名手猿丸のような気もしますが,猿丸については深い解説はなされておりませんでした。もしかしたら申年にきたら何かが起きているのかもしれません。
 で,拝殿の左手方向には,木の博物館。面白い形をした木が飾られておりました。神社側も遊び心があるので,見ていて面白いです。
 さらに進むと,男体山への登拝口が現われました。こんな時期に登山をしたら死人が絶えなくなるので,当然参拝禁止です。

神門(八脚門) 手水 一部凍ってました この絵は初めて見るかも
忍耐と努力
どことなく某ランドのネズミに近い
男体山の大蛇について 勝利の大蛇 拝殿に向かって屋根があるので助かります 大国殿
鯉の彫刻 木の博物館 豆知識コーナー
木の神は久久能智神というらしい 輪投げ
下の二荒山神社神苑にも
輪投げコーナーがあったな
輪投げが好きな神社なのだろうか
開運祈願
玉を2つ転がします
自由に触れてね なんに見えるか,大喜利が繰り広げられておりました
昔の大会記録 さざれ石 登拝道。山頂まで3時間半か〜 毘沙門天 恵比寿様






登拝口 鳥居 本殿 霊峰二荒山 登拝門 大黒天
登拝門 5月5日まで入山禁止です サラッと解説 登拝番付

 さらに,右手には幸運の杜への道が。雪の中突き進むべき場所ではなかったのですが,でもいろいろと細かいアトラクションがあったので満足です。
 せっかくなので瓦割りにも挑戦。お金はいいんですが,お金を出すために手袋を外すのが命がけです。ただ,この瓦割り,そもそも登山客目がけて投げられるような場所に設置して大丈夫なのか不安になります。さらに,投げて割れたのに瓦が割れやすく出来ているために全く音がせず,かえって欲求不満が高まったのでした。

幸運の杜 幸せになりたーい 幸運神社
解説を読む気力がなかったので,
御神木がどのように伸びているのかは確認せず
おみくじ 自販機かと思ったら,完全に手動でした
顔大黒滴 寒すぎて無我の境地には
達することが出来ず
……まだまだ修行が足りんな
カワラケ割り ここに向かって投げる
左奥に登山道が見え,
何も遮る物がありません
これを投げる 開運桂の木
ネットがあるため,いまいちどれがどれやら

 時計と睨めっこしつつ,最後に稲荷神社。
 平成25年3月28日で創建150周年を迎えるようです。どういうお祭りをやるのか,ちょっと見てみたい気もします。

さすがに幟が多い 鳥居 御由緒
祭日に午後2時という時間まで
書かれてるのは珍しいような気がする
きつね札 150周年のようです

 そんなわけで,八脚門(公式ページによると八脚門と唐門という呼称だった)の裏でちょっと休憩して(まあ風はやっぱり当たるんだけれど),下におります。バスまで約5分。うんうん,いい時間だ。思ったよりも見所の多い神社で,楽しめました。もうちょっと風が弱かったらよかったんだけどなー。

神門(唐門) 神門(八脚門)
この裏側に椅子があり,
ここで体力を回復できました
水神の碑
こういう場所で「メンバー」という横文字を見るのが新鮮
御神木は愛のヒメコマツらしいです
浜鳥居
どれが御神木なのか
ちょっとよく分からず
二荒山といったらこの紋 あらためて御由緒 良縁の鉄鐸

明智平華厳滝中禅寺湯元神橋本宮輪王寺東照宮二荒山神社

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