No Sun in Sandown〜サンダウン競馬観戦記その1

 イギリス第1週を締めくくるのは,サンダウン競馬です。サンダウンは平地はエクリプスS,障害はティングルクリークチェイスで知られており,ロンドンからも電車で一本で行けるため非常に有名,かつ,行ったことがある日本人もかなり多いのではなかろうかと。ですが,特に事前になにかをチェックしていったわけではなく,そのためにあとでちょっと後悔することになるのであります……。

 というわけで,まずは朝食。この国に来て初めてイングリッシュブレックファストを食べました。よくいわれるように,これはイギリスで唯一評判のいい食事です。まあ,日本人的にはもうちょっとアブラを少なめにしていただきたいところなのですが,でも確かに味はしっかりしていておいしい。なお,このあと半年以上イングリッシュブレックファストなるものを食べなかったので(高いから),これは非常にいい経験でした。

ホステル(兼パブ)外観 内部
国旗はラグビーW杯仕様かと
メニュー
おいしいのだが,
これに1500円払うかといわれると
答えはNoであります
イングリッシュブレックファスト
(ホステルは朝食込)

 さて,久々(といっても中2日)の競馬でテンションが上がっているので,早速駅へ。最寄り駅のEsherまではWaterlooから電車が出ていますので,地下鉄でWaterlooに向かい,そこからは電車で一本。簡単ですね。WaterlooはVictoriaと並んでその後なじみ深くなる駅であります。
 電車の中には新聞とにらめっこしている競馬オヤジ。こういうおじさんを見かけたときの安心感ったらないですね。

Paddington駅 Waterloo駅 この手前の円柱状の
パイプはなんなんだろうか
Esherに止まります 車内には競馬オヤジ

 電車は特にトラブル無く到着。ここから競馬場まで歩きます。なお,正解は帰りの際に判明しました。正解ルートを通れなかったのは痛恨。

 さて,到着が早かったのでそんなに人はおりませんが,それでも先行馬はおりますし,こちらにはGoogle Mapという心強い味方もおります。というわけで,迷うことはありません。というわけで,程なくして競馬場に到着。

先行馬発見 マイルストーン
いろいろな場所までの距離が書かれてます
なんかこれが建てられた歴史的経緯とか
ありそうですが……
とりあえず正門ではなさそうだけれど
早いうちに敷地内に入ってみる

 脇の入口から敷地に入りましたが,特に咎められることも,車に轢かれそうになることもなく,正門に到達しました。中に入って入場券購入。もちろんGrandstandです。なんか開門時間過ぎたばっかりで,システム立ち上げに時間がかかりました。まあ時間にはいくらでも余裕がある。

遠くにスタンドが見える 脇の門
こっちは閉まってました
入場口 チケット 入場口 Owners&Trainers

 開門とほぼ同時(11時30分)に突入したために,まだRaceCardも売りに出されておりません。まあ,気にせずに探検の旅に出ます。
 この競馬場,なんといっても裏が広い。人が少ないせいもあるんでしょうが,とにかく広々としております。そして,最大の特徴は,ウイナーズサークル(という名称は使ってないでしょうが)が独立して存在すること。イギリスのほかの競馬場は基本的にパドックで表彰をおこないますが(ぱっと思い浮かぶ例外はエプソムとKelso),ここでは独立したWinner's Enclosureが存在します。
 そして,Pre Parade Ringからパドックまでそこそこ距離がありまたパドックから本馬場までも距離があります。そして,その間にもアップダウンがあって,なんというか非常に立体的です。これは多分現地で見ないとよく分からない。うまくその立体感が分かるような写真を自分の記憶喚起のために撮りたかったのだが。
 とにかく,ロンドンからたいして遠くないこんな場所に,こんなに贅沢に土地を使った競馬場があるってのが凄い。これでロンドンの住居価格が上がって大変だとか言ってるんだから,貴族どもはもうちょっと痛い目を見た方がいいのではなかろうかと思ってしまいます。

RaceCard売場は空っぽ スタンドにも人はまばら パドック周りの雰囲気
真ん中には止まーれーのベル パドックの席 ウィナーズサークル
プレパレードリング プレパレードリング付近から見る
パドックとウイナーズサークル
上の方からパドックを見下ろす
馬はここから降りてパドックに入り,
ここをのぼってコースに出て行く

 ウィナーズサークルには,やけにリアルな女性の像。このお方こそ,今の女王のお母上,Queen Elizabeth The Queen Motherであります。かの有名なキングジョージ6世の奥様,つまり,キングジョージ6世&クイーンエリザベスSのクイーンエリザベス様であらせられるわけですね。
 あわせて,Special Cargoの銅像も。この馬は,The Queen Motherの所有馬であり,1984年にここサンダウンのGold Cup(英語Wikipedia日本語Wikipedia。冠企業が変わったらリンクが切れそう。ちゃんと自動で飛ぶようになることを祈る)を制し,また,同じくサンダウンで開催されているGrand Military Gold Cupを3連覇するなど,ここサンダウン競馬場に非常に縁の深い馬のようです。なお,Wikipediaさんによると,このGrand Military Gold Cupは,軍に所属するアマチュア騎手が騎乗するレースみたいですね。
 また,説明によると,このThe Queen Motherはサンダウンで通算72勝を挙げ,最後の勝利は2002年にFirst Loveという馬が,Grand Military Meetingで挙げたものだとのこと(勝利日は3月8日,The Queen Motherが亡くなったのが3月20日)。First Loveというと,アラフォーおじさんは宇多田ヒカルを思い浮かべてしまうわけですが,この歌は1999年発売なので馬の方のFirst Loveのデビューの方があとになります(First Loveの成績)。つまり(まったくつまってないのだが),英国王太后がジャパニーズウタダから馬名をぱくったということになります。うむ。というか,2001年ってことはこのお方は100歳オーバーだったわけで(あるいは名付けたのはもう少し早いかもしれんけど,それにしたって),100歳にして初恋ってどういう心境で名前をつけられたのでしょうか。

Queen Elizabeth The Queen Mother ウイナーズサークルを
見下ろしておられます
Special Cargo 解説

 パドック脇やプレパレードリング脇には,当地で開催された過去の大レースWinnerの名前が飾られておりました。左からエクリプスS,ゴールドカップとティングルクリークチェイス。ハンデ戦は強制G3という制度があるとはいえ,G3戦がここまで大きく扱われるってのは(グランドナショナルからしてG3なのだが)日本人的にはなかなかに興味深い。なお,ヘネシーゴールドカップがG3だというのはこのときは知りませんでした。
 エクリプスSが2009年で切れていることを考えても,おそらくこれを立てたのは2010年ころのはずで,あとから書き足しているのは分かるんだけれど,もうちょっとフォントをそろえるとかそういう発想はないんでしょうかね。ザッツイギリスクオリティ。
 あと,エクリプスSなんて完全に木に隠れていて,いったいこれは誰のために立ててるのかよく分かりません。まあ,Coralのマークが見えればそれでいいんでしょうかね。

2001年までのゴールドカップ こんな感じ エクリプスS 2002年以降のゴールドカップ 1994年以降の
ティングルクリークチェイス

 あとで撮った厩舎区画まわりの写真をどこに入れるか迷った結果,ここに。

7レース前。1頭だけのPreParadeRing 厩舎区画への出入り口。場所としては,丘の上にあたります
PreParadeRingには向かわず,直接パドックに向かっていきました

 で,スタンドの反対側,つまりコース側に出ます。
 なお,レンズについた水滴が邪魔なのはこれを書きながら写真見てる自分が一番思ってることなので突っ込んではいけない。
 スタンド前は広く,一応下りになってますが,なだらかです。これはこんなところに背の低い日本人が入ったらレースなんて見られたもんじゃなかろう。
 目をひくのが,スタンド間近に設置されている障害ですね。平地・障害兼用コースにしては障害を間近に見ることができる,素晴らしい競馬場なんではなかろうかと。今回(2015〜2016シーズン)は機会が無かったけれど,ここで障害レースを見てみたい。

スタンド前からコースを見る スタンドの立見席 障害
これは近くて素晴らしい

 続いて,スタンド内探索。
 先にまとめて書いてしまうと,スタンドの上から見下ろすスタンド裏,つまりパドック〜ウイナーズサークル〜プレパレードリングの景色が個人的には素晴らしかった。贅沢な土地の使い方,整地費用をケチったというか整地費用をかけてまで整備する必要性がないという強い意志を感じるアップダウン。すばらしい景色です。




パドックを見下ろす形の2階席 パドックの説明 なんかアンケートとってた

 馬場も見下ろします。ここサンダウンはイギリスの例に漏れずコース形状がなかなかに特徴的です。まあ,大きすぎて肉眼ではよく分からないんですが。ここに限らないですが,せっかくどこもコース形状が特徴的なのに,あまりそれをアピールしてこないのがなんかもったいなく感じます。まあ,カネを賭けて酒を飲んで盛り上がれればそれで満足なんだろうけれど,なんかもったいないと思ってしまう。

スタンド2階 WinningPost こっちは直線レースの
WinningPost
2階からの眺め 2階席 ブックメーカー準備中

 なお,このころにはRaceCard売り場は開いていたので,無事レープロゲット。表紙に出ているのはMoorcroft Boyという馬で,晩年はRacehorse Sanctuaryによって管理されていたようです。この日の4レースがこの馬の記念競走になっております。この馬の名前で検索すると,亡くなったときの記事がポンポン出てきて,人気馬であることがよく分かります。馬のWikipedia記事が無いので困ってしまうところですが,1994年のグランドナショナルを1番人気で3着,そして1996年のScottishNationalを優勝して引退した,という実績のようです。どうも怪我を克服しての勝利だったようですね。
 写真を取り損ねたっぽいけれどスタンド内では4人組のおじさんが音楽演奏。こういうのがあるのはイギリスっぽいですね。

レープロ Racehorse Sanctuary ATM トイレはこんな感じ
イギリスのトイレはどこもこんなのですね
スタンド内 プレミアエンクロージャー入口と,壁の上から撮ったその内側 フードホール フィッシュアンドチップス
カレーソースがけ

 昼食は,この旅初めてのFish and Chips。なんかカレーソースかけて貰いました。イギリス人も大量のイモをどうやって食べるか頭を悩ませているようで,グレイビーかけたりケチャップかけたりいろいろしているみたいです(アイルランドではさらに豆が加わる。というか,あの豆,朝食以外でももっと有効活用できそうなもんだがな)。日本人がご飯にいろいろのせたりふりかけかけたりしているのに似ていると言えば似ているのかも知れません。それにしたってもうちょっとバリエーションあってもよさそうなもんですが。個人的には,シンプルに塩で食べるか,マヨネーズに浸けるのが一番だと思います。ええ,単に塩とマヨネーズが好きなだけですよ。ええ,メタボですよ。
 それにしても,これに8ポンドか……。日本で1500円あったら何を食べられるのだろうか。

 そういえば,スタンド裏手にはアイスクリームの車がいました。この国でも,競馬場でアイスクリーム屋をよくみかけます。おじさんがアイスクリームをぺろぺろしてる姿はほほえましいですね。それにしても,ちゃんとディズニーから許可取ってるのかな。

イタリアなのかアメリカなのか アイスを食べ過ぎて
太ったようにみえるネズミ2匹
舐めるおじさま方


 早く着いたくせにのんびりしてたら1レースが危うくなりました。というわけで,続く。

チェダー探訪その2サンダウン競馬その2


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