伊東に行くなら競輪♪

 関東人なら誰もが知ってる伊東。勝浦のホテル三日月と並び,伊東に行くならハトヤのハトヤホテルは,CMで名前だけが知られている日本2大ホテルの一角を占めております。(ところで,同じくCMで有名なホテルニュー岡部は現在大江戸温泉物語グループの傘下らしいです。びっくり)

 しかし。三日月は「ゆったりたっぷりの〜んびり」と,のんびり路線でありますが,これは日本の温泉地としては例外にあたります。
 日本の正しき温泉は,源頼家が湯治中に殺害されるなど(どうも湯治中とはいえないらしいですが,まあ気にしない),昔から「殺」とは切っても切れないもの。温泉地というのは,もっと殺伐としており,夜は夜のお店で殺伐。昼は温泉競馬・温泉競輪で殺伐。ひたすら殺しまくるものなのであります。
 温泉地の昼の暇つぶしとしては,ギャンブルと並んで美術館がよく見受けられますが(典型は箱根),やはり殺伐と「飲む打つ買う」を実行しつつ温泉に浸るという心の動きこそが日本の正当な温泉なのではないでしょうか。

 最近苦境続く公営ギャンブル。日本は掘ればどこからも温泉が出るので,日本全国温泉競馬,という見方も可能ではありましょうが,やはり温泉競馬といえば上山というのが相場でした。しかし,ご存じの通りすでに廃止。現在もっとも温泉競馬の雰囲気を残してるのは飯坂温泉&福島でしょうか。
 競艇の場合,あまり温泉競艇というのは聞かないですが,蒲郡なんて温泉地ですな。ナイターだとあまり温泉競艇という雰囲気出ませんが。それより,温泉地としては芦原温泉の三国競艇なんかがまさに古き良き温泉地+競艇場でした(今年のGWに行きました)。この古き良きってのはさびれてるっていう意味を含んでるのが悲しいところですが。
 で,日本各地に散らばる競輪場。別府,武雄,松山と,日本の温泉地に数多くの競輪場が存在します。
 はい,前置きが長くなりましたが,そんな温泉競輪として名前に「温泉」の文字を入れてしまったのが伊東温泉競輪。あえてここに日帰りするのはなかなか悲しいところですが。一応,帰りがけに熱海駅前温泉に入って帰るというプランはありました。

 来宮から踊り子で伊東に到着。駅にみかんのゆるキャラを使った「按針祭」のポスターが。こいつは競輪場のゆるキャラと同一人物(同一みかん)なのでしょうか。

下田行き 伊東駅 こいつは競輪場のゆるキャラと関係あるのでしょうか? 踊り子

 そんなわけで,駅の外に出ます。由緒正しき日本の温泉地,という雰囲気の土産物屋が駅前に並びます。熱海もこんな感じだったので,これが静岡スタンダードなのでしょう。静岡スタンダードということはこれすなわちジャパニーズスタンダードと言って差し支えないですね。やはり日本の温泉地といえば温泉まんじゅうを売ってるお土産屋さんなのであります。
 さて。それはさておき,自分がやらないといけないのは競輪場行き無料バスに乗ることです。
 伊東に限らず,競輪場行き無料バスバス停というのは端っこにひっそりと,場の雰囲気を壊さないように立っています。端っこどころか別の場所だったり,下手するとバスターミナルがある出口と逆の出口だったりもします。せっかく無料バスがあるのにバス停が見つからずにタクシーに(徒歩に)……という痛い経験を持っている人も少なくないかと思います。伊東の駅前を見ても,まさに温泉観光地。「それっぽい」おじさんおばさんが見当たりません。まあ,踊り子なんていう特急で伊東駅に着いたのがいかんのでしょうな。しかし,もう昼。早いところ競輪場でご飯を食べたい時間です。ぐる〜っと周囲を歩いて改札付近に戻ると……よーやく矢印発見。ぎりぎり12時発のバスに間に合いました。

伊東駅 バス乗り場の案内
細すぎて最初は気付かず
バス乗り場
やはり外れた場所にあります
12:40発のバスが12時前に待ち構えているあたり,
バスが余ってるのか…

 バスに揺られて山の方へ。なにゆえ伊東まで来て山に向かうのか……。そこに競輪場があるから。何もうまくないですな。
 しばらくして到着。山の中です。ここなら景勝地「伊東」の環境を害することがありません。同じ海沿いの温泉競輪でも,海の近くにある別府とは真逆の方針ですね。面白い。

無理に横文字(しかもイタリック)を使ってるあたりがナイス 逆側。思えば山まできたもんだ 50円投入ゲート型ではなく,
入場券型
入場口

 バスから10人ほどの客が降ります。山の中。セミが鳴いています。
 入場券を買って入ると,なんとなく雰囲気は玉野を思い出しました。まあなんというか,まさしく寂れている競輪場です。旅打ってる人間としてはこういう雰囲気が好きなのですが,競輪業界としては困ったモノですね。
 新聞は小田競とひかりの2紙だったかな?メモってないので覚えてないです。ひかりを購入。このひかり,1面のみカラーです。そして,1面に載っているのは1レースと2レースです。レース順に紙面が並んでいるのは見やすいのですが,そのために「もっともグレードの低いレースがカラー刷り」という紙面構成になっております。競馬業界などからしたら考えられませんな。ただ,競輪予想紙にカラーなど不要であり,正直,中途半端にカラー刷りにするくらいなら全部モノクロにして100円安くしてくれ,といいたいですが。

 活気のある場は初心者ガイダンスコーナーに活気がある(活気がある=新規参入客がいる,なのだから当たり前か)のでありますが,伊東には……あるわけありません。もうちょっと「温泉ついでに初競輪☆」というカップルアベックなんかがいてもよさそうなものですが,どう見ても地元民という雰囲気の人しかおりません。う〜ん,悲しいねぇ。

「遠距離の方は,郵送(書留)
でも払戻し致します」
というあたりが遠方からの
温泉客を想定していて,
いかにも温泉競輪な雰囲気が出ています。
寂れた初心者ガイダンスコーナー
ここに堂々と入っていける人は
もはや初心者とはいえない
ガイダンスコーナーの中には一応説明が 反対側に競輪ビデオ
当然何も流れていません
もはや「ビデオ」という言葉が
死語になりつつあるんだよな……
七福神や花火の写真
さすが温泉競輪,といいますか……
ここまで来て誰が見るのだろう
場内案内図

 さて,暑いので,特観席を目指します。貧乏学生時代は特観席に行く人を見下してましたが,ブルジョワ成金社会人としては1000円以下の特観席なら暑さ対策としてペイします。

 特観席は,第4スタンドの2・3階に位置します。が,節電のため(経費節減のため),3階のみオープン。到着は午後1時ころだったかと思いますが,この時点で240席のうち前方(日光が入る)数席が残るのみ(最終的に完売)。暑い夏の日曜ということもあり,さすがに特観席は1階だけなら埋まるようです。が,ここの特観席は特になんの変哲もない特観席で,別に飲み物がただになるわけでもなく(ただ,コーヒーが出てくる点が違う),冷房の価値しかありませんでした。しかも,岸和田全日本選抜は無音声放送のため,結局音声放送のある下のスタンドで観戦してる時間の方が圧倒的に長かったのでした……。

第1スタンド お知らせとお願い
コーチ屋ではなく「コーチャ」なのがポイント
ひかり 第4スタンドの飾り
特観席入場券 特観席からの眺め 特観席内ドリンクサービス もう一回場内案内図

 さて,特観席に入って荷物を置いたところで,次に腹を満たさねばなりません。腹が減っては戦ができないのであります。
 一応事前にちょこっと勉強はしていきましたが,特に目立った名物は無い様子。ということで,おじさんたちが食べてたラーメンを食します。最近の魚介系ラーメンやらなんやらとは違う,昔ながらのラーメンです。
 スタンド裏には湯茶接待所(なぜか特観と名称が異なる)があり,ここでは紅茶が飲めます。コーヒーが出てくる特観との差別化という意味ではよいですが,結局特観のありがたみが薄いことに代わりは無いですな。みかんキャラがお出迎えしてるんだからオレンジジュースでも出てこないもんでしょうか。

ラーメンコーナー ラーメン こぼれている麺を鳩が突っついております 特観席は横文字ですが,
一般客向けには
昔ながらの「湯茶接待所」であります
特徴ある食べ物としては,
味付けタコ200円が挙げられそう
お酢に漬けたタコの足であります

 でもって,車券を買いつつ場内探索。基本的にバック側には進入禁止。3コーナー付近に,「伊東温泉七福神」の絵が飾られておりますが,近くまで行けないのでいったいどういう意図で誰を対象に絵を掲げているのかよく分からない状態になっております。オケラになった人が神頼みして賽銭を払って再戦を誓う……という展開を期待してるのかなぁ。でもそれなら七福神めぐりの地図を配るべきだよな。
 しかも,場内には神社があります。祭神は不明。

 すでに書いたとおり,第2スタンド1階でしか岸和田全日本選抜の音声放送が流れていないので,基本的に主戦場はこの付近になってしまいます。
 第1スタンド〜第2スタンド1階は,夏の雰囲気漂う開放的なスタンドであります。特に第2スタンド1階は,温泉競輪らしく丸テーブルがあって家族で楽しめるようになっております。大井内馬場のイメージですな。まあ,家族で楽しめるような雰囲気か,というと全然そんなことはなく,雰囲気は鉄火場に近いわけですが。
 それにしても,同じ温泉競輪である別府と比べると,雰囲気は真逆です。新設スタンド+エアコン完備で快適な室内空間を演出する別府に対し,開放的で夏の風がながれる伊東。昭和の温泉競輪伊東と平成の温泉競輪別府,という感じです。まあ別府も外に出て競輪温泉に行ってみれば雰囲気は昭和なのですが。
 また,ここの特徴として,堂々と消防車が待ち構えていることが挙げられます。子連れのお父さんが子供に見せるため…ではなく,どう考えても騒擾時に荒くれ者に対して放水するためにいるとしか思えない位置取りに鎮座しております。ぶっかけられないように平穏に過ごすNPでありました。
 さて。伊東の紹介を見ると,「サンサンバンクにしては直線が長く,追い込みが決まる」とあります。というわけで,これに期待してちょっと穴目に買うわけですが,期待に反して逃げが決まるからもうどうしようもないです。外れに外れを重ねます。一応,岸和田で少しかすりましたが,全体的に惨敗。
 ところで,人生で初めて,締め切りのベルが鳴ってから車券を買いました。ベルから2分程度は車券を売ってたように見えましたが,伊東以外もこんな感じなのでしょうか。いかんせん人生初の出来事だったのでよく分からんぞ。

神社 これも伊東ならでは
「地震の際のお願い」
地震が起きないことを
心から願うばかりです
スタンド裏 これも温泉ついでの一見さん向けかな?
本日のスポーツ新聞予想
まあ,一見さんがこれを見たところで
役に立てられるかは疑問ですが…
新聞を買わなくても並びが分かるのは
地味に嬉しいですな
ファンサービス推進宣言
東口方向
レストランは当然閉鎖中
進入できるのはここまで 伊東温泉七福神 ベビールーム
入るのに勇気がいるたたずまい
申し訳程度に設置されている遊具
第4スタンド
全盛期はネオンが輝いていたのでは
ないかと思われます
出動の機会を今か今かと待ち構える消防車 ノミ屋にご注意ください 昔はノミ防止のために電話の設置場所が
制限されてたんだよなー
携帯全盛の今となっては
実感ゼロですが
敢闘門 おかげをもちまして60周年 伊東温泉けいりん 全景 暑いのでひなたに人がいない
3〜4コーナー
人がいない
全景 ホーム側 3コーナー側 別角度から
ゴール前の椅子に腰掛けると柱が邪魔をする
昔の設計技術だとこうなるんですよねー
第1スタンド1階
こういう雑然とした雰囲気は嬉しくなりますね
バック側
バックの山の上に立つ家から競輪は見られるのでしょうか?
第1スタンド上部 人のいないスタンド スタンド裏 第2スタンド1階
かろうじてレジャースポットっぽい雰囲気が
トイレ
一部閉鎖されている第1スタンド 第1スタンドから1C 2C スタンド

 そんなわけで,伊東全敗で終了。岸和田は決勝戦だけ買いそびれるというヘマ。まあどっちみち外れてたからいいや。レース自体も村上がいなかったら本当に寒かったしなぁ。

 さて,帰り。
 熱海までのバスに乗り込み「やった,熱海までタダで行ける!」と大喜びしてたのですが……夏休みの日曜だということを完全に忘れており,渋滞にはまりました。馬鹿です。おとなしく伊東から電車に乗ってれば……。というわけで,1時間かけてよーやく熱海駅。すでに日も落ちており,駅前温泉に行く気力を失い,すごすごと東京に帰ったのでした。ちゃんちゃん。

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