医は仁術

 よく言われることですが,旅行に行くとやけに博物館や美術館に行くのに,地元の博物館や美術館にはなかなか行きません。こういう人は結構多いと思います。特にアンケートとったわけではないですが。
 で,自分も当然そういう部類の人間だったのですが,ちょっと最近,上野の博物館に行くことが増えてきました。案外楽しいことが分かってきたのです。年をとったのかもしれません。

 そんなわけで,科博の医は仁術に行きました。時間的に入ったのが遅い時間で,駆け足にならざるを得なかったのですが,図録を手にとって読むことも多くなく,そうであればある程度記録に残しとかないと記憶から消え去るのは確実です。てことで,どこまで許されるのか分からんところですが,まあ気にせずちょっと記憶のためにアップします。苦情は随時受け付けておりますので,穏便に。



 ところで,現地に行くまでよく認識してなかったのですが,どうもこの医は仁術展,ドラマのJINの影響を受けているようです。そのため,大沢たかおさんが入口のビデオ映像に登場してました。残念ながらドラマは全く見てない(原作漫画も見てない)ので,大沢さんが本当にドラマに出てたのか確認するすべはございません。


 んで。いよいよ本題。まずは江戸時代の錦絵。そもそも,学がなさすぎて「錦絵」の定義がよく分かってません。ちなみに錦鯉がどういう鯉なのかも分かってません。関係ないですね。昔だったらこういうときに登場するのは広辞苑ですが,今のネット時代には広辞苑はなかなか出てきません。とりあえずgoo辞書によると,「錦のように精緻(せいち)で美しい版画」ということのようです。
 それはさておき,自分はひょんなことからこの前に行われていた江戸博の浮世絵展に行ってたりしていて,ちょっと浮世絵・錦絵ブームだったので,注目したのでありましたとさ。

 続いて,中国由来の架空動物白澤と農業の神様。いずれも存在すら知らなかった。麒麟や鳳凰以外にも結構聖獣って多いのでしょうかね?とりあえず,ATOKさんは「はくたく」から変換してくれませんでしたので,ジャストシステムには認知されていないようです。でも,Wikipediaによると,西遊記には出てくるようであります。


 当時の五臓六腑図や,経絡人形なんかも面白いです。ところで,これらを所蔵している「和田コレクション」っていったい何者なんでしょうか。なんか検索してもどういうところなのかよく分かりません。どうも図録に書いてあるみたいですが,買ったのに読んでおらんのです。誰か図録を電子書籍化してください。


 あまりやりすぎると怒られそうなので適宜はしょります。今回面白かったのは,江戸期に日本に輸入された蘭学本が多数展示されていたこと。そして,それを邦訳したものも。あのかの有名な解体新書もありました。教科書で慣れ親しんだものだけに,感慨もひとしおであります。なお,常設展示されている可能性も有り,単に自分が科博に行かないせいで見てないだけかもしれません。

  
これを見て,真っ先に前張りに目が行ってしまう自分は
何万年経っても医者にはなれないだろうな,と思うのでありました。
 
東医宝鑑

和漢人参考

景山奇方集



普救類方

狂犬咬傷類方

備荒草木図

大和本草

和語本草綱目
 
和蘭茶臼。コーヒーミルのようです

ミイラ標本


 

蘭学階梯

和蘭字彙


和蘭医事問答

ターヘルアナトミア!
 
解体新書!
 
解体人形
  
山脇東洋解剖図
五臓六腑というのは中国の考えなんですね
   
山脇東洋真蹟解剖図

蔵志
日本初の実証的解剖書とのこと
  
三之助解剖図

重訂解体新書

重訂解体新書銅板全図
解体新書って
誤りが多かったのか…

蘭人頭骨
本物なのか?
  
人身連骨真形図
 
木床入歯

十四経絡発揮和解

温泉考

温泉番付
行司もいるんだな。面白い

Lサイズが売り切れる
腹八分目Tシャツ

 そんなわけで,中国からの漢方医学と,オランダからの蘭学が融合した日本の医学の発展という,いままで考えたことのない蘭漢融合の医学の発展史は大変興味深かったです。こちとら日々不摂生を重ねておりますので,いつお医者様のお世話になるともしれず,こういう先人の努力には心から頭が下がる思いです。昔は活版印刷なんてなかったんだもんな……。

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