First Day at Six Day

 Six Dayという自転車イベントがあります。6日間にわたり,2人1組で各種自転車競技をおこない,総合得点を争う,というイベントです。日本人的には6日連続でやって客がくるのか心配になりますが,自転車競技の人気が高いヨーロッパではこれが成立するのでしょう(ただ,2015年は日曜スタートだったのに対し,2016年は火曜スタートで週末両日開催となりました。集客と関係ありそうな日程変更ですね)。また,1日に何回も走って果たして選手は大丈夫なのかも大いに心配になるところですが,とりあえず運営がギャンブルの主体になってるわけではないので,ダメならダメで選手の自己責任というわけで,皆様体力の続く限りやっておられるのではないかと思います。

 もちろん,僕がもともとこれを知っていたはずもなく,単に渡邉一成選手がこれのスプリントに推薦されたというニュースを見て,せっかくだから行ってみようと思っただけのことです。この時点で,スプリントの選手が何をするのかも全く分かってませんでした。で,ここには翌年3月にもう1回,UCIのワールドカップを観戦するために訪れる予定だったので,その下見も兼ねる意味もありました。

 行き方は,Stratfordから徒歩。ま〜ったく知らなかったんですが,このあたりは2012年ロンドンオリンピックの開催地となった場所で,今回の開催地であるリーバレーベロドロームもオリンピックの自転車競技がおこなわれた場所です。オリンピックの名残もいくつかありました。Stratford自体には2回目(初回はチェルムズフォードに行く際に寄った),このあとUCIワールドカップのほか車椅子テニスでも寄ることになります。また,ショッピングセンター内には日本食材店もあって(大きくないけど。さらに1回しか買い物してないけど),なかなかに思い入れのある場所でもあります。
 で。余裕こいてGoogle Mapを見ずに歩いてたら,思いっきりベロドロームとは違う方向に歩いてました。遅刻……。大金払ってるのに何やってんだ。
 ベロドロームは木を強調した,この国ではあまり見かけない外観。日本っぽい外観ですね。実際に壁が木でできてるのかは知りませんけど。

駅からショッピングセンターを抜けて
大通りに出たところにある案内
オリンピックの残骸だと思われます ベロドロームに到着 6day London!!

 で,中に入ります。屋内の自転車競技場は小倉競輪場以来かな。東京ドームって長らく入ってない気がする。
 中は……盛り上がってました。なんというか,思てたんと違う。とにかく賑やか。ライトアップも凄い。著名な競技大会なんだから,厳粛に競技が進むもんだとばっかり思っておりました。実際はその真逆,いやもちろん競技自体はしっかりと厳粛かつ厳格にやってるんでしょうけど,中はライトアップや音楽,そしてDJが盛り上げております。いやはや,これは凄い。

到着!! オリンピック優勝者 コンコース あとで撮った別角度の写真

 上にも書いたとおり,室内自転車競技場は小倉以来。東京ドームもドームには行ったことはあってもそこで自転車競技を見たことなどないので,実質的に行ったことのあるのは小倉だけ。そして,自転車競技場というか競輪場には腐るほど行ってますが,競輪とは関係のない自転車競技を観戦するのはこれが初めてです。
 そのため,競輪場とは全く異なる場内の雰囲気に驚くとともに,何よりもびっくりするのは,バンクの近さ。いやもちろん競輪もバンクそれ自体は近いんですが,金網もアクリル板もありません。簡単な手すりがあるだけ。競輪場でこんな状態にしたら,バンク内に車券とマークカードが入って危険きわまりないところですが,あいにくここでは車券なんて売ってません。
 いやほんと,選手が近い。遮るものが何もないんだから,本当に近い。こんなのに慣れてたら,競輪場では物足りなくなると思います。近すぎて,手を伸ばしたら選手に手が届きそうなくらいです。というか,実際問題,渡邉選手は観客席側に手を出してみんなとタッチしながらバンク最上部を走っていきまして(こんな感じ。リンクが消えないことを祈る),僕も渡邉選手とタッチしました。そんなレベルです。いやはや,ほんと凄いっすわ,これ。

 で,うろうろ場内探索をしてたら,渡邉選手のインタビュー。おいおい,どこでインタビューしてるんだ,と慌てて探した結果,見つかったときには既に遅く,急いで撮った写真は盛大にぶれましたとさ。

バンクを見下ろす
とにかく近い
DJコーナーから
去って行く渡邉
スプリント軍団の
ウォーミングアップ場所
休む渡邉 談笑する渡邉 ローラーに乗る渡邉

 さてさて。遅刻したため,U23のレースを見損ねましたが,とりあえず競技には間に合いました。
 この日の予定は既に(2016年7月現在)ホームページから消えており(ホームページは既に2016年のSix Dayモード),なんとかアーカイブから発掘できました。パンフレットにも予定は載ってなかったのよね。
 では,ここで6日間レースのルールをおさらい。一応レース直前にルールは見たんだけれど(Wikipediaで),既に記憶から吹っ飛んでおります。マディソンは2人一組で,それ以外は個人戦で戦ってポイントを稼いでいき,最後はペア単位で優勝を決める,ということのようですね。ペアは基本的に同じ国で組んでるみたいですが,必ずしもそうでなくともよいみたいです。にしても,(競輪を除く)自転車競技については完全にど素人でして,どこかできちんとした解説を見たいところなんですが,なかなかいい機会がない。
 おこなわれる競技は,とりあえずこの日(初日・日曜日)は1878Cupというオムニアムレース。オムニアムはワールドカップにも五輪にもあるので分かります。自転車版10種競技ですね。オリンピックだと2日間にわたっておこなうようですが,この1878Cupは1日に5競技を詰め込むという,受験戦争もびっくりの詰め込みっぷりです。これが6日間レースの初日だってんだから,選手の足と筋肉はいったいどうなっておられるのでしょうか。
 ここ魚拓)によると,1878Cupというのは,1878年に最初に6日間レースが開かれたことから名付けられたレースとのことであります(まあレース名を見れば分かるか)。各レースの1位に1ポイント,2位に2ポイント……とつけていき,最もポイントが少ない人が勝つ,という面白い得点方法を採用しております。で,ポイントレースのポイントとこのポイントは別のモノってことになるんでしょうね。ややこしい。
 そして,渡邉一成が出場するスプリント。これは6日間レースにおいては余興的なもので,各レースの合間合間に登場してレースをおこなう,というもののようです。余興とはいえ,ここに選ばれること自体は名誉なことなのだと思います(Wikipediaによると北津留選手が過去に呼ばれたことがあるみたいですね)。特に,今回は35年ぶりのロンドン開催で,そこに呼ばれたってんだからな。ロンドン五輪に出た選手なんてほかにもたくさんいるわけで。そしてなにより,1日複数回走って,6日間出場し続けないといけないわけで,こりゃあ大変です。上手く脚を残さないと後半戦ボロボロになるんではなかろうか。

この日の予定 パンフレット表紙
値段忘れた
スプリント軍団の選手紹介
6 Day London出場選手

 てことで,まずはスクラッチから。どこぞの競輪場とは異なり,写真は自由です。まあ,この時代携帯カメラを防げるはずがない。ただ,多分フラッシュは禁止。どういう注意が出てたか記憶がないけど。でもまあ,暗いのでコンデジではなかなかに苦しい。


 続いて,スプリント組による200mのタイムトライアル。入場時に,それぞれ独自のパフォーマンスで会場を盛り上げます。パフォーマーとしての能力も必要になるわけですな。渡邉は上述したとおり,バンク最上部を走ってみんなにタッチしていってました。

この距離感 それぞれの入場 渡邉 この時点で1位 走ったあとの渡邉

 引き続き,1878CupのElimination。エリミネーションは,最下位が一人ずつ脱落していくやつですね。こうして次々に違う競技がおこなわれていくので,飽きません。写真にするとわけわからんけど。


 そして,スプリントの準決勝。1組目は見事渡邉が勝利して決勝進出!!


 そして,続いてはLong Lap 500m。これだけちょっとルールが分からなかった。


 で,スプリント決勝。渡邉vsドイツのEric Balzer選手。このレースは先行したバルザーがそのまま押し切って優勝。渡邉選手は残念ながら2位となりました。もちろん,車単なんて売られてないのでヤジはありません。あるのは勝者への賛辞のみ。


 そして,1878Cupの500mフライングラップ。タイムトライアル戦へ。18人のタイムトライアルなので若干時間的に余裕が出ます。てことで,出歩きます。
 それにしても,本当に観客の目の前から下っていくから凄い。なんど見ても凄い。アクリル板も金網もないからなお凄い。

   
優勝は地元イギリスのMark Stewart

 で,いよいよ本番?のケイリン。もちろん,カタカナの方のケイリンです。8車立ての一発勝負。生で見るケイリンは多分これが初めてです。
 渡邉は3番手で周回。そして,見事優勝!!(←完全にレース展開忘れた)
 いや〜,とにかく,ここまできて日本人がケイリンで優勝する姿を見られるなんて,もう嬉しくてたまらん。よくやった渡邉。記憶が正しければ競輪でまともに渡邉が活躍するのを生で見た記憶が無いけれど,とにかくよくやった!!おめでとう!!
(なお,皆様ご承知の通り,この翌年2月に渡邉は久留米の全日本選抜を勝って特別競輪初優勝を果たします。競輪ファンにとってケイリンの扱いは常に議論になるところですが,個人的には応援したいところ。リオも頑張ってね)


 最後は30キロのポイントレース。周回ポイントを稼がないといけないとか,そういう基本的なルールは分かりやすいのだけれど,どういうタイミングで行くのがいいのか,また,最後尾の選手が追い抜かれないためにどう走るのがいいのか,最後尾にならないためにどう走るのがいいのか,といったあたりの個々の戦略がどうもまだ分からない。これはきちんと解説を聞かないとダメだな。オリンピック落ちしたから素人向けの解説を聞けるチャンスはなかなか来ないのだろうけれど。


途中経過

仕事を終えたスプリント勢

最終成績

 と,いうわけで,本日の全競技終了。
 1878Cupは地元イギリスのMark Stewartが優勝し,現場は大変盛り上がっておりました。


 忘れてた。食事について。この日は何も持ち込まなかったんですが,とりあえず中の食事はザッツイギリスという感じで貧弱かつ高い。やむなくじゃがバタチーズ的なもの(安くて腹にたまりそうだった)を買いましたが,こんなんじゃ満足できん。もつ煮込み持ってこい。
 そもそも食事の持込の可否を覚えてませんが,禁止されてないならStratfordのスーパーでもどこでいいから買って持ち込んだ方がよい。ただ,スーパーにもろくなもんがないんだけれど。ほんと,イギリス人はなぜこれで満足できるのだろうか……。いいメシがなくてやせ細ってるなら理解できるけど,だいたいイモの食べ過ぎとビールの飲み過ぎで太ってるしな……。串揚げ持ってこい。

 この日の結果については,詳細を発見できず。なぜだろうか。こういうのって分かりやすく結果を残すもんじゃないのかなあ。探し方が悪いのか。
 マスコミ報道はこちら魚拓)。

 いずれにしても,生で自転車のトラックレースを見たのは初めてで,なんども書くけれどこれだけ間近に見られるとは思ってなかったので,本当に興奮しました。こりゃあ凄い。次は半年後のUCIワールドカップであります。


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