バースで羽を伸ば-その2

 てことで,バース2日目。ユースのドミトリーのコンセントが不足していて,充電できなかったので,早起きして大部屋で充電。これだから携帯依存症患者は困ったものです。でも,このご時世異国の地で携帯なしに放り出されるには事前の準備と覚悟が必要なわけでして,事前の準備も覚悟もできてないお馬鹿NPにとって携帯は命なのであります。早朝に一人大部屋にいると,若干寂しいですな。

 充電もできたのでチェックアウト。昨晩はバスに乗りましたが,今朝は歩いて市内へと向かいます。バースの見所として,クレセントホテルが有名なのではないかと思いますが,すっかり忘れてて見にいきませんでした。まあいいや。
 で, 昨日から目をつけていた(というほど大げさな話でもないが)店に荷物を預け(3.90ポンド。750円相当……高い。コインロッカー作ってくれ),身軽になって観光へ。



大部屋
窓が大きくて気持ちよい
廊下や階段 外観 市内へと下りていきます 見上げる 川を見下ろす
船は日常用なのでしょうか
荷物を預ける

 まずはRomanBath。まあ,バースといったらここですね。正面?入口の前には世界遺産マーク(正式`名称知らない)が埋められております。が,なんとここからはなかには入れず,Abbey側に入口があります。騙された。
 で,気を取り直して中へ。団体さんに巻き込まれましたが,まあこういう場所だから仕方がない。もっとも,ここは各入場者にガイドが手渡されるので,団体さんも集団行動とってないのでそこまで邪魔じゃありません。

世界遺産であります 昨日も見たAbbeyの景色
こっち側から入場
お値段

 さて。このRomanBath,基本的にはBath部分とTemple部分から成り立っておりまして,特にTemple部分は破壊されまくっております。なんせ,ローマ時代の話だから,Bath部分が残ってる方がおかしい。
 さてさて。イギリス旅行前に山川のイギリス史の本や昔の世界史の教科書を斜め読みしたんですが,いかんせん昔っから世界史が苦手科目でして,おおまかな歴史を思い出すことすらままならない。特にローマやギリシアに関する記憶の飛びっぷりはトルコ旅行でも痛感していたところで,これは本当に猛省せねばならん。まあ,いずれにしても,このRomanBathはローマ人が建設したもので,その時代の遺跡がいまなおここまでのレベルで保存復原されているというのは素晴らしいことです。ハドリアヌスの壁を見に行きたい。
`
 観光ルートは,まずは上部階からBathを見下ろしてTemple部分及びそこに作られた博物館を眺め,最後にBathまわりを見学する,という流れになります。朝っぱらなのでBathまわりに人が到達しておらず,てっきりBath周りに出られないのかと勘違いしました。





全体構造 正面 彫刻
HotSpring Sacred Springの
場所に当たります
今も湧き出ているのが分かる

 さて,上からの景色をしっかり見たところで,博物館的な場所へ。
 まずは4世紀頃の模型が目を引きます。かつてはカラフルな建物だったようで,このへんは昔は鮮やかな色だった仏教建築と似た感じですね。

1世紀のころのモデル模型 紀元76年建築を示す石 ここからも外を見られる ここはかつてAquaeSulisまたは
AquaeCalidaeという名前だったようです
Aquaeは水ですね
4世紀頃の模型
何に驚くって,このBathに屋根がついてたことです。どうやってそんなもん作ったのだろうか……

 続いて,さっきの模型のTemple区画のCourtyardのど真ん中に鎮座する建物(これがTempleと呼ばれてるのか。いまいち正確な用語法がわからない)の遺構。高さ15mとのことで,いったいどうやって15mの石を積んだのかさっぱり分かりません。古代の出雲大社のでかい建築にしてもピラミッドにしてもそうですが,昔の土木建築技術って現代の文系からしたらまったく想像がつきません。
 なお,ペディメントを翻訳するとどうなるのかと思って検索したら,ペディメントでWikipediaの項目になってました。日本でいうところの破風部分の三角形をペディメントと呼ぶんですね。Wikipediaさんによると,これはコリント式とのこと。イオニア式とかコリント式とかそのテの用語は完全に吹っ飛んでますが,どうやって大人が復習したらいいのだろうか。と思って検索してみたら,建築様式のことをオーダーと呼ぶんですな。この用語は初めて聞いた気がするぞ。このまわりのWikipedia記事を見てると(時間を浪費して)大惨事になりそうなので,とりあえずリンクだけ貼っておいてあとで見よう。

 とにもかくにも,当時のペディメントの彫刻が非常によく残っております。よくぞ泥棒被害に遭わなかったものです。
 このペディメントの真ん中の彫刻はゴルゴンだと思われているようですが,ゴルゴンはギリシャ神話では女性のため,結局よく分からないらしいです。

触ってみよう 簡単な解説 ところどころ抜けてますが
しっかりと残っております
イルカかやらヘルメットやらのようなんですが
正直言ってよく分からない
ひもで巻いた地球とのこと
この時点で地球概念あったのか
ミネルバのシンボルである
ふくろう
どの部分かよく分からず

 続いて,いろいろな出土品コーナー。前年にトルコでローマ関係の出土品をいくつか見てたのでまだなんとなく雰囲気が分かります。てか,ほんとトルコ行ってなかったらローマ=キリスト教みたいな完全に誤った知識でここを見ることになってたかもしれない。

TheatricalMask。もちろん馬のマスクではありません こういう墓石ががっつり残ってるのが凄いよなあ
Julius Vitalisさんの墓標 この髪型が1世紀のローマでファッショナブルだったとか…
モザイクの床
モザイク画はトルコでたくさん見たからなんかなじみがあります
発掘された人骨
シリアからきた人とのことでなんとなくタイムリー……
彼が記憶されることを望んだ,
と断言できる理由が正直よく分からない

 そして,Courtyardの展示。遺構それ自体を見てもなかなかに当時のイメージが浮かんでこないので,CGで復元予想図を上げてくれているのが非常にありがたい。写真に残すのが大変で今となっての記憶喚起という意味ではなかなかに大変なのですが。でもまあ,このテの石造建物を見慣れていないとどうしても復元予想図を想像する力に欠けますから,やっぱり非常に助かります。

ルナ 医療の神アスクレーピオス
Courtyard 上に復元CGが出てくる
復元CG続き ミネルヴァの頭 下水管を埋めるため通りに溝を掘っていた人夫が発見したミネルヴァ像
6層からなるメッキ像で,かつては鋲で羽のついたヘルメット(武勇の象徴)が
止められていたとか

 だんだんメインイベントが近づいてきます。外が見えました。まずはさっき上から見下ろしたSacred Spring。
 そして,そのSacred Springから流れた水の循環設備。これを完全石造りで紀元1世紀にやってたんだから,もう訳が分かりません。

Sacred Spring 温泉が湧き出て
泡立っており,
湯気が出てます
昨日見たブラドッド王子の像のようです
過去のドア 投げ込まれていたコイン あふれた水はエイヴォン川に流れていくとのことです
こうやって石を持ち上げていましたよ,の図 2世紀の屋根の付け替え工事
2世紀に石で屋根つけてたって
正直本気で驚かされます
職人たち 屋根のてっぺんにこんなのついてたのか
循環システム 水門

 そして……ついに外に出ました!
 いろいろな写真で見てきた光景が目の前に広がっております。日本人的には今の露天風呂的雰囲気の方がなんとなく気持ちいいですが,かつてはここに屋根がかかってたんですよね。ほんとようやるわ。日本人的には(とさっきから勝手に日本人全般を騙った表現を連発してますが),この広々とした風呂は本当に気持ちよく思える反面,2階から風呂を見下ろされるのはなんか怖いっすよね。

 この風呂,深さは1.5m。日本人的に横になってだら〜っと半身浴,的なことには向いてません。ある意味昨日のテルマエスパと同じですね。水温は35度。ぬるめですが,昨日のテルマエスパ同様に,熱いお湯で1.5mの深さがあったらのぼせたときに大惨事になりかねない。
 今は屋根がないので藻が繁殖して風呂が緑色になっておりますが,かつて,円筒形の丸天井があったころは日光が遮られていたので藻が生えず,風呂として完璧に機能していたとのことです。今も厚さ2センチの鉛の板で穴がふさがれており,水漏れはないとのこと。石づくりゆえの緻密さと日持ちの良さと言うべきか。
 円筒形の天井は当初は木だったものが,のちに腐ってナイルと漆喰に変更。そして,煉瓦とタイルは中に空洞を設けて重量を軽くしております。凄いなこれ。どんな技術だ。

ぐるっと。1枚は天気がよくなってから 噴水跡
屋根部分の煉瓦。中は空洞であります。
水門
逆側から
通路部分 休憩スペース 写真だと分かりづらいけれど
床はけっこうがたがたです
記念撮影係の女性
この写真だと暇そうにしてますが

 そして,周囲の部屋には別のお風呂。主としてスチームバス的なものとか。構造がどうなってるかとか,ここの風呂の役割とか,いまいちよく分からずじまいでした。
 で,分からんので写真から記憶喚起しようと頑張ってみたのだけれど,やっぱりよく分からん。

East Bathへ
東とかいわれても
すでに方向感覚なし
Semi-circular bath
形から名前がついてるあたり,多分よく分かってないのでしょう
Simming Bathとあるのですが,本当に泳ぐ目的だったのか
Changing Room
この石の上にもう1段あったということだと思われます
構造 Warm Room
Roman Mosaic Floor Hot Room


西側の風呂へ 高温のスチームバスからこの冷たい水に入ったらしい
完全に今の日本のサウナと同じですね
底がキラキラしてるのはコインだろうか
West Baths

 ってことで,おしまいです。
 うむ,思ってた以上に見所が多かった。単に写真でよく見る風呂の遺構を眺めて終わるのかと思ってた。終盤の遺構が正直よく分からなくてきつかったんですが(CourtyardみたいにCG使って新旧比較をもうちょっとやってくれると助かった),でもまあそんなのおまけでして,とにかくこんなのを紀元1世紀とかそこいらで作ってることへの驚きと,それがこうして今になって復元できていることの凄さといったらもう。

竈らしい Cold Bath トイレとの説があるらしい 全体図
これだけ見てもさっぱり

 そんなわけで,外に出ます。


バース1日目Bath Abbey


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