Boxing in Kempton その3〜FaugheenのあとはKing George VI Chase

 さあ、のこすG1はあと2つ。イギリスの空は暗くなってきて、私の能力では写真に限界が出てきます。でも、気にしてはいけない。
 そして、繰り返しになりますが再度ご連絡。私の駄文は旅行記であって競馬の観戦記ではありません。基本的にこの日のレースについては、にげうまさんのブログをご参照いただくのが一番です。

4R 2:35pm /THE williamhill.com CHRISTMAS HURDLE RACE (Grade 1)

 Christmas Hurdleのお時間がやって参りました。2マイルのハードル戦です。5頭立て、そして、1番人気のFaugheenの単勝オッズは1/4。もちろん、ここはイギリスなので100円賭けたら25円になって返ってくるのでは無く、1.25倍ということです。まあ、いくら障害で落馬リスクがあるとはいえ、Faugheenに1.25倍なら財布ごとぶっ込んでもいいんじゃないかという気がします。……そんなこと言って前走のPunchestownで大惨事を巻き起こした人がどこかにいるんじゃなでしょうか。
 ちなみに、私が買ったのは2番HargamのEachwayです。

2:35pm /THE williamhill.com CHRISTMAS HURDLE RACE (CLASS 1) (Grade 1)
Runners: 5 RUNNERS Prize Money: £100,000.00 Race Distance: 2m Horse Age: 4YO+
1st1 Faugheen (IRE) R. Walsh W. P. Mullins Mrs S. Ricci 3m 47.7s 1/4
2nd5 The New One (IRE) Noel Fehily Nigel Twiston-Davies S Such & CG Paletta 7 Lengths 3m 49.22s (+1.52s) 6/1
3rd2 Hargam (FR) Barry Geraghty Nicky Henderson Mr John P. McManus 3/4 Length 3m 49.38s (+0.16s) 16/1
4th3 Old Guard (GB) Sam Twiston-Davies Paul Nicholls The Brooks, Kyle & Stewart Families 4 1/2 Lengths 3m 50.37s (+0.99s) 8/1
5th4 Sign of A Victory (IRE) Andrew Tinkler Nicky Henderson Matt & Lauren Morgan 25 Lengths 3m 55.9s (+5.53s) 25/1

 さあ、レースです。Racing TVの動画がアップされています。これは合法だ。
 レースは、主導権を握ったFaugheenが終始先頭を走り、最後に後続を突き放すという非常に強いもの。前走の敗戦で連勝は止まりましたが、強さが衰えたわけではありません。
 FaugheenはこのあとレパーズタウンのIrish Champion Hurdleを制したのち、故障で長期休養。復帰後はHurdleのG1を2勝。そしてChaseに移って、NoviceのG1を2勝して引退となりました。現在はIrish National Studにいるらしいので、会いに行こうと思えば会いに行けるはずです。

 2着The New OneはこのあとG2を4勝。
 3着HargamはListedしか勝ち星なし。
 4着Old Guardは2018年のFontwell National Spirit Hurdle(G2)を制覇し、2022年春も現役。Point to Pointを主戦場としているようです。
 5着Sign of a Victoryはこのあと活躍は無さそう。

 そんなわけで、Faugheenの強さが目立ったレースでしたが、そういうレースを見られたのはよかったよかった。

1周目 ビジョンを見て様子を伺う観客 独走するFaugheen

 そして、Faugheenの圧勝を見届けた私は急ぎパドックに戻ってFaugheenを迎え入れます。日本人は落ち着きなく慌ただしく動くのであります。

Hargam FaugheenとRuby

5R 3:10pm /THE WILLIAM HILL KING GEORGE VI STEEPLE CHASE(Grade 1)

 さあ、やってまいりましたメインレース。King George 6世チェイスです。
 出走は9頭。
 1番人気はDon Cossak。春のAintree Betfred Melling Chaseで優勝。Ireland Punchestown Gold CupでもCue Cardを4着に下して優勝。秋になりPunchestownのG3とDown Royal Champion Chaseで優勝。4連勝でここに挑みます。
 2番人気は9番Vautour。2014年PunchestownのDeloitte Novice Hurdle(G1)、Cheltenham FestivalのSupreme Novices' Hurdle、PunchestownのIreland Champion Novice Hurdleを制し、2015年春はChaseにうつって、Cheltenham FestivalのJLT Novices' Chaseを優勝。2015-16シーズンはAscot 1965 Chaseを制してここに乗り込みます。
 3番人気はCue Card。2013年Ryanair Chaseなどを勝っている実績馬です。春はAintree Betfred Melling Chaseで前期Don Cossackの2着。2015−16シーズンになって、Hydock Betfair ChaseでSilviniaco Contiを2着に下して優勝。Wetherby Charlie Hall Chaseと連勝してここに乗り込みます。
 若干差が開いて、4番人気がSmad Place。前走Hennessy Gold Cupの優勝は私も生で見ました。
 5番人気がSilviniaco Conti。このレースを2連覇しており、今回3連覇に挑みます。
 6番人気からはさらに差が開き、Al Ferof。前年のこのKing Georgeチェイスで3着になっています。春のSandown Oaksey Chaseは2着。HuntingdonのG2を勝ってここに乗り込みます。
 7番人気がValseur Lido。2014-15シーズンはNoviceのChase G1を2勝。今シーズンはPunchestown Chase2着からここに挑戦。
 8番人気はIrish Cavalier。CheltenhamのPaddy Power Gold Cup Chaseを5着に叩いてからここに乗り込みます。
 Last but not least。9番人気がBallynagour。2014年春のCheltenham Festival Byrne Group Plate優勝実績があり、フランスでも勝利。このレースにはCue Card・Silviniaco Contiともども、Betfair Chaseを叩いてから乗り込んできました。

 メインレースは特別扱いで、パドックには各馬のボードを持った人が登場します。このボードを見るのはセントレジャー以来な気がします。

ボード軍団入場 ボード軍団整列


3:10pm /THE WILLIAM HILL KING GEORGE VI STEEPLE CHASE (CLASS 1) (Grade 1)
Runners: 9 RUNNERS Prize Money: £200,000.00 Race Distance: 3m Horse Age: 4YO+
1st3 Cue Card (GB) Paddy Brennan Colin Tizzard Mrs Jean R. Bishop 6m 3.5s 9/2
2nd9 Vautour (FR) R. Walsh W. P. Mullins Mrs S. Ricci Head 6m 3.52s (+0.02s) 3/1
3rd1 Al Ferof (FR) Harry Skelton Dan Skelton Mr J. Hales 13 Lengths 6m 6.5s (+2.98s) 16/1
4th7 Smad Place (FR) Wayne Hutchinson Alan King Mrs Peter Andrews 3 1/4 Lengths 6m 7.24s (+0.74s) 8/1
5th5 Irish Cavalier (IRE) Barry Geraghty Rebecca Curtis Mr A. McIver 23 Lengths 6m 12.37s (+5.13s) 40/1
DNF4 Don Cossack (GER) Bryan J. Cooper Gordon Elliott Gigginstown House Stud 15/8
DNF8 Valseur Lido (FR) Jacques Ricou W. P. Mullins Gigginstown House Stud 25/1
DNF6 Silviniaco Conti (FR) Noel Fehily Paul Nicholls Potensis Bloodstock Ltd & Chris Giles 9/1
DNF2 Ballynagour (IRE) Tom Scudamore David Pipe Mr Allan Stennett 66/1

 レースは、Silviniaco Contiが先行し、Vautourが2番手で両馬が引っ張る展開。途中でSilviniaco Contiが後退し、Vautourが引っ張り、2番手にCue Card。3番手にDon Cossack。VautourがCue CardとDon Cossackを2〜3馬身離した状態で最終直線へ。ラス前の障害でDon Cossackが落馬。VautourはCue Cardに1馬身差をつけて最終障害を飛越。その後、いったんはさらに差が開いたように見えたのですが……なんと、最後の最後でCue CardがVautourを交わして……ゴール!!歴史に残る激戦となったのでした。
 動画はRacing TVRacing TV Internationalの2つのアカウントからアップされていますが、中身は一緒です。動画を見る限りアタマ差もついているようには見えないので、それなりに角度のある場所から撮影してるのだろうな。

最終障害で待ちます 1周目 2周目
前の人の頭に遮られて
ピンボケ&Vautourが隠れた
後ろを確認するAl Ferofの
Skelton騎手

 さっきまで9枚のボードが掲げられていたパドック内ですが、残されたのは上位馬のボードのみであります。

Cue Card!! 2着Rubyの帰還 3着Al Ferof 4着Smad Place
この勝負服には親しみがある
勝利馬を告げるビジョン
Brennan騎手の
両手ガッツポーズ
王の帰還 手を挙げるBrennan騎手 人混みの中に埋もれるCue Card。
外は暗いので、普通に撮ると真っ暗になってしまうのが困りもの
人混みしか見えない Vautour Cue Cardが場内一周 表彰式

 というわけで、接戦を制したCue Cardおめでとうございます!
 Cue CardはこのシーズンはCheltenham Gold Cupは落馬に終わったものの、AintreeのBetfred Bowl Chaseを勝利。翌シーズンはHaydockのBetfair ChaseとAscot Chaseに勝利して、2017-18年シーズンで引退。RacingPostの記事はもちろん、Racing TVの引退記念動画なんかもあります。

 2着Vautourは春のCheltenham FestivalでRyanair Chaseを勝利。これは私は生で見て馬券当ててます。しかし……2016年の秋、事故(Paddockとあるけれど、場所はどこかは不明)により、安楽死となってしまいました。Guardianの記事:Willie Mullins’ steeplechaser Vautour put down after freak accident。Mullins調教師のコメント記事:Vautour team devastated at loss of triple Cheltenham hero。こういうニュースは追いかけると辛くなってくるので、ここでおわり。
 3着Al FerofはこのあとRyanair ChaseでVautourの4着。AintreeのJLT Melling Chaseで2着。現役続行予定でしたが、故障がみつかってこのシーズンで引退となったようです。
 4着Smad PlaceはHennessy Gold Cupのときにも見ました。2017−18シーズンを最後に引退しております。自分のために、引退時の記事と2018年の調教師と馬主の対談記事を再掲。
 5着Irish CavalierはこのシーズンのCheltenham Gold CupではDon Cossackの5着。6着だったSmad Placeには先着しています。Cue Cardが勝ったBetfred Bowl Chaseでは落馬しています。このあとの重賞勝ちは2016年のWetherby Charlie Hall Chase(G2)のみ。
 最後に落馬したDon Cossackは2016年のCheltenham Gold Cupを勝って引退。2016−17シーズンも現役続行予定だったようですが、こちらも故障の影響のようです(GuardianIrish Timesより)。At the Racesの引退記念動画あり。
 Don Cossackと同じ勝負服が目立つValseur Lidoは、2016年秋のDown Royal Champion Chaseで優勝。2着はSilviniaco Contiでした。
 そのSilviniaco Contiは、King Georgeチェイス3連覇は果たせなかったものの、2016年2月のAscot Chaseを優勝。Grand Nationalに出走しましたが、競走中止。翌年のKing Georgeチェイスにも出走していますが、Thistlecrackの3着となっております。このあとBetway Bowlを最後に引退(Racing Post記事)。G1は7勝でした。しかしながら、2018年4月に事故で亡くなったようです。なんという若さで……。
 Ballynagourは2020年までPoint to Pointを走っていたようですが、このレースの後は勝ち星なしでした。

 そんなこんなで、私はいいレースを見ただけで無く、Cue Cardの単勝馬券をゲットして、大満足でありました。

6R 3:45pm /THE WILLIAM HILL WORLD DARTS CHAMPIONSHIP HANDICAP HURDLE RACE (CLASS 3)

 まだ午後4時前だというのに、ずいぶん暗くなりました。これだからイギリスの冬は嫌ですね。私はメインレースまでのG1・3連発で力尽きていたので、このレースに関しては1枚の写真も残されておりません。

3:45pm /THE WILLIAM HILL WORLD DARTS CHAMPIONSHIP HANDICAP HURDLE RACE (CLASS 3)
Runners: 14 RUNNERS Prize Money: £15,000.00 Race Distance: 2m 5f Horse Age: 3YO+ Rating: 0-140 Min Weight: 10st 0lbs Weights Raised: 5lbs
1st10 Baron Alco (FR) Jamie Moore Gary Moore Mr John Stone 5m 17.6s 7/1
2nd7 Simply A Legend (GB) Wayne Hutchinson Alan King Mrs Peter Prowting 3/4 Length 5m 17.77s (+0.17s) 8/1
3rd5 Keltus (FR) Sam Twiston-Davies Paul Nicholls Donlon & MacDonald 1 3/4 Length 5m 18.14s (+0.37s) 9/1
4th2 Matorico (IRE) Barry Geraghty Jonjo O'Neill Mr John P. McManus 3/4 Length 5m 18.31s (+0.17s) 9/1
5th6 Flying Angel (IRE) Ryan Hatch Nigel Twiston-Davies Mr R. J. Rexton 9 Lengths 5m 20.3s (+1.99s) 20/1
6th4 Sugar Baron (IRE) Nico de Boinville Nicky Henderson Mr Anthony Speelman Neck 5m 20.37s (+0.07s) 9/2
7th13 Billy No Name (IRE) Paddy Brennan Colin Tizzard Mrs Jean R. Bishop 4 Lengths 5m 21.31s (+0.94s) 10/1
8th8 Max Forte (IRE) Tom Scudamore Chris Down P Holland,JT Measures,MA Kerr,V Holland 3 Lengths 5m 21.97s (+0.66s) 11/1
9th9 Swnymor (IRE) Harry Skelton Kevin Frost Mr Kevin Frost 5 Lengths 5m 23.13s (+1.16s) 33/1
10th14 Gunner Fifteen (IRE) Noel Fehily Harry Fry Masterson Holdings Limited 3 1/4 Lengths 5m 23.87s (+0.74s) 4/1
11th1 Bells 'n' Banjos (IRE) Gavin Sheehan Warren Greatrex The Maple Hurst Partnership 35 Lengths 5m 31.59s (+7.72s) 10/1
12th15 Dubh Eile (IRE) Sean Bowen Tim Vaughan Mr Paul Bowtell & Mr Jonathan Shinton 9 Lengths 5m 33.61s (+2.02s) 66/1
DNF11 Minellaforleisure (IRE) Brendan Powell Alex Hales The Patient Partnership 40/1
DNF3 Seebright (GB) Andrew Tinkler Victor Dartnall Mrs D. J. Fleming 25/1
NR12 Little Boy Boru (IRE) Non Runner Suzy Smith J Logan, D Harrison, T Loftus & S Smith --
NR16 Church Field (IRE) Non Runner Phil Middleton Mr P. W. Middleton --

 そんなわけで、大満足の1日でした。いいレース、記念すべきレース、Altiorのレースなど、今思い出しても贅沢なレースばかりです。
 そんな、喜びと満足に満ちあふれた私は、次の目的地、New Portへと向かうべく、路線探索のためにスマートフォンを取り出します。
 そこに衝撃のメールが。

  Welsh Grand National 延期!!

 そうです。世の中、いいことが続くはずがないのですよ。

元々のレースの予定 レース延期を告げる
非情なメール
ホテルは予約済みなのよ……

 これが日本ならば、基本的に当日に行動を決定して当日に予約するというダメ人間行動を積み重ねているはずなので突発的な事態にも対応可能なんですが、残念ながらここはイギリス。そもそも電車は事前予約しないと高くつくし、ホテルも日本のようにどこまで当日対応できるか分からない。というような具合でして、もうすべて予約済みだったのです(帰りのChepstow→Southamptonの電車も予約済み)。
 なので、翌日のKempton開催のためにロンドンに居残ることはせずに、WalesのNewportへとむかうことになります。

最後に記念撮影する皆様
明日もこのコース使うんだけどね
私も最後に馬場に挨拶 最後にスタンドを見る
ほぼ縁の無いスタンドだったけど

 明日のことはともかく、今日この日、2015年12月26日は大満足の一日でした。そして、Newportに向けて旅立つわけなんですが、ここをどうやって移動したのか、私の記憶には全くありません。自分の過去のメールを検索してみたら、Heathrow→Newportのバスを予約した形跡が見つかりました。Heathrowを18:50発、Newpoet21:50着です。22時以降もチェックインできるホテルを見つけるのに苦労したのでは無かろうか。

 てなわけで、当初の予定通り、翌日はブレナヴォンに挑みます。

Kempton Park競馬場訪問記Kempton その2(1〜3R)

ブレナヴォンで馬を見る

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