ラオノケープボート

 宿に戻って再度荷物をパッキング。ボートの上は寒いので防寒具を持って行くように,という,親の言いつけを守るため,フリースのトレーナーをバッグに入れます。そして,宿で案内された8時にボート乗り場へ。
 道中,折角なので朝市の中を歩きます。観光客向けかと思ったらそうではなく,地元の人の食卓に並ぶような食材が並んでいたりします。お土産として買うならお茶っ葉かな,と思ってたので,とりあえずお茶っ葉の存在を確認。まあ明日もあるし,これから観光に行くのに今負担重量を増やす理由はありません。

ゲストハウスで飼われていたハムスター 朝市の様子。観光客向けの見せもありますが,地元向けの方が多い

 さて。ルアンパバーンで行きたかった場所の1つが,今回ボートで行ったパー・クウー洞窟です。本当は,クアンシーの滝にも行きたかったんですが,泊まった宿にはこの2つをセットにしたツアーの斡旋はありませんでした。というか,洞窟ツアーの斡旋がありませんでした。聞くと,「洞窟はツアーで行くよりもボートで行った方が安い」とのこと。なるほど。てことで,クアンシーの滝は諦めて(ついでに書くと,水着持ってくるの忘れてた),洞窟だけを攻めることにしたのでした。
 そして,宿で聞いたボートの時間は8時。てことで,私は真面目な時間厳守のジャパニーズ。8時前にボート乗り場に着きました。が。誰もいません。
 おいおい。案内出てるし,間違った場所には来てないはずなのだが……。
 というわけで,しばし乗り場の周りを行ったり来たり,不審者行動をとっておりますと,関係者?の方が話しかけてきて「もうすぐここに受付がくる」的な話をされておりました。なので,場所も時間も間違っていないことが判明。気も楽になったので,向かいにあるカフェでカフェインを摂取します。ここでコーヒーを飲むと,ボートの中でトイレに行きたくなる可能性もあるのですが,折角の旅行中にカフェイン切れを起こすよりはいいかな,と。
 ちなみに,旅行中なんどかアイスラテを飲みましたが(海外では純粋なアイスコーヒーは受けが悪いのでアイスラテを飲むことにしている),それなりの店であれば氷は大丈夫なのではないかという結論に到達しました(おなかは壊してない)。

メコン川沿いに泊まっていた船
これは車も乗っているので
地元民向けの渡し船かなにかかな?
レストランが売りに出ていた 乗り場向かいのカフェ 果たして4人も必要なのか カフェインゲット 川沿いの通りの雰囲気
ボートトリップ案内 チケット売り場 チケット 順番に呼ばれます 乗り場へ向かう ここでどの船に乗るか
指示を受けます

 そんなこんなで,しばらくすると人が増えてきます。チケット購入。65,000Kip。とりあえず椅子に座って,置いてきぼりを食らわないように待ちます。数字(チケットに書かれた番号)が呼ばれて下におります。なんかよく分からんけど,「このボートに乗れ」と言われたので従順な旅行者である私はそのボートに乗り込みます。まだ1席空きがありましたが,ボートは出発。なんかこういう場所ってとにかく客を詰め込むイメージでしたが,ラオスはおおらかですね。中国やインドとは違う空気感です。
 なお,写真を見ての通り,ライフジャケットは座席後部にかけられておりますが,人数分はありません。大丈夫なんでしょうかね。まあ,死人が出たという話は聞いていないので,死なない程度には大丈夫なんじゃ無いかと思います。とりあえず,乾季に乗ってる限りは無問題。
 ボートはメコン川を遡っていきます。いやあ,いいですね,メコン川。一度は学校でならう,世界有数の大河川です。東南アジアと行ったらメコン川とメコンデルタですね。ところで,国際河川のWikipediaを見たところ,「ヨーロッパ中部から南東の黒海にかけて計10か国にまたがるドナウ川は、その典型的な例といえる。他にも色々あり、ドナウ川が最も有名である。」という記述がありました(2020年5月時点)。なんか書いた人のドナウ愛が凄いですね。知名度だけならドナウ川よりもナイル川の方が有名な気がしますが,もしかしてどこかでアンケートとったりしたんでしょうか。

 Boat Tripとの名はついてはおりますが,特にガイドさんがいるわけでもなく,ただひたすらメコン川を進むだけです。そこそこのスピードは出ますから,確かに上着を持ってきておいて正解だった。従うべきは親の言葉。

中の様子 上は結露しててたまに水が落ちてくる あとで撮った運転席 いざメコン川! 船が進みます ほかの船とすれ違う

 川の水はきれいとはいえませんが,化学物質がぷかぷかしているかというと,見たところそんな恐ろしいことにもなっておりません。多少のゴミはあるけど。流域の皆さんはメコンの魚を食べているのでしょうから,しっかりとした公害規制がなされているのではないでしょうか。
 あと,これが12月31日だったからなのか,それともいつものことなのかは分かりませんが,乗ってる限りは工業用の船には出会いませんでした。砂利積んだり木材積んだりしてる船はいてもよさそうなもんだけれども。
 そんなわけで,やることもないので,対岸の景色を見たりして時間を潰します。ぼーっとしてると尿意がやってきそうだしな。
 途中に登場した建設中の橋は,どうも噂のラオス・中国間の高速鉄道のようです。噂には聞いてましたが,何もないところに突然巨大な人工物が出てくるとなかなかに異様です(これは日本の山林をぶった切る高速道路とかでも思うところですが)。中国の戦略についてどうのこうの言う場所ではないので,とりあえず「でっけーなー」という小学生のような感想だけ残しておきたいと思います。
 あと,船やなんやでなにかを採ってる・捕ってる方もおられます。これが噂の川海苔,カイペーンなのでしょうかね??

高床のたてものは雨季対策? なんか大きな建物があった こんな空気を進んでいく
いやあ,のんびりしてていいですね
ゴミが浮かんでたので
慌てて撮った写真
謎の物体。灯台じゃなさそうだし…… 正面に橋が見えてきた この一帯だけ木が枯れている 橋に近づく
建設中 ムアンサイ側は橋脚だけ 下には大量のがれき
いまいちどこでできたゴミなのかは分からんな
中国語の看板が
捨てられております
その奥には別の(工事用の?)橋のようなものがある
なにか見えてきた 車のフェリー乗り場かな? 作物?を運ぶ人たち 養殖かな?
こちらもなにかを採っておられる様子 何かを育てている
大勢の人がいる 子供も多い
ヌードの子もおります
家が見えてきた
斜面にある建物は雨季に崩壊しないのでしょうか……
親子で住んでいるようです 何かの養殖をしてるみたい ここも木が枯れている

 そんなわけで,1時間ほど乗ると,船はウイスキー村に到着です。日本語のGoogle Mapでは”バーン・サンハイ”という名前になっています。英語では”Sang Ha”となっており,最後の”イ”がどこからやってきたのか分かりません。もしかしたらみんな酔っ払ってるので正しい発音ができてないのかもしれません。
 そんなわけで,下戸な人間をウイスキー村におろしたところでウイスキーなんかには興味はありません。ここですべきことは,先ほど摂取したコーヒー由来の水分を外に出すことです。コーヒー由来かどうかはさておき,考えることはみんな同じ。ボートを下りたところで立ちションしている人もいましたが,私は真面目な日本人なので,大人しくお金を払ってトイレを使いました。
 で,この村にはお寺があったので,参拝。ラオスのお寺はこれが初めてであります。どこまでズケズケと入っていっていいのかは分かりませんが,他の観光客も入って行ってるのできにしないことにします。
 金色の仏像はこれまでにも色々な場所で見てきました。あわせて,インチキおじさん像がありましたが,誰なんでしょうかね。また,お坊さんが勉強していました。12月31日ですよ,今日は。大晦日にもお勉強です。のんきに観光旅行している日本人は恥ずかしくないんでしょうか。

到着しました 村に向かってのぼっていきます 桟橋を見下ろす メコン川の眺め トイレは水洗(自力)です
鶏がいました 村の様子 奥に寺院が見える
寺院へ 境内のようす 象の像 暑い国恒例,寝そべる犬 本堂の絵と扉
てきとーに撮った写真なんだが
見返してみると
下の台座に描かれてる生き物とか
右の仏像だけ白かったりとか
いろいろ興味深いな
正面に犬とクジャク?
後ろにはナーガがおります
鐘楼が目立ちます 座ってたり立ってたり寝てたりと,様々な仏像がおりますね
犬に守護されたインチキおじさん
手前にいる人に指示を出しているのでしょうか?
大晦日でも勉強です。頭が下がります
衛星放送が入るようです ウイスキー販売中 複数の船は
こんな感じにとめます
人が降りてくる 人を降ろすと一旦いなくなった

 てな具合にお寺を見ていたらタイムアップ。船に戻ります。
 そこから約20分。これまで,川の両岸は洞窟がありそうな岩がごろごろした雰囲気はなかったんですが,最終的にようやく岩山的雰囲気になりました。そして,洞窟に到着です。与えられた時間は40分。
 それにしても,こうやって船から見ていると,よくこんな洞窟を見つけたな,という気になります。おそらく今は多少木を切ったりして岩肌を露出させてるんでしょうけど,昔はそれも無理だっただろうし。

対岸の村? 水牛がいました。飼われているのか,野生なのか…? 雨季に引っかかったゴミだと思われる ぷかぷか浮かぶゴミ
なんとなく灯籠みたいだけど
自然の石かな?
崖の上に東屋が 崖の上の建物と,川沿いでは何かを育てているように見えます 正面が岩っぽくなってきた
岩っぽい雰囲気の中
進んでいきます
慣れてないと座礁しそう
村とその下のボートたち 女性と水牛。写真だと距離感分からないんですが,それなりに近くを歩いてるような
水牛って人を襲うことはないんでしょうかね?
何か作業をしている 目的地が見えてきました 岩の浅瀬を大回りしていきます
ぱっと見,洞窟があるようには
みえない
よくこんな洞窟見つけたな
洞窟 桟橋

 結論として……期待外れでした。
 というか,勝手に期待を高めすぎた自分が悪いんですが。いやね,「洞窟」「仏像」という響きから,てっきり磨崖仏があると思ってたんですよ。そりゃ見たくなるじゃないですか。どんな磨崖仏がいるのだろうか,ってなもんですよ。
 ところがどっこい。ここにはあくまで大小様々な仏像が持ち込まれて安置されているだけでした。「だけ」とかいうと失礼千万なのはわかってるんだけど。そして,洞窟もそんなに深くない。


歴史
原始的な自然崇拝から出発
注意書き Lower Caveについて 備えられている仏像について こんな感じで,左右に若干の奥行きがありますが……これでおわりです
こいつは何者だろうか これが中央に鎮座。ただ,特に大きな仏像があるわけではない 洞窟内から外の眺め この仏像は特徴的 表情はまちまち この岩に意味はあるのか
奥の方にまで奉納されている この石版は興味深いな 天上天下唯我独尊! 奥まで行けます。何があるのか…! ここからの眺め
ここで行き止まり 振り返って洞窟を見る おみくじでしょうか? 小さめの仏様 白い台座は誰がつくったんだろう
よくみると,仏像というより
王の像にもみえるな
狛犬?
磨崖仏ではなく
下と接着されてるんだな
右側の洞窟 上にも穴は伸びている この鉄の棒は
どこまで意味があるのか
下の木の椅子?は
こんな位置でいいのでしょうか
ちょっと鍾乳洞っぽい
あらためてのぼります ガルーダさん! こちらのほうが仏像は多い 奥も深そうだけど,果たして
ストゥーパ的なものもある その奥も鍾乳洞っぽい

 とまあ,がっかりしていたところ……どうも上にも洞窟があるということが判明。どおりで40分も与えられたわけだ。てことで,慌てて階段を上ります。これが結構きつい(後述のWikipediaには徒歩15分とありますが,そんなにはかからない)。アラフォーおじさんに階段は敵ですよ。
 そして登った洞窟にも……特に面白いものはありませんでした。まあ,前年のインドで石窟寺院とか見てるのも良くなかったかもしれない。ちょっとそっちのイメージに引きずられた。

慌ててのぼります
(慌ててたので上りの写真は
この1枚しかなかった)
見えてきました 保存事業 ちょっと恰幅のよい仏像 入口
Upper Caveについて 洞窟へ 振り返る 壁面には仏像の絵?があった跡 この絵はなんだろう?
奥の祭壇 途中に掘られていたもの
なんなのでしょうか?
振り返る
手前にもいくつか祭壇が こっちは天井が低い 銅鑼
説明を読むに,寄付したら叩いていいっぽい
入ってすぐの祭壇 その脇の折れた丸太
ドア周りの石 こいつの役割はよく分からない

 その外の小さなお社。なんか白いのがついてるな,と思って近づいてみると,もち米でした。
 どうも,もち米をこうしてペタペタつける文化があるようです。よく分からんのだけれど,朝見た托鉢でお坊さんにもち米を喜捨する文化とつながりがあるのだろうな。大事なもの(コメ)を仏教に捧げる,という意味では似ている(勝手に納得したけど全然違ってたらどうしよう)。にしても,こんなにコメがひっついていて,カラス的な鳥はやってこないんでしょうか?



 そんなわけで,洞窟は期待外れでしたが,そのまわりが興味深かったのでした。お社のほかに面白かったのは階段にいる物売りの方々。みなさん,そこまでがっついておりません。ラオスの社会主義が実際問題どのように運用されているのかは分からないんですが(ちょっとだけ興味はあるんだけど,ちょっとしか興味が無いのであえて調べないことにする),皆さんなんとか食べることはできてるのでしょうかね。インドとか中国とか,最近はガツガツした国に行ってたので,この緩い空気はいいですね。
 そして,気になったのは売りもの。なんかかごの中の鳥を売ってるように見えました。観光客相手に売って,買う人がいるのだろうか。いるから売ってるんだろうけど。(※あとでネットをみてたら,こちらのブログを発見。プーシーの丘でも小鳥の販売があり,小鳥を解き放つことに意味があるようです。なんか売り子とのマッチポンプ感があるけど。それより,こちらの弘前のお菓子屋さんのお菓子が美味しそうですね。弘前に行ったときってお土産いつも何を買ってたかな……)

お土産売り 下ります 子供と話すおじさん さらに進む
全体的にガツガツしていない
こんなのを売っている
これももち米でつくってるんだろうな
かごを持ったおじさんとその子供(多分)
かごの中には鳥がおります
商売っ気のない子供
袋の中は不明です


 ところで,今あらためてGoogle Mapをみると,洞窟の対岸に町があります。これがパー・クウー村,ということになるようです。
 そして,Google Mapではここにお寺があります。まあ,Google Mapの口コミできちんとお寺に触れているのはFrenchの人だけで,あとは洞窟の写真ばかり載ってますが。Google Mapの口コミの質の悪さは仕方が無い。それはそれとして,ここにお寺があるということは,対岸の洞窟とこのお寺との関係が気になります。
 ということで,あらためて,助けてWikipedia。パー・クウー洞窟の記事があります。まず,Wikipediaでも船の出発時間は8時とあるじゃないか!どういうことよ。それはそれとして,Wikipediaレベルではこの洞窟の歴史について,まったく分かりません。試しに他言語のWikipedia記事を見てみましたが,日本語が一番充実しているという結果に。ううむ。どういう経緯でここに仏像があつまったのか……。
 検索してもいい感じの解説があまり出てこないんですが,こちらの4Travel旅行記がちょっと詳しい。セーターティラート王がこの洞窟を発見したとのこと。お前誰だよ。
 ということで,あらためて「セーターティラート王+パー・クウー洞窟」で検索。これもパパッと検索しただけでは特にこの洞窟についての細かい話は発見できませんでした。その代わり,このセーターティラート王は歴史的に見て非常に重要な人物であることが判明(とりあえずWikipedia。)。お前誰だよ,とか言った自分が本当に恥ずかしい。ルアンパバーンに行くんだから,ルアンパバーンの歴史くらい確認しておけ,って話ですな。このセーターティラート王がラーンサーン王国の首都をビエンチャンに移し,シエントーンの名前をルアンパバーンに改称した,ということのようです。ルアンパバーンの名付け親なんですな。そんな衰退期を迎えたラーンサーン王国の首都北部で発見された洞窟に仏像を安置して祀った,というのはなかなかにもの悲しい空気感があるように思われます。もちろん,実際のところは知らんけど。ついでに,Wikipediaを読んでいると「エメラルド仏」なるものの名前が出てきました。そして,なんとびっくり,この仏様はワット・プラケオに安置されていたようです。もしかして見たことがあるのか。ううむこれだから無知な奴はいかんな……。

パー・クウー村について 対岸がパー・クウー村だと思われる 桟橋

 あとは,メコン川を下ってルアンパバーンに戻ります。
 当たり前ですが,通る川はさきほどと同じなので,景色も同じです。一応異なるのは,進行方向が逆になるので先ほどと逆側が見える,ということであります。
 なお,自分のデータを漁っていたら,ボートで撮った動画が見つかったので自分のためにリンクを貼っておく

パー・クウー村に別れを告げる 下流に向かいます 先ほど立ち寄ったウイスキー村 工事中の鉄道橋が見えてきました
橋をくぐる たたずむおじさん なにか工業製品を積み込むためのものでしょうか?
砂利運搬船のようにも見えるけれど,どうなんだろうか 観光用の船が多数停泊 ルアンパバーンに戻ってきました 港が見えたぞー
桟橋をアップで 方向転換して停まります 上陸。お疲れ様でした

 そんなわけで,洞窟はちょっと期待外れでしたが,それでも朝からメコン川をクルーズできたので,総合的には満足です。帰りの船は,河が下っていることもあり,70分ほどでルアンパバーンに到着。手元の写真によると,到着時間は12時25分。所要時間はおおよそ4時間ですね。
 お疲れ様でした。ただ,残念なことに旅行者は疲れてるだけでは駄目なのであります。

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