サカノタモンヤグラ

 2021年の秋、尼崎に仕事がはいり、その翌日フリーになったので何をしようと思案しておりました。すると、住之江競艇の存在に気づき、久々に行ってみようかな、と。
 そして、どうも大阪城で櫓が公開されるということのようなので、大阪城→住之江競艇という流れで動くことにしました。

 なお、その前日は月食の日、ということで、新大阪駅前でも月を撮っておられる方が多数おられました。

この日のお仕事 新大阪駅 月の様子 新大阪のコメダ珈琲
なんとなく場所に覚えがあったので
初めてじゃないような気がする

 大阪城に行くのは何回目か、既に記憶から飛んでおりますが、過去旅行記をつくったことがないために記録もありません。旅行記をつけるようになってからも訪問した記憶があるので、探せば出てくるでしょうしまた気が向いたら旅行記を書くと思いますが、とりあえず何回も行っている場所ほど旅行記が後回しになりがちなのでこういう事態になります。大阪城はなんといっても石垣が見所なので、そのあたり前回と今回で自分の見る目が変わったのかどうなのか、ちょっと気になりますが……。

 今回は天満橋から大阪城に乗り込みます。途中、大阪王将でカロリー補給。


1. 大手門〜多門櫓

 さて、いよいよ登城。大手門から入ります。
 それにしても、道幅が広いです。今更いうのもおかしいですが、大きな城ですね。
 大きな城だけに、中をエレクトリックカーなるものに乗って移動することもできるようです。ディズニーランドみたいですね。

大阪城公園内案内図 何かの像 エレクトリックカー

 大手登城路が広いので、とりあえず左側だけを眺めます。
 外堀は相変わらず広くて美しいですね。これぞ完成された城、という感じがします。

大手登城路 大手外堀 左が千貫櫓、右が多門櫓

 そして、大手門と大手の升形。
 大手門をくぐると正面に鏡石が3枚。さっそく大阪城の大阪城たる姿を見せてくれます。この先にまだまだどでかい石が登城するので、ここで道草を食ったら負けなのですが、こういう贅沢なつくりにしてしまうあたりが大阪城のすごさです。
 なお、適当に検索していたところ、お城巡りFANにて、大阪城の巨石ランキングが分かりやすくまとめられていたのでリンクを貼っておきます。引用元として上がっている渡辺武さんの大阪城秘ストリーには書評がまったくついていなくて、この本の評価に困ってしまうのですが、渡辺武さんは大阪城天守閣の館長だった方のようなので本の内容は信頼できるのでは無いかと思います。ただ、あえて今買うかというと迷ってしまいますね……。Amazon先生が勧めてきたちくま新書の大阪城全史の方が気になります。新書のくせに1320円もするので、現物見ないと買うかどうか決められないけど。

大手門 くぐります 正面 木もあるし、ちょっと左斜め前方向に3枚並んでいるので、
ぱっと見の威圧感はそこまでではないです
威圧するのは後のお楽しみで、とりあえず財力を感じながら通れ、
という程度のことではないかと思います
多門櫓 このあたりの石も
大きいんですよね……
内側から眺める多門櫓

 なお、千貫櫓は有料ゾーン(西の丸庭園内)にあるので、千貫櫓の案内板はここにあります。


2 大阪城の櫓特別公開

 さて、今回の主目的、櫓の特別公開へと向かいます。
 西の丸庭園〜千貫櫓〜多門櫓の3つを見ることになります。それにしても、このコロナの時期に火縄銃体験とは思い切りましたね。


2.1 多門櫓

 櫓の見学ルートは、多門櫓からになります。正面にある千貫櫓はあとからみることになるので、間違えてはいけません。

 多門櫓は内側から見るとびっくりするくらい装飾がなくて無味乾燥です。

正面に見えるのは千貫櫓 多門櫓に入っていきます

 多門櫓の内部構造自体はそこまで特筆すべきものはないのではないかと、素人的には思います。ただ、途中で折れ曲がる構造なので、ちょっと方向感覚が狂います。
 なにが自分をそんなに狂わせていたのか、あらためて考えてみたんですが、先ほど大手門から入ったところで、自分の目が完全に石垣に釘付けになっていて、その上に多門櫓がある、という意識がゼロでした。なので、「多門櫓にはいると石垣の上に到達する」というあたりまえの意識がなく、それゆえ「ここはどこ、私はだあれ」状態になっていたのだな。

 特徴と言っていいのかは分かりませんが、天守閣とは異なり全面撮影OKなので、記憶喚起はしやすいといえばしやすいですね。


 中の展示内容は、出土品についてや、石垣の刻印についてなど。これらのものはもっと常時公開される場所に移すべきなんじゃなかろうか、という気もしてしまいます。

櫓解体修復遺品 幕末解体時の
しゃちほこ
大阪城の主要建造物の移り変わり
この一覧表なんかは大阪城のサイトの
どこかに載ってそうで載ってないように思う
大阪城石垣の刻印
大阪城石垣の刻印 多門櫓の歴史
豊臣期に多門櫓があったか不明、としつつも、
「無かった頃の絵」を出しているのが面白い
大阪城の多門櫓 その他、城郭構造物の解説
土橋などにもきちんと触れていて、地味にしっかりした解説になっております

 そして、折れ曲がって鏡石の上部の櫓へとはいっていきます。
 このあたりには武者だまりがあって、兵士が多数待機していたことが分かります。まさに、戦闘のための櫓ですね。

進んでいきます 行き止まり 逆向き 武者溜
このあたりからの狙い
大手門が正面に見えますね
鉄砲狭間 ちょっと角度をつけた
位置から
櫓門で詰まった敵を
狙い撃ちできます
櫓門上部とは高低差あり

 櫓門の上部にもどってきました。このあたりからの眺め。まずはちょっと石垣側から。ここからだと大手門を抜けてきた連中もしっかり狙撃できます。


 城を回りすぎると石落とし系の展示はスルーしがちになるんですが、もちろん本来的にはスルーが許されません。ここは石落としでなく槍落としですね。どっちが殺傷能力高いんだろうか。


 逆側、つまり櫓門を抜かれた場合は裏側から狙うことになります。こちら側は門の屋根の関係で死角が多いですね。侵入した敵は多門櫓から狙うというよりは、千貫櫓はじめ別のところから狙う、という感じなのかもな。


 そんなわけで、千貫櫓へと向かいます。
 道中、櫓門を抜けてきた敵の狙撃ポイントがありますが、ここは櫓が無い状態で戦わないといけないので、ここで戦うのは命がけですね。


2.2 千貫櫓

 そんなわけで千貫櫓に入ります。
 この櫓は非常に面白い構造になっておりまして、まわりをぐるっと廊下がはしって、中に4部屋。どこかの天守にこんな構造のものがあったような記憶がありますが(ぱっと思いつくのは宇和島城)、いったいこれは何のための建物だったんでしょうか。しかも廊下と部屋の敷居も上半分は壁になってるし、この柱の数だと襖や引き戸とかを置いても動かしづらそうだし、興味深いですね。
 こちらも、お城巡りFANに詳細に記事が出ております。この記事は大変読み応えがあり、素晴らしい。

千貫櫓 入ります 千貫櫓入り口からの眺め

 この千貫櫓には現地ボランティアの方がおられて、ヒマそうな単身者のNPが見事に捕まりました。てっきりこの日伺ったことはメモしていたと思ってたんですが、スマホを見返したところ、記録は残っておりませんでした……。これは失敗。
 覚えていることとしては、今残っている大阪城の外堀の広さは、千貫櫓から火縄銃で射程距離に入っている距離から決まったものである、ということだけでございます。あとは、この面白い構造(特に内部に部屋が分かれていたり上半分に壁があったり)についてもなにか聞いた記憶がありますが、完全に記憶からぶっ飛んでいます。

千貫櫓から大手門方向 千貫櫓から城外方向

 ボランティアの方とはそこそこの時間話したような記憶があるんですが、中身が記憶からぶっ飛んでるというのは完全にこっちのミスだな……。なにやってんだか。

解説 入って前と右方向を見た図 入口を振り返る 懸魚
内部の部屋割りは本当に興味深い。これ、中のものを取り出そうとしたときに半分おりてる壁がかえって邪魔にならないんでしょうか??
扉があった? 階段 上は真っ暗 回廊と天井部の木組み

 せっかく説明していただいたのにボランティアの方には申し訳ないことをしましたが、この不思議な建物を見られただけで満足です。
 
 千貫櫓を出て、西の丸庭園に降り立ちます。自分が石垣の写真を撮っているのを見て、先ほどのお城巡りFANさんに書かれていた「千貫櫓は傾いている」という話をボランティアの方からも聞いたことを思い出しました。まったく、自分の記憶力のなさ、というか記憶力が無いくせにメモを怠る駄目さが嫌になりますね……。


2.3 西の丸庭園

 大阪城の西の丸庭園をうろつくのは2回目になります。お城の●●庭園というと、一般には日本庭園があることが多い印象ですが(パッと思い浮かぶのは名古屋城と駿府城)、ここには近代の公園のような野原がで〜んと広がっています。
 たまたま行った季節が紅葉の時期だったので、木々の葉っぱは赤く色づいており、これはこれできれいでした。
 まあ、順番は前後しますが、最大の見所は西側から見る天守と、西側から見る内堀、そして石垣でしょう。これを見るためにお金を払って西の丸庭園に入るのです。そんな物好きは多くないと思いますが。


3 坤櫓跡

 千貫櫓を出て奥に進んでいくと、坤櫓跡に到達します。
 櫓跡、といってもさすが大阪城だけあってかなり広いです。いやはや、恐ろしい城であります。

解説 櫓台 登ってみました 坤櫓跡から千貫櫓方向

4. 乾櫓

 坤櫓跡の向かいにあるのが、乾櫓であります。こちらは公開されておりません。 
 L字型の建物で、内部は非常に興味をそそりますが、公開されるタイミングはあるのかな??

坤櫓跡付近から、乾櫓方向 解説 乾櫓 石垣の上から見る乾櫓と、その出入り口 石垣の上から坤櫓跡方向

5. 大阪迎賓館

 その先にあるのが、大阪迎賓館。こちらは遠巻きに眺めるだけで次に進みます。
 木が多くて全貌が見えづらいですね。迎賓館として使われただけあって、おそらく内部構造は大変興味深いものなんじゃ無いかと思います……。



6.煙硝蔵

 こちらは石造りですが、これもまた重要文化財。
 ここについても、お城巡りFANさんの記事が極めて分かりやすい。いやはや、凄いですね。この記事に紹介されている石垣の刻印なんて全く意識してませんでしたよ。


7.西の丸から見る堀と天守

 先ほども書きましたが、西の丸庭園から見る景色としては、ダイナミックな内堀と、内堀越しに見る天守の姿が最高です。
 ちょっと木の枝と葉で隠れている部分が多いですが、まあそれは仕方がない。
 そして、印象的なのが空堀をぶち抜いて、石垣に突き刺さっているパイプです。もちろん、現代に後付けでつくられたものなはずですが、これがあると要塞感があってよいですね。大阪城というと天守にくっついたエレベーターがとかく評判が悪いのですが、同じく「江戸時代の城にはあり得なかったもの」であっても、パイプはなんとなく許せる自分がいます。

空には全日空 天守がそびえます 船遊びもできるようです 水堀越しの石垣
石垣と天守 水堀と空堀の境目 水堀まわりの石垣
微妙に真っ直ぐじゃないのが
美しいですね
空堀の石垣と空堀 近くからだと木が邪魔で天守が見えづらいので
ちょっと下がって見る必要があります
→の写真をGoogle Photoさんがパノラマにしました 石垣と空堀 大坂城代屋敷跡 ここからだと
天守への視界が開けてます
空堀 堀と石垣をぶち抜く
パイプがいい感じです
石垣と空堀のパノラマ パイプと空堀と石垣と

8.南仕切門跡&太鼓櫓跡

 西の丸庭園を出て、本丸方向へと向かいます。道中、いかにも門があったような空気感を漂わせた石垣があります。ちゃんと解説板が立っており、南仕切門跡&太鼓櫓跡であるとのことです。太鼓櫓があったのは西側の石垣の上とのことで、西側というのは、外側(西の丸側)から歩いて行くと向かって右側ですね。

奥に南仕切門跡が見えてきます 解説 この石垣の上の出っ張りは
なんなんでしょう??
太鼓櫓はこっち側のはず

9.石山本願寺推定地

 もはや跡形も無くなっていて、本当にここにあったことすら信じられないのが石山本願寺。織田信長がたいそう苦戦させられたことでも知られております。
 ただ、もはや位置関係からしても、ここが海と繋がって毛利&村上水軍が海から荷物を積み込んだことなど、まったく想像できません。
 そんなわけで、非常に有名な施設であるにもかかわらず、観光客は皆ここをスルーしていくのでありました。
 なお、その脇には西大番衆小屋跡もありますが、こちらはさらに目立ちません……。その先の建物は修道館であります。


10.桜門土橋

 本丸前最後は、桜門へと通じる土橋です。
 土橋自体は整備されていて特になにも感じないのですが、やはりここから見る堀と石垣は素晴らしい。このダイナミックさこそが大阪城の良さであります。

土橋が見えてきました ぐるりと見回します 桜門に寄ったあたりから左右を見る

 さあ、ようやく本丸に突撃です。

サカノホンマル


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