Exposition de Matière fécale

 Matière fécaleというのはフランス語で糞便の意味だそうです。糞便、というと顔を背けたくなりますが、Matière fécaleと言われるとなんかオシャレに感じてしまいます。フランス=オシャレのイメージはいったいいつから存在するのか分かりませんが、とりあえずフランス語を使うと色々とごまかしがきくのではないかと思います。

 さて、ときは2021年6月13日。ルヴァンカップ準々決勝神戸戦が、浦和駒場スタジアムでおこなわれることになりました。イニエスタが駒場に来るのです。これは行かないわけにはいきませんね。

 そして、せっかく埼玉まで出向くので、昼間は何か別のことをしたいですね、というわけで色々検索したところ、川口でちょっとした展示があるのでそこに寄り、そのあと川口のスーパー銭湯に入ってから駒場に向かうことにしました。

 ここ、川口市立科学館でおこなわれている展示は、その名も「ウンコ展」。いかにもお子様が喜びそうな展示ですね。これに喜んでる40代のおっさんというのは、もはや手遅れ感があります。そうはいっても、人体において排泄というのは極めて重要な行為であり、便秘に悩む人は世の中に数多く、ウンコを漏らしたことや漏らしそうになったことがトラウマになっている人も世の中にたくさんいるはずです。私も、これを書いている2022年の1月26日から遡ること26日、つまりは2022年1月1日、富士宮駅でうんこが漏れそうになって駆けずり回りました。
 そんなわけで、れっつごー。


 川口市立科学館は初めて訪れた場所ですが、国立科学博物館的な場所よりももうちょっと対象年齢が低めでありまして、お子様向けの場所でした。こんなところに40代のおっさんが一人で乗り込んでいるのだから、危険人物以外の何者でもありません。引き返そうかとも思いましたが、ここまできて引き返すとかえって危険人物っぽいので、マスクに顔が隠れていることをいいことに、中を探索することにします。
 ウンコに関する展覧会というと、2014年の科学未来館のトイレ展以来ではないかと思います。あのときはまだギリギリアラサーでした。アラフォーになっても人間進歩しないのですね。
 ただ、文系の私としては、ウンコのことよりもトイレの方に興味があるのも事実なのよね……。

 中に入りますと、早々にインスタ映えする金のウンコがお出迎え。今インスタで「#ウンコ展」で検索したら投稿17件でした。これが多いのか少ないのかは、過去の展示との比較問題なのでなんともいえません。


 さて、全般的に子供向けの雰囲気はあったものの、壁に掲げられている解説などは実はしっかりと大人向けです。残念ながら文系の私にはついて行けないレベルの解説も多かったですが、ウンコとうんちの呼び方など、文系向けの解説もあって楽しめました。というか、これ、子供向けにしておくにはもったいなさすぎないか。


ヒトの暮らしに役立つウンコたち 動物の体重と食べる量の関係 ヒトのウンコは何でできている? どうしてウンコは臭いのか なぜ呼び名が色々あるのか

 例によって、写真は大量に撮っているのですが、さすがに全部アップするのは気が引けると(というか権利関係的にそりゃ無理よね)のと、他方でここで載せないと一生見ることはないと思われるという感情が衝突しております。
 で、とりあえず昆虫から攻めます。解説でも、昆虫のフンは「うんことおしっこ」が一緒になったもの、というのが太字になっています。ここはテストに出ます。


 次は動物コーナー。
 やはり子供であれば動物のうんちの方が気になりますよね。大きなお子様も同様なのです。

 まずは壁に掲示されている解説から。肉食・草食それぞれの動物に関する解説があります。これ、非常に分かりやすくつくられているのですが、他の展示会に巡回したりするのでしょうか。ここで終わらせるにはもったいない。

肉を食べる動物たち へび、だちょう、おおありくい
アビシニアコロブス
草食動物

 続いては、実際に動物の糞便を見られるコーナー。もちろん、密封されており、臭いません。動物なのに洋式便器の中にフンが入っているという設定で(もしかしたら私が知らないだけで動物園の裏側ではうさぎやライオンが洋式便器を使いこなしている可能性もあります)、下のペダルを踏むと便座カバーが開いて中のフンを見られるというギミックです。
 こういう創意工夫をしていただくのは、お子様的には楽しくていいんですが(もちろん、フンが丸見えだと不快な思いをする方もおられるだろうから、直接フンを見られないようにする配慮なんだろうけど)、40オーバーのおっさんがこの機械を踏んで写真撮って……とやってるのはなかなかに恥ずかしいです。

うさぎ ライオン ピューマ ダチョウ

 そして、シマウマ、ニホンカモシカ、パンダは特別扱い。剥製なのかなんなのか分かりませんが(パンダの剥製はなさそうなので、単なるモデルかな?)、その姿とフンがセットで並んでおります。

シマウマ ニホンカモシカ
パンダ

 そして、ウンコの化石の展示もあります。「糞石」という名前はなかなかにストレートです。なお、こちらでは糞石の英名は"coprplite"と表示されておりますが、Wikipediaで糞石を見ると"coprolite"と出てきます。発音的に、後者の方が圧倒的にスムーズなので、なにかの間違いでpとoを取り違えたんじゃないかという気もしますが、まあ素人の私がどうこういうべき場所ではないでしょう。


 続いては、人間のウンコのコーナー。健康なウンコを目指しましょう、という話は、2014年の科学未来館のトイレ展でも見たのを覚えています。子供が多く訪れる展覧会では、このような展示は重要ですね。


 また、ウンコの臭いをかげるコーナーもあります。まあ、今の時代みなさんマスクをしているので、臭いはちょっと伝わりにくいのが欠点。


 最後に、あらためて様々な動物のウンコの比較ができるコーナー。あれ、さっきは便器に隠れてたけど、こっちではうんちが丸見えになってます。ということは、さっきの便器のギミックはうんちが見えることへの不快感をなくすためではなかったのだな。
 象やキリンに始まり、皆さんお待ちかね、ポニーもいます。「ポニーって大きさの問題で、馬の種類はなんやねん」という野暮なツッコミはしてはいけません。
 「いや、動物ごとの比較はいいから、パドックでウンコを漏らした馬と成績の相関関係や、パドックでうんこを漏らした馬のウンコの種類と成績の相関関係を明らかにしなさい」という意見もあるでしょうが、残念ながらそのような解説はありませんでした。各自、パドックで馬のウンコを見て研究しなければならないようです。
ゾウ シロサイ キリン
ポニー アムールトラ
ブチハイエナ こんな展示です

 そんなこんなで、40代のおっさんがひとりで行くにはなかなかに勇気の要る展示ではありましたが、展示内容は相応に大人向けでして、特にウンコの語源や糞石など、文系にも楽しめました。とりあえず、「くそ」という言葉は古事記でも使われていた、ということは覚えて帰っていいのではないでしょうか。

 さて、ここから歩いて、天然温泉ゆの郷へ。ここでひとっ風呂浴びて、駒場へと向かいます。

目の前にあった学校
あまりに立派なので写真に撮ってしまった
天然温泉ゆの郷

 ウンコの展示を見た後にスーパー銭湯で汚れを落とす、というのはいい流れだったのかもしれないな。



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