マツノコーシン

0.序

 2023年7月。愛媛日英協会の総会のために松山へ。何故私は2カ月続けて松山に行っているのでしょうか。まあ、気にしないことにします。

 気にしないのはいいとして。朝、マンションの1階で鍵を落としました。そして、拾おうと思ってしゃがみました。すると……ビリッと尻が破れました。
 別に自分がデブだからズボンが破れるのは自業自得なので別に構わないのです(構うけど)。問題は、「時間的にギリギリで、部屋に戻ってズボンをはき直している場合じゃない」というところにあるのです。ギリギリに家を出た自分が悪いのですが、それを悔やんでいる時間はありません。

←あとで撮ったズボンの姿

 そんなわけで、朝からテンション駄々下がりで羽田空港。
 羽田空港自体は別に久々というわけでもないのですが(なんせ前月も松山に飛んでいる)、このたび、見慣れないものがいました。自走する車いす。
 これ、凄いですね。用途はよく分かってませんが、自力で元の場所に戻って行っているようです。後片付けができないまま40数年生きてきた人間としては、こういうロボットの姿に感動を覚えます。

自走する車いす 松山便 着きました

 そんなこんなで、無事松山空港に到着。本来は真っ先にホテルに向かう予定だったのですが……私には行かねばならないところがある。そう、破れたズボンの代わりを手に入れねばならないのです。
 本来は仕事用のスラックスをしかるべき場所で手に入れるべきなんでしょうが、そこまでしっかりとした会合でもないし、なんなら翌日以降は仕事用のスラックスよりも動きやすいものを履いてた方がいい、というわけで、目指すはフジグランのgu。ほかに大街道に適切な店があるような気がしなくも無かったんだけれど、安心安全のgu(TAKA Qではない)に全てを委ねます。

 てなわけで、松山空港から路線バスで大手町。そこからエッチラオッチラ、北上します。味酒からフジグランは自転車で何往復もした道。暑い中ではあれど、慣れた道です。目をつむってでも行ける・・・はずだったのですが・
 あれれ。今まで通ってない道にいる……??
 そして、なにやら何かありそうな建物が登場。これはもしかして、行こうと思って行かなかった庚申庵か。

1.庚申庵

 てなわけで、ズボンの後ろが破れたまま、庚申庵へ。入場無料なんですね。それなのに職員さんが常駐されているようで、ビックリです。
 この庚申庵、GCM庚申庵倶楽部というNPOが運営しているようで、立派なホームページがあったり、YouTubeチャンネルもありました。

入口 入ったところ 解説
栗田樗堂って誰? 栗田樗堂と俳諧 庚申庵記 パンフレット
俳人番付 味酒野MAP 庚申庵の変遷~間取り 庚申庵の改変状況 庚申庵の復元工事

 さっそく私の恥をさらしますが、この庚申庵、「松山なんだからどうせ正岡子規夏目漱石かその関係者が居た場所だろう」程度に思っていたのです。
 が。この庚申庵は栗田樗堂さんが建てたもの。栗田樗堂については、どうも正岡子規が「過去四国一の俳人」と述べたことはあるようですが(呉市HP)、そもそも時代的にも正岡子規が生まれる50年前に亡くなっている方で、正岡子規とは全く関係がありませんし、もちろん夏目漱石はもっと関係ありません。小林一茶とは親交があったようですね。
 ここは正岡子規云々ではなく、寛政12年に建てられた建物が(増築改変はありつつも)残っているという点に意義がある建物であり、県指定史跡となっているのであります。愚陀仏庵とは性質が違うのですな。

 そんなわけで、中へ。狭い敷地なのですが、奥に向かって道が伸びます。というか、何も分からずに入ると奥が見えづらく、管理棟が庚申庵かと思ってここでUターンしてしまいそうになります(自分だけ?)。

管理棟 和敬静寂
和敬清寂が正しいとされているようですが……
奥へ進みます

 奥に進むと、藤棚。そして、庚申庵があります。
 とりあえず、荷物を置きたいので縁側に鞄を置いて、建物内に入ります。
 玄関からすすむと、手前が三畳間、奥が四畳半間、右に折れると二畳間。非常にこじんまりとした庵であります。

建物側 庭園側 庚申庵を外から
保存整備工事 玄関から進みます これがあるので
屈まないといけません
三畳間
二畳間 天井板は創建当時のもの そとを見る
四畳半間 欄干

 庚申庵の中をふらふらしていたところ、先ほど受付をしていただいた方が爪冷たいお茶を持ってきて下さいました。無料で入ったのにお茶までとは、ありがたい限りです。
 お茶をいただきながら、しばし外を眺めます。日陰だとさすがに暑さも和らぎますね。また日向に出なきゃいけないのか……。

お茶 外を眺める パノラマ

 ところで、栗田樗堂が読んだとされる句、

  一畳は 浮世の欲や 二畳庵

ってなんかよく分からないけど、いいですね。

蝉の抜け殻 庚申庵の前から 池の反対側から 井戸 飛び石

 庭自体は、時期的なものもあってちょっと緑が多すぎてごみごみしてるかな、という印象でしたが、庵自体は非常にコンパクトで雰囲気が良く、もっと早く(藤の時期に)行ってればよかったと反省したのでありました。

 で、庚申庵を見てしまった以上見落としていたもう1つの場所にも行くことにします。

2.大林寺

 松山藩の当主、久松家の菩提寺です。徒歩圏に住んでたくせになぜここに行かなかったのか、というと自分でもよく分からないのですが、とにかく行かなかったのです。
 外観は見た記憶がある(近代的なコンクリ寺院)ので、外観を見て中に入ることを諦めたのかもしれない。

寺号標 解説 本堂外観 洗心甘露水
二祖対面の庭
二祖対面の庭 梵鐘は県指定有形文化財

 二祖対面の庭、解説を読んでもさっぱり意味が分からないのですが、とにかくあまり見たことのない石庭で、面白いものが見られました。平成24年に出来たようなので、新しいですね。
 検索したところ、「二祖対面」というのは、法然上人と中国の善導禅師と夢の中で対面したことをいうようです。

 そして、本堂がコンクリ2階建てなので期待せずに奥に入ると、梵鐘が県指定有形文化財だったり、さらに木造の主夜玅神のお堂があったりします。解説によると、「主夜玅神」というのは華厳経に出てくるインドの神様のようですが、不勉強なので初めて知りました。

主夜玅神 主夜玅神堂 阿吽の黒猫 六地蔵と真ん中に子育地蔵 かわいい

 最後に、久松家墓所。ここは遠くから眺めるだけであります。

古の大林寺 久松家墓所

3.フジグラン松山まわり

 さあ、いよいよフジグラン。はやくズボンを買いたい。
 せっかくなので、愛光記念碑を撮影。そして、メリーゴーランドがあったことで知られるミスタードーナツからメリーゴーランドが撤去され、どこに行ったのかと思ったら……店頭に展示されておりました。

愛光学園生誕地 ミスタードーナツ

4.勝山電停

 宮田町から市内電車で勝山へ。勝山の電停は工事中で、コンクリの下がむき出しになっておりました。私は文系なのでポイントや線路の構造については全く理解していないのですが、線路自体は好きだし、普段見えないものが見られると嬉しくなりますね。


 ホテルへの道すがら、昼食と飲み物を買うためにコンビニ寄ったところ、丁度この日甲子園県予選決勝が行われたためにさっそく号外が出ておりました。

おまけでひめぎん本店 しんぶんし

 宮田町電停の動画と、勝山電停の動画をそれぞれ撮ってみました。気分はYouTuberであります。

5.道後

 路面電車で道後に到着。道後山の手ホテルに向かいます。初めて行きましたが、上り坂で疲れました。年寄りにはきついです。

道後商店街入口 道後山手ホテル

 懇親会を終えて、どこに行こうかと考えたのですが、今まで行っていなかった飛鳥の湯にいくことにしました。出来てから何年かは忘れましたが、これまで行ったことがなかった。油断すると近くにある椿の湯に吸い込まれそうになってしまうので固い決意のもと、乗り込みました。まあ、道後の湯には特に何も期待してないので、中はこんなもんかという感じではありますが、綺麗だったのでよかったです。
 ちなみに、中の下駄箱は100円リターン式だったんですが、私の目の前の下駄箱2つに100円玉が残されておりました。これ、このまま放置すべきか迷ったんですが、案内の人に預けてしまいました。気付いて戻ってくる人のことを考えるとこのまま残した方がいいのか、でも100円を誰かがくすねるよりは自分が温泉側に渡した方がいいのか、かといって温泉側も扱いに困るのか、10秒くらいの間に色々と考えた結果であります。とりあえず、ネコババしなかった自分を褒めてあげたい。

遠くに見える飛鳥の湯 到着 綺麗にライトアップされてました お値段 中の飾り 成分表

 帰りはまだ路面電車が動いている時間だったので、乗って帰ります。


 歩いていたら、福山ローズファイターズのバスがとまっていました。恥ずかしながら全く知らないチームだったんですが、社会人野球チームのようですね。翌7月29日にショウワコーポレーションと試合をするためにやってきたようです(結果)。


 そんなこんなで、また明日。

マツノヤマガ


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