4cm 差に泣く
トリ
有馬記念。スペシャルウィークは4cmの差で負けた。たかが4cm。しかし、この4cmは果てしなく大きいということは皆さんも重々承知であろう。2戦2敗。グラスワンダーには完敗というかたちである。
しかし、小生はスペシャルウィークがグラスワンダーより、そしてあのエルコンドルパサーよりも強いと信じて疑わない。
スペシャルウィークを語るにおいて、鞍上の存在は欠かせない。ミスにより取りこぼした皐月賞。どれほど多くの人がスペシャルから流して泣いたことか。折り合い欠いて2着も危なかった菊花賞。小生は1着3着の馬連を買っていて泣いたものだった。そして致命的なラストラン。ハナ差は騎手の差である。おまけにガッツポーズとウイニングランまでして。これまたスペシャルウィークの単勝買ってて泣かされた。
それから、白馬におけるスペシャルウィークの思い出といえば阪神大賞典だろう。雨の中のあのレース。がちがちの決着だったにも関わらず、いや、がちがちだったからこそ、帰り道を歩くメンバーの心に雨を降らせた。
しかし、一番の思い出は何と言っても5歳時のJCだろう。前走であれだけの強さを見せつけながら、モンジューの2番人気。これはおいしすぎた。当然スペシャルウィーク軸で決定だ。相手はもちろん種無し馬。これで2万馬券はおいしかった。おかげで今までスペシャルウィークで損した分を全て取り戻し、おつりまできた。
スペシャルウィークは確かにグラスにもエルコンにも敗れている。しかし、忘れてはならないのはいずれのレースもスペシャルウィークに不利な条件だったのである。4歳時のJCは菊で一度仕上げた後に中2週での挑戦である。一方、エルコンはJC一本に絞っている。これで3着なら立派だ。宝塚記念にしろ、有馬記念にしろ、これと同様だ。グラスは一本に絞っているのである。しかも、卑怯なことにグラスは不得意な左回りのJCを回避している。それにも関わらず、グラスのほうが強いなどというのはどうかしている。
スペシャルウィークこそ1999年最強馬なのだ。
『白馬』20号掲載