エリザベス女王杯回顧

 さて、なんか武豊の元お手馬が上位3番人気を占め、彼のお手馬の優秀さと、日本における彼の影響力の強さを示すこととなったレースでした。

 このレース、僕は思いっきり外しました。はっきり言って、ここまで完全に外したレースはそう多くはありません。全てはオリーブクラウンと高橋亮騎手のスタートから1ハロンにあったわけですが。
 僕の中の予想では、やはり、松田国厩舎の2頭のうち、人気・実績があり、かつ能力が上のフサイチエアデールを勝たせるために、オリーブは(表現は悪いですが)「捨て駒」になるだろう、と思っていました。ということは、つまり、「オリーブクラウンが(フサイチと人気をわけあっている)トゥザヴィクトリーを競りつぶす」あるいは、せめて「ハナを叩く」なりなんなりしてトゥザヴィクトリーのスタミナを少しでも消費させる作戦に出ると思っていたのです。なんといっても京都外回りなので、直線でインが開くことは当然予想できるので、内枠のフサイチは抑えてもそこまで問題はない(さしたる不利もなく差してこれる)だろう、と考えたのです。
 「なぜそういう展開を予想してオリーブクラウンがワイドの軸になるのか?」という疑問は当然湧き上がってくると思います。一応、上に挙げた展開予想の発展版(「こうなればいいな」的なもの)としては、オリーブがトゥザヴィクトリー(誰かこの馬の名前の略し方教えて)に競りかけ、そこまでハナに固執しない(人気があるがゆえに冒険できない)トゥザヴィクトリーがあえて競り合って後続(特にオリーブと同厩のフサイチ)を喜ばせるようなまねをせず、2番手で折り合い、オリーブの単騎逃げになる、と考えました。こうなると、スタミナだけで何とかかんとか複勝圏内に粘りこむ、ということが奇跡的に可能になるかもしれない、と思ったのです。この可能性に賭けてみるだけの価値のあるレースだと思ったのです。
 ちょっと話題がずれますが、僕は「ワイド流し」という買い方を結構よく使います。この買い方をすると、3番人気くらいの馬から流して、そこそこ人気のない馬がからむと、結構おいしい配当にありつけます。軸は3着以内に入ればいいのですから、なんとなく当たりそうな気がするではないですか。特に、軸に人気薄を指名した場合、必然的に相手にはそこそこ人気のある馬が入っているわけで、軸馬が複勝圏内に突入した段階で、最低1点は当たる可能性が高く、あわよくば2点的中、という嬉しい思いもできます。が、この方法の最大の欠点は、流さずに、軸馬の複勝に、流し馬券で買う予定だった金額を突っ込んだほうがもうかってしまう可能性があることです。それを防ぐために、流す点数をある程度絞る必要が出てくるわけです。特に、総流しは危険です。
 なぜこんなことを書いたかというと、オリーブクラウンには嫌な思い出があって、今年のオークス、当日は用事があって自分で馬券を買いに行くことができなかったため、長老に頼んだわけです。まず、ワイド流しの軸として、チアズグレイスを指名することはかなり早い段階から決定していました。そして、金曜日に、「今のところの予想」として、流す予定の相手6頭をメールで長老に送ったのです。もうお分かりですね。この6頭の中には、当然オリ−ブクラウンは入っていました。そして、運命の日曜日、長老に馬券を頼む段階になって、彼に送ったメールには、なぜか6頭の中からオリーブクラウンが消え、代わりにサイコーキララが入っていました。

 こんな過去があったため、オリーブクラウンはとても恨みの深い馬になったのです。しかも、僕の知り合いの父親がオリーブクラウンの権利を一口持っている、ということも発覚して、大変印象深い馬になったのでした。
 そんなこんなでレースがスタートしたわけですが、オリーブクラウンが控えて3番手に落ち着いたことで、僕の計画は完全に破綻しました。開始早々、外れを覚悟しました。
 まさか、オリーブが控えて、フサイチが2番手に行くとは...。全く予想していませんでした。完敗です。
 これが松田国厩舎の作戦だったのかどうかは分かりませんが、おそらくそうではないかと思います。外したから、その恨みも込めて、勝手にそう思い込ませていただきます。

 そんな松国軍団も予想していなかったのではないか、と思うのが(当然僕は予想してませんでした)、ファレノプシスの先行です。
 ここでまた話がやや脱線します。ファレノプシスの距離適性と言えば、いうまでもなく「マイラー」です。オークスで負けた時、浜田調教師は言いました。「距離の壁」。そして、「この馬は本質的にはマイラー」発言が飛び出したのです。この発言は秋になっても変わらず、秋華賞前にも「この馬はマイラー」発言が飛び出し、距離の壁を克服し(?)見事勝ちを収めたわけでした。が、僕にはどうしてもこの馬がマイラーだとは思えませんでした。もちろん、ナリタブライアンや、チョウカイキャロルのような、長距離適性があるとは思いませんが、少なくとも、2000mの適性は十二分にあったと思うのです。だからこそ、昨年も今年も、マイルCSではなく、エリザベス女王杯に駒を進めたのではないのか?つまり、ファレノプシスのマイラー発言は、浜田陣営の負け惜しみ・レース前の言い訳なのではないか?という疑問をもったのです。こういう事を書くと、浜田調教師のファンの方々はいろいろと不快になるのではないかと思いますが、僕は浜田調教師の手腕はすばらしいものだと思っています。が、この「マイラー」発言はなんか許せなかったのです。
 話を戻します。以上のような「マイラー」発言を繰り返し、現実問題として、昨年の同レースで引っ掛かって最後に馬群を割れなかった(もちろん、不利も影響しましたが)この馬を、まさか先行させるとは思っていなかったのです。この馬に中距離適性があると思っていた僕は、この、陣営の「マイラー」という思い込み(かどうかはもちろん分かりませんが。単に周りを欺くためだけだったかもしれませんし。もちろん、6歳になってある程度ズブくなってきた可能性もありますし)が逆に足を引っ張る、具体的にいえば、道中は脚をためて、ラストに賭ける、と思っていたのです。
 こんな「マイラー」が、その思いを捨てて、先行策にでるとは思いも寄らなかったのです。もちろん、札幌記念の繰り返しはすまい、という松永幹騎手の意識の表れとも取れますが...。
 こういう感じで、先行4頭の顔ぶれと位置取りが当初の予想とは思いっきり食い違ったレースでした。特に、松永幹騎手には素直に脱帽です。控えた昨年もある程度引っ掛かっている馬なので、先行するために勢いをつけた今年、引っ掛かったのは仕方のないところでしょう。フサイチについても、同様に、あのくらいの引っ掛かりは仕方ないのではないか、と思います。
 さて、控えた組ですが、シルクプリマドンナについてはオークスを見れば分かるとおり(といいつつ、僕はオークスである程度前に行ったことをすっかり忘れていたのですが)、先行できなくもない馬であるにも関わらず、控え、あげく藤田騎手が「ペースが向かなかった」という敗因コメント(言い訳?)をしたため、批判が結構出ました。僕も、結果的にはミス騎乗と言っても差し支えないと思います。ただ、「ペースが速くなる」という読みは僕の読みそのままなので(こういう読みがあったから僕はこの馬に印を打ったわけですが)、あまり批判できません。5着にきているのだから力はあると思うし、先行していればもっと面白かったのではないか、とも思います。(秋華賞に続いて)不完全燃焼といってもいいレースだったのではないか、と思います。
 ニホンピロスワンについてですが、和田騎手がレース後に「馬込みに入れない馬」とコメントしていました(競馬ブックより)。だからああいう極端な位置取りになるのか〜、と納得できました。これからはその点を何とかする必要がありそうです。
 さて、先行した4頭ですが、まさかオリーブクラウンが最下位まで落ちるとは思っていませんでした。トゥザヴィクトリーとしては、フサイチにあれほど早く並びかけられればいかんともしがたいのではないか、と思います。フサイチとしても、あそこでトゥザヴィクトリーをつぶしに行かなければ、そのまま押し切られてしまう可能性はかなり高いので、あの仕掛けは仕方ないと思いますし、文句なしに強い競馬をしたと思います。ファレノプシスが先行していなければ、勝っていたのではないかと思います。
 フサイチから仕掛けを遅らせて、見事差しきったファレノプシスも強い競馬をしました。さすが2冠馬、さすが「マイラー」(たしかに切れ味はマイラー並みのものがあるかも)です。僕的には、先行した段階で、勝ちが決まったかな、という感じもします。
 3着のエイダイクインは、凄い脚でした。上がり3ハロン33.0、というのは、京王杯SCのゲイリーイグリット以来ではないかと思うのですが、どうでしょう。32秒台を出す馬がいつ現れるか、注目です。

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