メリーナイス
ダービーで6馬身ぶっちぎったお笑いホース
メリーナイスはお笑いの馬である。GT2勝馬、しかもダービーまで勝っているのに、ナイスネイチャと同等の扱いしか受けていない。これは別に、ナイスネイチャがダービー馬扱いされているのではない。勘違いしないように。
メリーナイスには、お笑い向けのエピソードが多い。
有名なのが、映画『優駿』への出演だ。普通に、メリーナイスの勝ったダービーを映画で使っただけならまだいいのだが、たまたまメリーナイスが顔に流星の入ったハデな馬だったので、映画製作者が大変だったっていうおまけつきなのだ。
お笑いとは関係ないが、函館記念で、サッカーボーイに5馬身ちぎられたことは有名だ。ダービー6馬身ちぎったことは知らなくても、函館記念で5馬身ちぎられたことを知ってる人は多い。(シリウスシンボリには勝ってるが、このこともまた知られてないのでは?)
そして、有馬記念でのいきなりの落馬。かつて、ダービーで、1番人気のタカツバキが落馬したことがあったが、それは全くお笑いにならない。どちらかというと、悲劇性を伴う。しかし、メリーナイスの落馬は、お笑いとして語り継がれている。プレストウコウの鞍ズレには悲劇性があるが、メリーナイスがやると、ギャグになってしまう。
これのおまけ話。有馬が終わって、年が明けて、金杯の日。当然、パドックでは、「根本ふざけんなー!」とか、「根本金返せー」とかいう野次が飛ぶ。根本自身も、覚悟してたとはいえ、やっぱりいい気持ちはしない(自業自得だけど)。そんな中、一人の人がこう叫んだ。「根本ー!おまえは悪くない!」根本が、「世の中には優しい人もいるなあ」と感動しかけて、その人の野次が続いた。「おまえを乗せた調教師が悪い!!」
さて、メリーナイスのこの扱いの理由は2つ。1つは、悲劇的なところは全部同期の馬(サクラスターオー、マティリアル、ゴールドシチー)が持ってっちゃってて、いまさらメリーナイスが悲劇なんておこしても誰も喜ばない(悲劇に喜ぶ奴ってのも問題だが)。そして、2つ目は、やっぱり、鞍上の根本だろう。もはや、完全に、根本=お笑い、として定着している。根本の場合、何をやってもお笑いになるから嬉しい(嬉しがってどーする)。いまや、ギャロップダイナの一発もギャグだし、水車ムチもギャグである。(調教師になったのもギャグなのか?)
メリーナイスにとって、お笑いへの道は整備されている。それについて書いてもいいが、一応GT2勝馬なのだ。お笑いはナイスネイチャやマチカネタンホイザに任せときゃいい。なんてったって、ダービー6馬身差の圧勝だ。サクラスターオーがいないからどうした。2着馬が誰だろうと関係無い。6馬身ぶっちぎりだ。すごいだろ。
朝日杯だってそうだ。ホクトヘリオスに勝ってるんだ。一流馬の証明だ。朝日杯で3歳の頂点に、ダービーで4歳の頂点に立った馬なのだ。それがなぜお笑いに行かねばならんのだ。
さて、朝日杯→ダービーと勝った馬は、その後シケることが多い。トキノミノルは死亡。ハクショウと、アイネスフウジンは故障引退。サクラチヨノオーは安田記念ブービー、宝塚記念ビリ。ミホノブルボンと、ナリタブライアンも、古馬になってからはGT勝ってない。もしかして、朝日杯馬はダービー勝っちゃいけないのか?
しかし、ここに挙げたのは、なかなかのメンバーだ。これだけのメンバーがいて、なんでダービー後GT2勝なのか?
そんなこと考えたってしょうがない。とにかく、メリーナイスの没落は、歴史に裏付けされたものだったのだ。その歴史に挑み、見事に敗れ去ったメリーナイス。気がつくと、同期の戦友たちの訃報が相次ぐ。
真面目に生きることをあきらめたメリーナイスは…ついにお笑いへの道を選ぶ(結局こうなっちゃいました)。
お笑いに必要なのは、何よりも知名度だ。猿岩石を見てみろ。知名度だけで売れているではないか。(別に、猿岩石に恨みがあるわけじゃない)
そこで送り込んだのが、ご存知イイデライナー。これで親子ダービー制覇でもしようもんなら、お笑いから、真面目路線に転向可能だし、落馬でもしたら、お笑い路線でも頑張れる。しかし、結局、訳の分からん負け方をして、どっか(地方競馬)へ行ってしまった。今どうしてるんだ、イイデライナー。
頑張れメリーナイス。売れないお笑い芸人は体で笑いをとるってのがきまりだが、メリーナイス、お前はどうするんだ。いきなりシャトルサイアーになるとか、社台Fにのりこんでサンデーサイレンスとケンカするとか、「メリーナイスの落馬体験ツアー」実施するとか…。
ダービーでの6馬身ぶっちぎりから、売れないお笑い芸馬へ…。都落ちしたメリーナイスは、次なる秘策を練ってくれていることを期待しよう。