宣伝広告とは何ぞや

 

 少し前になってしまいますが、今年も年頭恒例のJRA理事長に聞くなんていうインタビューがギャ誌にのっていまして、とりあえず読んでみたわけです。すると、20歳以上の学生の勝馬投票券購入が可能という法改正を踏まえて、本年の広報戦略のターゲットとして20代を中心とした若年層に設定したとありました。それでこの世代を含む幅広い年齢層に好感度の高いSMAPの中居正広さんをイメージキャラクターに起用し、「BIG TIME」と銘打って、競馬は大人のロマンだとか云々と。この10年で20代のファン層が27%から11%まで落ち込んだというのは非常に興味深い数字で、若年層にターゲットというのはまあよいとします。まあよいと言うよりは、もしターゲットを定めるならば若年層がベターだと私も思います。で、なぜに中居クンを起用する必要があるのか、と。まあもちろんこれは毎年言われていることなんでしょうが、タレントを起用する意味はあるのか、と。起用するのはともかく、タレントを生かしたCMやら広告を作っているのか、と。あのび〜っぐたぁいむとかいうCMを見て、競馬に行こうなんて思う人がどこにいるのかなんてことは誰もが思って、そのへんにいくらでも書かれてるんでしょうが、なぜに誰もがそう思うCMが毎年のように作られるんでしょうか。CMってどっかの広告代理店とかに丸投げしてできるんですかね。ちょっとよく知らないんですが、例えば起用するタレントなんて誰が決めてるんでしょう。今回の論点からはずれちゃうんですけど、中居クンてどのへんに好感度が高いんでしょうか。イメージとしてはおばさんに人気がありそうですけど。


 話を戻さねば。(注:前の段落を書いてから1週間以上経ってます。そういえば、長らく書いてなかったせいなのか、気づけばどことなくNP日記調の文体になってますね。)いったい、CMの目的は何なのか、と。広告の目的は何なのか、と。見た人に、競馬に興味を持ってもらうこと、そして馬券を買ってもらうことが目的なのではないでしょうか。それが間違っていたら、話が続かなくなってしまうので、その前提で続けます。あのCMで目的を果たせるとは到底思えません。具体的な話に入りましょう。今年も年頭に、JRAは新聞の一面広告をうっています。一面広告をうったこと自体は、国の管轄だからなのかよくわからないので、問わないことにします。しかしその内容が、たしか1年間のG1の開催日をただ並べただけのものでした。これを見て、今年は久々に競馬やるかな、なんて思う輩が少しでもいたら儲けものでしょう。少なくとも、新規のファンを開拓できる可能性はかなり低いでしょう。では、例えばどんな広告か。私なら、金杯を前面に押し出した広告を考えました。1月5日に競馬場に行こう、と。1面使えるのなら、いつものように開催告知だけでなく、誰かに短い小説みたいなのを書いてもらってもいいですね。競馬ファンなら金杯で運試しをするべきだという流れでもいいし、お正月に競馬場に行ってみませんかと(5日は仕事始まっている人の方が多いでしょうが)、初心者を誘う方向でもいいし、はたまた昔競馬をかじっていた人向けに、この機会に久々に行ってみませんかでもいいし。策はいくらでもあると思うんですよ。PATは普及しているのに、売り上げが減っている。当然入場人員も減っている。その対策が、あの広告なのか、と。競馬の魅力ってもっとあると思うんですよね。一般の人には知られていない面が。G1の告知CMだって、中居クンの後に「桜花賞」ってやるより、有力馬でも紹介すればいいと思うのですが。公平性を欠くとか、馬主に許可がいるとか、なにか問題はあるのかもしれませんが、競馬界全体を盛り上げるという方向が見えていれば、クリアできそうな気はします。この前の弥生賞はそこそこ人が集まりましたが、ああいう時なんてもっと露骨に攻めてはどうでしょう。若駒Sの直線をちょろっと流して、ディープインパクト関東初登場、3月6日中山「弥生賞」なんてやっていればもっと余計に盛り上がったでしょう。もちろん、出走予定なだけというのは強調しておかないと混乱を招きますが、慣れればそのうちどうにかなるのではないでしょうか。G1や注目馬が特にいない時にしても、ゴスペラーズや一青窈をただ流しているよりは、例えばオグリキャップなんかの戦歴を何回かシリーズにして振り返ってみる、とか。さっきは、競馬の魅力という表現を使いましたが、こうやって書いていくと、やはり私が伝えたいのは競馬のスポーツ性なのかもしれません。せっかく手段はあるのに、それを使わない。なんとなくやり場のない悔しさがあって、書いてみました。