渡る世間は鬼ばかり
僕は普段、Gallopを買っているので、競馬ブックを読む機会はあまりないんですが、先日NPに借りて読む機会がありました。先週のことですね。そこに興味深いコラムがあったので、これを書くに至ったわけです。そのコラムは、ぱらぱらめくっててたまたま読んだのですが、僕はその内容に少しびっくりしたので、概略でも書いてみましょう。
最初に、今年のスポーツ紙1面を飾った記事の分類がありました。まあ、これが面白そうだったので、そのコラムを読んでみたわけです。下がそのデータです。
・今年 サッカー58回 大リーグ44回 プロ野球27回 競馬8回 芸能5回 格闘技・皇室2回 |
・去年 プロ野球91回 サッカー23回 競馬13回 芸能6回 |
集計期間4/1〜8/31 スポーツニッポン東京最終版1面 |
そしてこのあとどう展開していくのかといえば、プロ野球批判、大リーグ至上主義です。具体的には、外野席でファンがドンチャンドンチャンやる応援はよくないとか、やはり野球は青い空の下天然芝でやるものだ、とかです。このへん、手元にそのコラムがないので適当な部分があります。ここにないのは、単に僕のミスであり、間違ってたら連絡くだされば訂正いたします。
そのコラムの話に戻りますが、この後もひたすら野球の話で、ファンの意思をおろそかにした日本のプロ野球はだんだんにファンから無視されつつあり、それはJRAにも言えることである、と最後に競馬の話が出てきます。
いや、びっくりしました。なににびっくりしたって、まずはその野球批判です。あまりにありきたり。これくらいならそのへんの中学生でも書けます、ってくらい。だって、4月5月くらいに新聞にいくらでも書かれてたことそのままですからね。だからもちろん、新聞を少しでも読んでいる中学生、ですが。その上、徹底的に大リーグがよくてプロ野球はよくない。本心からこんなことを思っているのか、疑問がわいてくるくらいです。なんでここまでも、そこら中で言われてたことに素直に賛同できるのか、ひねくれものとしてはさっぱりわからないところです。日本の太鼓の応援はうるさい。それはもうわかっているのです。わざわざこんな時期になってまで、競馬雑誌に書かなくてもいいことです。そんな空気があふれてる時だからこそ、コラムに書くべくは、例えば反対の立場に立った意見などではないでしょうか。私設応援団は古くから日本の野球を支えてきているのです。あれが楽しみで野球場に足を運んでいる人も、多くいるわけです。もちろん、自分たちが楽しむために、他人の楽しむを奪うような騒音を撒き散らしてもいいのか、という意見はわかります。その住み分けは必要だと思います。日によって応援の仕方を変える、などです。しかし、だからといって、メディアがそろって私設応援団はよくない、大リーグを見習うべきだ、と走ったのは異常な事態だと思います。そこに、日本人の横並び的発想、まだまだ残っている欧米に対する憧れなんかが見え隠れしているのかもしれませんが、これ以上この方向に進んでしまうと趣旨とはずれすぎるのでやめることにします。この分野を書くんでしたら、白馬には適任の者がいますし(笑)。
とまあ、書こうと思えば書くことくらいはあります。書くことがないからといって、他人の受け売りをそのまま書くのはどうかと思うのです。野球は青い空の下で、なんてのもそんな単純な問題ではないはずです。そんなことを軽々しく言っていいのは、その辺の居酒屋で、だからであって、お金を払って買ってもらう雑誌に載せるようなことではないんです。たしかに野球は青い空の下でやった方が気持ちがいいし、大リーグでは自然への回帰がブームとなりました。しかし、それをそのまま日本に取り入れようというのは無理があります。まず、気候が違います。向こうでは雨はまずほとんど降らないといっていいのですが、日本は周知の通りです。ドーム球場は雨のための中止、日程の組換えを格段に減らした、すばらしい球場なのです。これが、莫大なテレビ放映権が絡んでくる野球にとってどれだけ大きいことかは言うまでも無いでしょう。また、採算を取るために、野球場は他のイベントに使われることも多々あります。このことは天然芝の管理にあたって、大きな障害となります。ただでさえ、この気候で芝を管理育成するのは大変なことです。人工芝を取り入れたのは、仕方のないことだと思います。
現在、プロのホームスタジアムのうち、外野だけでも天然芝なのは、甲子園、神戸グリーンスタジアム、広島市民球場の3つだけです。こんな機運をきっかけに、各球場で少しでも天然に近い感触の人工芝の取り入れを検討していると聞きます。歓迎すべきことなのではないでしょうか。
そのコラムはそもそもJRAの怠慢さを書きたかったのだから、野球の話がおろそかになるのはしょうがなかったのではないか、という意見もあるかもしれませんが、JRAが出てきたのは最後の最後。それもほぼ身が無いような具体策に欠ける話だったので、それはないと判断させてもらいました。
ここまで、コラム批判に乗じて自分の意見を書かせてもらいましたが、ブックを読んだとき、そのコラムの後にかなざわいっせい氏のコラムがたまたま目に付いたのでこれも読みました。こっちはというと、競馬の帰りにビールを買ったらそのお釣りを店のごみ箱に捨ててしまい、それを思い出して引き返すおやじ(筆者)の話を2ページにわたって繰り広げてくれてます。察するに、普段この人は自分の買った馬券をネタにして書いてるんだと思いましたが、その回は馬券に書くことがなさすぎたのか、それともその引き返した話を猛烈に書きたかったかで、あまりに競馬の話とはかけ離れた、ただの「おやじの1日」になってしまっていました。でも、コラムなんてこんなもの(失礼な表現を使いますが)でいいと思うのです、僕は。面白いから。なにを面白いと思うかは個人によりますが、このコラムは明らかにオリジナルです。他人が書こうと思っても書けません。それで初めて、金を取れるコラムだと僕は思います。
仮題そのままで(笑)。