虚心坦懐in韓国(釜山旅行記その5)

 虚心という言葉を聞くと、虚心坦懐という四字熟語が思い浮かびます。思い浮かぶのはいいんですが、「虚心坦懐」という四字熟語を、人生に於いて実際に文字に書いたことがあるかと考えたとき、この「坦」という字に見覚えがなさすぎます。果たして中学受験の勉強で習ったのでしょうか。そして、この意味。goo辞書だと、「心になんのわだかまりもなく、気持ちがさっぱりしていること」というのが最初にきてます。完全に謙虚と同じレベルの状態だと思っていたんですが、謙遜までは意味に含んでいないのですね。40年以上生きてきて初めて認識したような気がします。

 そんなわけで、虚心坦懐に蔚山倭城を見学し、続いて目指すは釜山虚心庁です。

7.蔚山→釜山

 さて、このあとはどうするか、というと、ただただ盲目にGoogle Mapに従うことになります。検索すると、タイミング次第でちょっと変わるのですが、基本的にはバスで近くの電車の駅に向かい、そこから電車で釜山まで一本、ということのようです。てなわけで、先ほど乗り損ねた744のバスで駅まで行きます。
 Google Mapさんに全権委任しているので、頭文字がTのアルファベットが並んでいることは認識できていても、なんと読むのかはまったく理解してません。というか、ハングルが読めないのと英字認識能力が弱いのとを棚上げして逆ギレしますが、やっぱり漢字がないのがきつい。パッと見てぱっとなんとなくの読み方をイメージできる漢字というものは便利すぎます。

 てなわけで、ここはどこ、私は誰状態で、駅に着きました。結論からいうと、この駅は太和江駅という駅です。この漢字3文字を何故表示できないのか!漢字を廃止した奴が憎い。

744のバス バス停でバスを待ちます バスルート バスに乗りました

 到着した太和江駅(私は「たわええき」と読んでますが、正式な読み方は"Taehwagang"で"テファガン"と読むようです)は、非常に大きく、綺麗な駅です。大きいというか、大きすぎます。欧米ではこんな感じの電車駅に出くわすことがありますが、韓国の駅もこんな感じなのか。韓国って人口密度とかどんなもんなんだろう。そんなに土地が余ってる印象もないんだけど。
 そんなわけで、巨大な駅舎に入ります。エスカレーターで2階へ。
 ちなみに、案内には日本語もあります。非常にありがたいんだけれど、そんなことよりも駅名を漢字表記してくれ!!

駅前バス乗り場 駅の案内と、巨大な駅舎 進みます 日本語もある案内文 エスカレーター

 なお、私はGoogle Mapさんに全権委任しているのですが、他方でGoogle Mapさんを盲目的に信頼しているわけではありません。こいつにインプットされている時刻表が現在の時刻表と一致しているかは、きちんと現地確認が必要です。というわけで、Google Mapさんが指示をした15時18分の電車が存在するか、時刻表を確認。どうも、電車は2系統あるらしく(←本当に何も分かってない)、そのうちの1つに15時18分の電車ありました。釜山行きなので間違いないですね。そして、ほかに15時18分発の電車はなさそうなので、15時18分の電車に乗れば間違いはありません。
 今考えても、このレベルの理解でよくもまあ海外旅行してるな、という気になりますが、まあなんというか、「韓国なのでなんとかなる」という信頼感が韓国にあるからこそなせる技であるということでご容赦ください。さすがにアメリカでこんなにフラフラしてたら日が暮れて射殺されかねないし、インドでもこんなことやってふらついてるうちにスリに遭っても文句言えない
 それにしても、何も用意しないこと、と虚心坦懐の心に何のわだかまりもないこととは全く違う概念であり、むしろ漢字表記がないことに逆ギレする見苦しい様は虚心坦懐からほど遠いのであります。

Google Mapさんの指示 並んでいた時刻表
左側の釜山行きに15時18分設定の電車あります
駅の歴史解説
歴史解説はいいのだけれど、駅名の漢字表記がほしい

 さて、中に入ると、とても広いスペースがあります。場所が余ってますな。
 それはいいとして、自分が乗りたい15時18分の電車はどこだ。と思って、電車案内っぽいものを見ても、15時18分の案内がありません。あれあれ。どうなってるんだ。……と思いながら横を見ると、小さい画面に15時18分の文字が。うむ、目標はこいつだ。問題は、こいつに乗るための切符をどこで買えて、どこから乗れるかです。事前準備がなさすぎて、「時刻表が2つに分裂している(サイズが違うので明確に別の乗り物)」という事態にまったく対応できていないのであります。何が困るって、こっちの小さい方の画面は英語表記もしてくれないのです。画面が遠いから、スマホの翻訳機能が使えないのもきつい(今回アップしてる写真はデジカメです)。

 で、切符を買うためには、目的地を知ることが必要です。私はどこで降りればいいのか。上のスクショにありますね、「釜山教育大学」です。
 いやいや、日本語(あるいは中国語)で「釜山教育大学」なのはいいとして、これ、ハングルでどうなるのよ。漢字が使えないというのは、韓国語→日本語だけでなく、日本語→韓国語の場面でも困るのです。
 そして、切符の自販機へ。あれれ、釜山教育大学っぽいものがないぞ(写真撮らなかったので覚えてないけれど、少なくとも英語はあったはず)。どうなってるんだ。
 そうこうしているうちに、15時18分が刻一刻と迫ってきます。てことで、Google Mapさんで釜山教育大の翻訳を示しつつ、窓口へ。すると、上に行けとの指示(英語)。ビバEnglish。さすがアメリカの同盟国!助かります。

 てことで、3階へ。ここにも自販機があり、ここでチケット(トークン式)を買うことが出来ました。Cash beeを使わなかったのは、使えるか分からなかったからです。現金が余ってるので現金を使いたかったというのもある。
 そして、その先にある自動改札で中に入ります。

2階の入口 時刻表
15時18分は??
こっちにありました 2階ホールの雰囲気
こっちにある自販機では買えず……
3階へ 3階に到着 自動改札
路線図 こっちには「教大」があります
「キョデ」とかいわれても
何のことかわからんぞなもし
時刻表
15時18分がありますね
2600ウォンです。安い トークン

 無事、改札内に入りました。ここまでくればもう安心。いや~、焦った焦った。事前準備をしていればなんてことなかったんでしょうけど、何の事前準備もしなかったせいであせりました。まさか「駅で釜山方面の電車に乗る」だけの作業でこんなに冷や汗をかくとは。やはり海外旅行では何事をするにあたっても虚心坦懐に臨まなければなりませんね。使い方合ってるのか、虚心坦懐。

 ホームは片側にのみホームドアがある方式です。

そして、ホームドアがある側に電車がやって来ました。無事着座できて、気も緩みます。そんなわけで、普通に爆睡。

KORAIL路線図 線路を見下ろす ホームに到着 自分がいる駅名が
漢字で示されてるのは嬉しい
路線図
よく分からないんですが、
この駅は終着駅ではないのかな?
電車内

8. 虚心庁

 さて、教育大学で降りて、乗り換えます。ちなみにこの教育大学、英語表記を見ると国立大学であることが分かるのですが、先ほどのGoogleさんはなぜ「国立」部分を飛ばしたのでしょうか。国立市に恨みでもあるのでしょうか。
 都心部に入ってくると、電車乗換も違和感がなくなります。特に迷うことなく(ちょと歩いたけど)、乗り換えて、目的地の温泉場駅。
 ちなみに、釜山地下鉄は、教大駅、温泉場駅とも、日本語表記が漢字です。これよこれ、さすが地下鉄は分かってますね。カタカナで示されても日本人は分からんのであります。

教大駅に到着しました 乗換え
「のりかえ」はひらがな 1号線は橙色です 時刻表 地下鉄ホームはホームドアつきです

 釜山メトロ、釜山教育大学駅は地下ですが、温泉場駅では地上に出ました。

温泉場駅に到着 ホーム 改札 駅構内

 温泉場駅から、目的地の虚心庁まで、徒歩で10分かからないくらいでしょうか。虚心庁の入口は南側なのですが、出口を真っ直ぐ進むと北側に出るのでちょっとウロウロしました。まあ、誤差の範囲です。
 そんなわけで、この温泉場駅、東萊温泉の最寄り駅であることからこういう名前になったようです。私にはこの「東萊温泉」というのがどういう温泉なのか全く知識がありませんので、虚心庁以外にどういう温泉施設があるのかもまったく分かっておりません。目的地だけを検索して旅行すると、このようにピンポイント爆撃的な旅行になっちゃうんですよね……。しかも、引き続き鞄を2つ持って移動しているので、あちこち散策するだけの心の余裕がない。
 こちらのブログ(温泉逍遙さん)には虚心庁以外の温泉銭湯の紹介もありますね。心の余裕と荷物の余裕があったら巡ってみたいものです。

東萊温泉への案内 陸橋を渡ります こんな場所を進む

 そして、無事虚心庁に到着です。
 昨日浦項で飛び跳ね、今日蔚山倭城を歩き回った身体の疲労を回復するには温泉しかないのであります。温泉だ温泉だわーいわーい。

 虚心庁は、噂通り、日本のスーパー銭湯を巨大にしたかたちになっており、スーパー銭湯慣れした日本人であれば言葉の壁を気にすること無く使えます。一点問題があるとすれば、泉質的に透明無臭なこともあって日本のスーパー銭湯に近すぎて、「異国で温泉に入っている」感がなくなることでしょうか。
 なお、てっきりスーパー銭湯だけの施設なのかと思ってましたが、入口にもあるとおりホテル付設の巨大エンターテインメントビルという感じで、スタバだけでなく、様々な施設が入っております。そのため、エスカレーターをのぼってウロウロしながら温泉入口に入ることになるのであります。

 なお、本当に「韓国的なもの」をライトに経験するのであれば、ここでチムジルバンに入ってみればよかったんでしょうが、こちとら早くホテルに行って休みたかったので、とりあえずお風呂だけにしておきました。

到着 夜はこんな感じ 入口
スタバはどこにでもありますね
入口の吹き抜け 真ん中の像は
虚心像というらしい
最高の温泉
虚心庁へようこそ
料金表など

 ここを出て、このあたりで食事を取ろうかとも思ったんですが、荷物が邪魔くさいのでホテルに戻ることにしました。無駄に食事を考えてウロウロした結果、おそらくかつてこのあたりを走っていたのであろう、路面電車のモニュメントに遭遇しました。検索すると、かつては釜山市電というものが走っていたようですね。

釜山市電の電車と電停跡地かな? 夜の温泉場駅

9.釜山第一夜

 釜山駅まではメトロ1号線で一本です。迷いません。
 早く荷物を置きたいので、釜山駅構内の写真はなし。とりあえず、出たところから釜山駅の写真だけ撮影。

 釜山での宿舎は東横イン。友人には「東横インに泊まったら負けだと思っている」という趣旨の発言を偉そうにしてたんですが、値段と立地的にコスパがよかったので東横インに屈してしまいました。
 なお、ホテルを探している際、駅前なのに「MOTEL」が多いこと、どうやらそれがアメリカのモーテルのような車でさくっと泊まるロードサイドホテルではなく、日本にいうラブホテル的なものであるっぽいことは、口コミを読んでいてなんとなく伝わってきました。釜山駅のまわりにも多数あり、東横よりも安くてよさげではあったんですが、仕事ができる机があるかちょっと不明確だったので、やめてしまいました。結果的に、東横でよかったんですが、韓国の経験としてはモーテルに泊まるべきだったのかもしれません。

釜山駅。明るさの設定を考える余裕などない 釜山駅の向かい
なぜ釜山なのにTEXAS?
東横イン

 さて、東横インは受付で日本語が通じるという、まさに日本の延長の東横インでした。英語が通じるならばどうでもよいのですが、ルームクリーニングをキャンセルするときに明確にこちらの希望が通じてることが分かったのは日本語の良さといえるでしょうか。

 で、荷物を置いて、夕食を食べに外に出ます。とりあえず、釜山はテジクッパなるものが有名なようなので、それを食べられそうな店を検索。
 なお、重要な情報として、私はそもそもクッパなる料理がなんなのかを理解しておりません。韓国料理と行ったら焼肉とチヂミと冷麺とビビンパしか知らないのであります。クッパは聞いたことがありますが、今まで韓国料理屋の飲み会でも見た記憶がありません。そんな私が、テジクッパ。そもそもクッパを分かってないのにテジクッパ。いいんでしょうか、これで。デジクッパなのかデジクッパなのかもよく分かってませんが、いいんでしょうか。

 検索したところ、テジクッパというのは豚肉を使ったクッパのようです。クッパが分からないのに豚肉を使ったクッパと言われても、イメージはわきません。とりあえず、Google Mapでテジクッパとかで検索して、1人でも入りやすそうで、ちゃんとメニューがありそうな店を選びました。
 Google Mapの写真を見ていると、順調に値上がりしている姿が見えてくるので楽しいですね。
 とりあえず、スンデなるものがなにやら怪しげな空気があったので、スンデ入りのテジクッパを注文してみました。おそらく内臓をどうにかこうにかしたものなんでしょうが、なんなのかはよく分からず。
 味付けは唐辛子とオキアミでおこなうようで、やはり日本人としてはオキアミで塩っ辛くしてしまうんですが、それが正解なのかは私には分かりません。スープのよさをしっかり味わう目的であれば、あまり味付けを濃くしない方がよいのでしょうが、難しいところですね。そもそも、クッパを意識して食べた記憶がないので、本来クッパに期待すべき味が分かってないのも痛いな。

店舗外観 今回のメニューと、現場で翻訳した成果 Google Mapに投稿されていた過去のメニュー
7500→8500→9000と値上がりしてますね
テジクッパ到着 煮えたぎっております スンデがなんなのか、
よく分からなかったけれど
とりあえずおいしくいただきました

 とりあえず、釜山の名物料理を食べて満足です。これで「釜山に何しに行ったの?」と聞かれて「競馬と競輪」と答えず、「テジクッパを食べた!」と答えられるようになりました。
 このあと、駅近くのスタバでちょいとPCいじり。5500のラテに10000払ったところ5500返ってきたような気がしたのですが、勘違いだろうか。それにしても、韓国は至る所にスタバがあります。ちょっと多すぎじゃないでしょうか。まあ多分、自分が地場のコーヒーチェーンを知らないせいでスタバばかりが視界に入っちゃうのがいかんのだと思います。

 最後に、駅回りをあるいて、コンビニで飲み物を仕入れます。釜山のコンビニは日本に近く、アイスコーヒーがあるので助かります。ありがたやありがたや。

あらためて東横インを撮り直しました Busan is goodの光が消えて、Bigだけ点灯します 駅回りをパノラマで
スタバ系飲料 Baskin Robbinsの飲み物って
日本にあるのかな?

 そんなわけで、また明日。明日は釜山の本番、釜山競馬です。


蔚山倭城散策 / 釜山競馬場訪問記


韓国旅行記2023(浦項遠征2023)


旅行記TOP