三渓横浜杯その2

 さて,渓谷をくだって右方向に向かうと,見えてくるのは聴秋閣。これが今回の庭園での最大の衝撃でした。どれくらい衝撃だったかというと,この建物のことが知りたくて三渓園の本を買ってしまったほどです。さっき三渓記念館でこの本を手に取ったときは完全にスルーしたんだけど。

 遠くから見ても,この庭園に望楼型の建物が不釣り合いです。その不釣り合いな建物を配置しているのがそもそも面白い。
 そして,中を見るとさらに異常な建物であることが分かります。もうすべてが異常。もちろん,単にNPが日本家屋について無知なだけの可能性もあるのであまり異常異常言うと自分の馬鹿さを世界中にさらけ出してるだけな可能性もあるんですが。
 もともと1階部分は茶室だったということなんですが,なんというか,こんな場所じゃお茶飲んでも落ち着かないんじゃないの,という感じです。いやあ,どこからみても歪な,どこから見ても面白い,どこから見ても趣のある建物です。ほんと,これを見られただけで来た甲斐がありました。

 そして,この建物の奥にはまたも簡単な渓谷。ここは紅葉期にも開放され,なかなかな紅葉が見られるようです。


 で,聴秋閣に別れを告げて,続いては春草廬。有楽齋が建て,三室戸寺にあったものをここに持ってきたとのことであります。
 いってみれば単なる茶室なのですが,茶室も含めていろいろな遺構が残っていてなかなかに興味深いです。


 そして,そのまま石棺・蓮華院を経て覆堂へ。ちなみに,覆堂の存在を知らなかったため,先ほどの春草廬で係員さんが「覆堂はもう見ましたか?」とおっしゃったのを「大井戸」だと勘違いし,数分間にわたって井戸を探したのはここだけの秘密です。
 どうもこの建物はかつてはもっと装飾が凄かったようです。また,各彫刻は長寿祈願のために仏教的に意味のあるもののようです。このあたり,仏教的な知識があるのとないのとでは全然違います。誰か15秒で分かる仏教知識という本を僕に下さい。


 さて,一応内苑まわりのたてものは一通り見ました。
 ところで,聴秋閣が自分にとって今回最大のサプライズだったことは上に書きましたが,合わせて面白いと思った建物はあと2つ。1つは臨春閣。なんとも言えない立派かつ凝った日本家屋です。そしてもう1つが亭樹。なんですかこれは。


 橋の中に屋根付の東屋みたいなのがあるだけでも興味をそそるのに,さらに破風が四方についてます。一体どういう美意識でこんな面白いものを作ったんでしょうか。いやはや,三渓園万歳。

 さて,せっかくなので一応裏手にある海岸門を見て行きます。ここまでくると人がいなくなります。まあ仕方なし。


 そんなわけで,最後に臨春閣を眺めつつ,このあたりにだけあるという白い葉っぱのあじさいをみて,内苑をあとにします。
 この,白い葉っぱのあじさいが生物学的にどの程度珍しいものなのかはよく分からんのですが,まあ確かにあまり見かけませんな。


 そんなわけで,今度は山登り。時間的にもはや称名寺は無理だな……。

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