ドンカスターはじまったー

 さて,気付いたらPreParadeRingに馬が入ってきていました。いかんいかん。ちゃんと見に行かねば。
 なお,PreParadeRingまわりのスペースは非常に限られており,日本みたいに人が大量に押し寄せたら人混みで大惨事になると思われますが,さすが競馬発祥地イギリス。みなさんパドックで馬を見ずとも予想できるようであります。こちとら,レープロ見てもはっきり言ってよく分からんので,頼りになるのは自分の目だけなのであります。

 だけんども,しかし。
 イギリスのパドックの特徴は3つ。
 1つは,PreParadeRingがあること。まあこれはそういうものなのだからそれでよいです。馬装している際の馬の様子を見て予想できる能力がほしいところですが,「馬装で予想」なんて語呂がいいな,程度のことしか思い浮かばないNPには一生無理です。それはまあいい。
 2つめ。馬が入ってくる順番とタイミングがフリーダム。これは困ります。順番になってないから,ちょっと気を抜くと色々忘れます。もちろん,ちゃんと馬を見られる人はパパッと覚えられて問題ないのでしょうが,こちとら馬を見られるふりをしているだけの素人ですから,無理です。そして,PreParadeRingでは馬装するまでゼッケンをつけてないわけで,なおさら訳が分からなくなるわけであります。あと,ドンカスターでは特に変に思うことはなかったんですが,ほかの競馬場だと厩務員さんによっては左上腕以外の場所に番号の腕輪をしてたりしてなおカオスであります。なお,「入ってくる順番とタイミングがカオス」なのはフィリピンもそうでした。そして,同行したQ氏と一緒になって「これぞフィリピンクオリティ」などと毒づいておりました。ううむ,実はフィリピンが競馬発祥の地イギリスに近かったのか……。毒づいてすまんかった。
 3つめ。馬服を着ている馬が多い。これされたら,もはや素人にはパドック診断は困難を極めるわけです。もちろん,首の動かし方とか足の運びとかを見ればいいのでしょうが,いかんせんこちとら馬を見ているふりをしているだけですから,もっと分かりやすい腹回りがきちんと見られないと困ってしまうのであります。

 なお,馬をひいている厩務員さんの女性率が非常に高い。ほかの国がどうだったか,パッと思い出せないんですがびっくりするくらい女性率が高いです。そして,若くてきれいな女性が引いてる馬に目がいってしまうのが悲しきアラフォーの性なのでした……。また,「とまーれー」の号令はなく,鐘(ベル)で合図します。騎手はそれより前にパドックの内側に入って馬主さんなり調教師さんなりと話をしておりまして,合図がかかると適宜馬の方に行って馬に乗ります。整列してお辞儀するような軍隊ちっくなことはしません。また,そんなわけなので,馬がパドックを回りながら騎乗することになります。歩いてる馬に乗るわけですね。素人的には止まってる馬に乗るよりはるかに難しそうに見えますが,実際どうなんだろうか。

 さて。第1レースはいきなりG2戦です。2歳馬によるG2,シャンパンステークス。どうして当地でフランスのシャンパーニュの名前が出てくるのかよく分かりませんが,そもそもこのレースが始まったとされる1820年代の英仏関係もよく分かってないから気にしないことにします。
 1番人気はEmotionlessという馬でして,結論から先に書くと,この馬が楽勝しました。

THE AT THE RACES CHAMPAGNE STAKES
1 2 Emotionless (IRE) William Buick Charlie Appleby 8/13 1.6 1.2
2 3 Ibn Malik (IRE) Paul Hanagan Charles Hills 3 Lengths 7/2 1.6
3 7 Palawan (GB) Pat Dobbs Richard Hannon 7 Lengths 7/1
4 4 Kentuckyconnection (USA) Silvestre De Sousa Bryan Smart 2 Lengths 16/1
5 1 Beaverbrook (GB) Graham Lee Mark Johnston Head Head 14/1
6 5 Lex Talionis (IRE) David Nolan J. F. Levins 1/2 Length 100/1
NR 6 Mohab (GB) Kevin Ryan

 まずはPreParadeRingから。普通の馬は馬房で馬装するんですが,Emotionlessだけ最初馬房に入った後外に出てきて真ん中で馬装してくれました。ファンサービスだったのか,単に広いところで馬装したかったからなのかは不明です。なお,現時点(6場まわった)で,PreParadeRingの真ん中で馬装したのはこの馬だけです。つまり,最初に例外を見てしまったというわけであります。

2
いったん入って

出てきた

そして外で作業
3
7
4
1
5

 第1レースではあるけれど,こちとら早くから来てたし,場内に浮ついた空気もありました。ただ,G1的な雰囲気だったか,というとやっぱりそうは感じなかったな。

パドックに馬が入ってくる
タイミングも順番もばらばらです
馬装 PreParadeRingの雰囲気 1レースではありますが
パドックの周りには
人がわんさかおります
パドック内 騎手が入ってくる めいめい打ち合わせ
パドックの内側から馬を撮影しております レース前の様子

 Emotionlessが圧倒的人気だったため,私は無駄に馬単に流れ,1着3着で外しました。
 このEmotionless,レーシングポストによると,本レースの勝利によって各ブックメーカーでオッズが思いっきり引き下げられたことが報じられております。が,次走のニューマーケットデュハーストステークスにて2番人気に推されるも最下位惨敗。その後,左前脚に故障が判明したようです。デュハーストSを1番人気で勝ったのがAir Force Blue。この馬は2歳G1を連勝しておりまして,いやはや凄いですな。そういえば,フィリピンでQさんにAirForceOneとかいう場所に連れて行かれてからまだ半年しかたってないのか。1年て短いけど長いな。なお,AirForceOneではなにもしてません。
 そういえば,この国では検量前にインタビューしたり馬と馬主と記念撮影したりしております。それもこれもブックメーカーが確定前に(入線段階で)払い戻しをしていて,確定を急がなくていいからなのではないかと思う次第。ブックメーカールールは正直よく分かっておらず,降着があった場合どうなるんですかね。

最後の直線 番号点滅装置がないので
こういう風に結果が出る
ウイナーズサークル(パドック)に馬が帰ってくる
4着までがウイナーズサークルに戻ってくる仕組みです(イギリスはどこもそういう扱い)
たぶん3着までの馬に何かがあった場合に備えてるのでしょう
勝者の帰還
この距離感が凄い 記念撮影に応じる
たぶんどこかで誰かに
監視されてるんでしょうが
検量前にこれだから凄い
勝ち馬に馬服が インタビューを受けながら戻る

 なお,検量が終わると"Horses away"という放送がかかり,馬が戻っていきます。つまり,検量後にもう一回騎手が出てきてみんな仲良く記念撮影(口取り)はしないわけです。口取り写真をとるなら確定・検量前ってことになります。まあ,パドックに長々いられると次のレースに支障がでるから仕方がありません。このあたりはなんというか,日本みたいにとっとと確定させて,みんな落ち着いて口取りした方がいいような気もしますが,それもこれも文化の違いであります。

 2レースはClass2のハンデ戦,5ハロン140ヤード,2頭取り消しての20頭立てであります。どうしてこのレースにこんなにたくさんの馬が集うのかいまいちよく分からん。おそらく適切なレースの数と賞金の兼ね合いじゃないかと思うんですが,それが分からないとイギリス競馬を楽しめないような気がするのでした。でもまあ,今の自分にそこを詰める時間も英語力もない。

THE LADBROKES PORTLAND
1 1 Steps (IRE) Louis Steward Roger Varian 12/1 £13.70 £3.30
2 19 Harry Hurricane (GB) Umberto Rispoli George Baker 1 1/4 Length 25/1 £5.50
3 11 Another Wise Kid (IRE) Graham Lee Paul Midgley Length 14/1 £3.90
4 15 George Dryden (IRE) P. J. McDonald Ann Duffield Head 8/1 £2.80
5 7 Highland Acclaim (IRE) David Nolan David O'Meara Head 11/1
6 6 Suzi's Connoisseur (GB) Andrea Atzeni Stuart Williams 1/2Length 10/1
7 10 Lucky Beggar (IRE) Harry Bentley Charles Hills 2 Lengths 10/1
8 4 Pipers Note (GB) George Chaloner Richard Whitaker 3/4 Length 20/1
9 21 Tangerine Trees (GB) Fergal Lynch Bryan Smart 3/4 Length 25/1
10 16 Barnet Fair (GB) Paul Hanagan David Nicholls 3/4 Length 16/1
11 17 Gran Canaria Queen (GB) Rachel Richardson Tim Easterby 1 1/2 Length 33/1
12 20 Bogart (GB) Shane Gray Kevin Ryan 3/4 Length 11/1
13 12 Fast Track (GB) Graham Gibbons David Barron Neck 10/1
14 3 Robot Boy (IRE) Martin Dwyer David Barron Length 25/1
15 5 Ashpan Sam (GB) Pat Dobbs John Spearing Head 33/1
16 9 B Fifty Two (IRE) William Buick Charles Hills Nose 8/1
17 14 Distant Past (GB) Keagan Latham Kevin Ryan Length 25/1
18 22 Indescribable (IRE) Silvestre De Sousa Mark Johnston 3/4 Length 25/1
19 18 Willbeme (GB) Dale Swift Neville Bycroft Short Head 33/1
20 8 Kimberella (GB) Michael J. M. Murphy David Nicholls 1/2 Length 16/1
NR 2 Caspian Prince (IRE) Non Runner Dean Ivory -- --
NR 13 Secretinthepark (GB) Non Runner Robert Cowell -- --

 このレースもパドック馬券。選んだのはHarryHurricane。単勝26倍程度の2着馬でしたとさ。ううむ,これは悔しい。そういえば,オフィシャルの結果を見てると,複勝4着払いなんだよな。20頭立てで単勝25倍レベルの馬が2着でも複勝5.5倍見当ってのはなかなかに残念な感があります。しかしまあ,かえすがえすも悔しい結果だ。でもまあ,1馬身以上の差がついちゃってるから正直直線もそこまで興奮できなかった。
 このレースを勝ったStepsは,続くニューベリーのWorldTrophy(G3)も勝利しました。その勢いでロンシャンのアベイユドロンシャン賞にも出走,このレースは8着に敗退。さらに年内はもう1回ドンカスターで走って惨敗し,2015シーズンを終えております。

PreParadeRingの様子
さすがにこれだけ出走馬が多いと壮観ですね
本レースのトロフィー
輝いております
2着馬の単勝(涙)
Steps
このレースはゼッケンにもLadbrokesの名前入り
ゼッケンが赤いのもLadbrokesの関係だろうか
というか,ゼッケンに馬名を入れる文化がないんだな
Harry Hurricane Another Wise Kid
観戦用の馬主席はない
(パドックから移動する時間も
特にないと思う)ので
みなさんパドック内から観戦
20頭が広がると
なかなかいい光景です
ダダダっと馬が走って行く 2着馬
誠に無念
1着馬の帰還
下馬 騎手を追うカメラ 凜々しく馬服を着ます 記念撮影 戻るスチュワード騎手

 そういえば,思いついたように書きますが,この国では「第○レース」という表現よりも,時間による表現の方が多く用いられます。もちろん,レープロには3rdRaceみたいな表記はありますが,例えば画面を見ても分かるとおり,「2:35 Doncaster」という表示がなされていて,「Doncaster 2R」みたいな表示ではありません。このあたりも文化の違いですな。

 そんなこんなで,3レース,3:10のG2,ParkStakesであります。格的にはこの日の準メーンにあたります。尤も,この国で「準メイン」という認識があるのかは不明であります。
 このレースをどこから見るか,が次のセントレジャーをどこから見るかに関わってくるのでありまして,いろいろ考えた結果,このレースの馬券はパスしてスタンドの見晴らしがいい場所に陣取ることにしました。

上からの眺め
JRAの競馬場に比べるとスタンドとコースが近いので人数自体はそこまででもないのでしょうが
人口密度はなかなかのものだと思います。
日本みたいに混雑時に密着するような文化のない国だしな。

 このレース,1番人気は前走コモンウェルスカップ(G1)2着のLimato,2番人気は前走アイルランドカラーのミンストレルS(G3)を勝ったHome of The Brave。3番人気は前年にG3のベンゴーSを勝った実績のあるLightningMoonであります。もちろん,これらの情報は終わってから(これを書きながら)調べております。なお,コモンウェルスカップなんてWinningPostにあったっけかな,と考えていたところ,Wikipediaによると2015年新設でした。なるへそ。

SAINT GOBAIN WEBER PARK STAKES
1 12 Limato (IRE) Andrea Atzeni Henry Candy 9/2 £4.80 £1.90
2 13 Markaz (IRE) Paul Hanagan B. W. Hills 3 Lengths 20/1 -- £6.70
3 3 Breton Rock (IRE) Umberto Rispoli David Simcock 1 1/4 Length 10/1 -- £3.80
4 7 Naadirr (IRE) Martin Harley Marco Botti Neck 25/1
5 5 Coulsty (IRE) Pat Cosgrave Richard Hannon 1 1/4 Length 14/1
6 4 Cable Bay (IRE) Silvestre De Sousa Charles Hills Head 12/1
7 15 Tupi (IRE) Pat Dobbs Richard Hannon 4 Lengths 25/1
8 6 Lightning Moon (IRE) Graham Lee Ed Walker Neck 6/1
9 1 Ansgar (IRE) Robert Winston Sabrina J. Harty 8 Lengths 50/1
10 8 Safety Check (IRE) William Buick Charlie Appleby 1/2 Length 7/1
11 10 Home of The Brave (IRE) Harry Bentley Hugo Palmer Short Head 11/2
12 2 Brazos (IRE) Fergal Lynch Clive Brittain Short Head 100/1
13 11 Ivawood (IRE) Sean Levey Richard Hannon 1 3/4 Length 8/1
14 9 Code Red (GB) Martin Dwyer William Muir 7 Lengths 16/1
15 14 Toocoolforschool (IRE) Graham Gibbons K. R. Burke 2 Lengths 28/1

 このレースを勝ったLimatoは次走でこれもフランスに飛び,フォレ賞で2着。その後、翌2016年のジュライC(G1)を勝ちます。なお,NPはこの時点でアッゼニ騎手について全く知りませんでして,なんかこの騎手よく見るな,程度にしか考えておりませんでした。
 あと,今更写真を見返していると,7番のNaadirrの顔がなかなかに面白い。

1 12 Limato (IRE)
2 13 Markaz (IRE)
3 3 Breton Rock (IRE)
4 7 Naadirr (IRE)
5 5 Coulsty (IRE)
6 4 Cable Bay (IRE)
7 15 Tupi (IRE)
8 6 Lightning Moon (IRE)
9 1 Ansgar (IRE)
10 8 Safety Check (IRE)
11 10 Home of The Brave (IRE)
12 2 Brazos (IRE)
13 11 Ivawood (IRE)
14 9 Code Red (GB)
15 14 Toocoolforschool (IRE)

 なお,すでに書いたとおりこのレースは馬券買ってなかったんですが,近くにいた集団に「何買ったの?」と話しかけられ,説明するのも面倒だったのでてきとーに「5番」と答えたのでした。そのため,まかり間違って5番が勝つと説明するよりも面倒な事態が予想されておりまして,とにかく5番が勝たないことだけを祈っていたのでありました……。我ながらなにやってんだか。
 また、このレースは雰囲気残すために動画で撮ってました。近くの集団には一応邪魔されずに済んだ。

Cable Bayが返し馬に向かっていく様子 レース後,馬が戻ってくる様子
Limato。このレースはカタール馬ではなく,別のオーナーの馬でした

 そんなこんなで,いよいよ歴史と伝統ある,セントレジャーであります!

ドンカスター競馬観戦記その2その4(セントレジャー)


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