台湾旅行記2017その3

 続いて,仙洞巌です。どこでこのお寺のことを知ったのかは既に記憶の外ですが,とりあえず,ここに面白いお寺がある,という曖昧な情報だけをもとに,乗り込んでみました。貴重な1日の基隆滞在時間をこんな曖昧な情報で費やしていいんでしょうかね。まあ,旅行ってそんなもんですよね。
 この仙洞巌,英訳ではFairy Caveと出ています。Fairyってのは,フェアリーステークスでおなじみの妖精ではなく,仙人のことのようです。Weblioをみると,妖精のほかに「同性愛の男,ホモ」という訳があてられています。地味に恐ろしいな,フェアリーステークス。

 解説板を読むと,清の時代には要塞だったとか,清仏戦争において基隆攻略の拠点になったとか,なかなかに興味深い場所です。そして,漢字部分を見ると,西国三十三ヵ所のの9番・10番があるっぽいですな。英語と台湾語の解説にずれられると困りますな……。「西国三十三ヵ所」をどうやって英訳するのか分からんけど。

バス停 山門 解説板 進みます 参道脇の石仏 こんな感じのところを入ります

 中に入ります。このお寺のなんたるかをまったく理解せずに乗り込んでおりますので,まさか洞窟の中にお寺があるとか考えてもおりませんでした。びっくりですね。
 そして,さらにびっくりなことに,岩に文字が刻まれております。おお,これは凄い。
 いやもちろん,過去磨崖仏は何回かは見てきております。しかしですね,洞窟の中に,こんなにでかでかと,あるいは細々と文字を刻み込み,金で色をつけているってのはなかなかに壮観であります。刻み込んだ人々の信心深さが分かりますな。

正面を向くとこんな感じ
これだけだと,単に洞窟内の仏堂,という感じですね
様々な仏像が置かれていて
正直奥までよく見えない
こんな文字が刻まれています こんな仏像も
日本でいう五百羅漢?
カラフルに塗られた仏像も 右奥に進む 磨崖仏 振り返る
これは多分落書き 奥の広間 これらは磨崖仏ではない ご本尊?
その他の磨崖仏

 さて,最初に入った広間から,左に折れることができます。Max10人という狭いスペースであることが予告されておりますが,漢字でしか書かれていないので(多くは台湾人よりもデブいであろう)西洋人は読めないでしょうから,奥で渋滞起こすこともあり得るのではなかろうか……。それとも,西洋人はこんなところに来ないのか。
 このスペース,確かに狭かったです。背中に背負ってたリュックがこすれました。壁に水滴がついていて,肩にこすれてちょっと冷たかった。そして,なにより,足がやばいときに来るべき場所じゃ無いな……。中腰がきついぞ。まあ,そんな程度で,無事突破できました。NPが突破できたんだから,小錦や大乃国でもない限りは突破できるのではなかろうか。但し,離合は絶対的に不可能なので,乗り込むかどうかは耳を澄ませつつ慎重に判断すべきですな。

 奥には,ちょっとした広間と仏像が鎮座してます。この仏像,タイルの中に鎮座しているんですが,なんか周りがタイルだとありがたみが薄く思えちゃいました。なんでなのだか,自分でも分かりません。もしかしたら無意識のうちにトイレを想起してるのかもしれん。

10人以内! こんな道をひたすら進む こんな場所にも落書きする人の落書きにかける思いは凄いと思う
奥のスペース
台湾なので,きちんと
膝をつくことができます
石仏 振り返る 右奥にもまだスペースは
ありそうでした

 てことで,仙洞巌参拝終了。市内に戻るか,と思ってふと見ると,佛手洞なるものへの案内が出ております。なんだか分からないけれど,徒歩3分なら近いので行ってみることにしました。

 外には中の地図が出てましたが,まあなんとかなるだろうと思って,とりあえず写真を撮っただけで中に入ります。これが実は大惨事を引き起こしていることに,本当に今気付きました。

3分で着くらしい 内部案内
とりあえず写真だけ撮って
先に進みます
下へ降りていく
探検っぽくていい感じです
内部はこんな感じ凄い洞窟です
基本はこのサインを追う こんな道を行く
そこそこ狭いですが,さっきの道に比べたら余裕
こんなスペースがたくさんあります。
かつては仏像が置かれていたのか……?

 てなわけで,洞窟探検気分を味わいつつ,ここにもやはり大量に存在する落書きを見て落書師の皆様の落書に賭ける思いを感じ,仏像が安置されていたっぽいスペースを見てふんふん思いつつ,いよいよゴール地点到達です。ここだけライトアップされてるのでゴールであることはよく分かります。

 目の前に現れたのは,上から3本の指が突き刺さったような,岩の柱。これを見て,巨人の手だと思ったわけですな。そこで佛手洞という名がつけられたわけか。事前知識ゼロで乗り込んだ分,こういうものを見られたときの驚きもひとしおです。いやあ,期待してなかったけど,来てよかった。てか,凄いなこれ。自然の力って偉大ですな。
  ……
  ……
 ……という,自分の感動と驚きは,全て間違いでした。

 ここで最初の地図を見てみましょう。はい,違いますね。3本指ではありません。5本指で,もっと「手」です。
 そして,解説文を読んでみましょう。"On the ceiling of the innermost chamber"とありますね。英語が分かってないNPにも分かります。天井です。
 つまり,自分は,違うものを見て凄い凄いとはしゃいでいたのであります。

 いやね,もちろん,人間,何を見て何を思うかなんて自由なわけですよ。例えば星空を見て,「こいぬ座があるぞ」と言われて,本来のこいぬ座とは異なる星をつないで「おお!こいぬ座だ!」と喜んだ人間は絶対たくさんいるはずなんですよ。なんてったってこいぬ座なんて星2つなんだから。
 でも,この佛手洞の手は,こいぬ座に比べてあまりに「手」なんですよねえ。しかも,こいぬ座なんて冬に晴れれば毎晩見られるわけで,おそらく二度と来ないであろう基隆の洞窟でしか見られないものとは訳が違います。
 せめて,気付かないまま終われば幸せでいられたんだけどねえ。救いようがないな,これは……。

 いやほんと,なんだかなあ。あらためて写真を見ると,光が上を向いてるんですよね。これを見てたときは,演出だと思ってたんだけど。あああ。ほんと馬鹿馬鹿馬鹿。

着いた〜〜 手前(写真上部)の天井に
確かに「手」がありますね
嬉しそうに「3本指」を撮っている図

 と,いうわけで,帰国してから1年以上経ってから衝撃の事実が判明してしまいましたが,まあ,これも1つの楽しい旅行の思い出です。



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