ベトナム旅行記その5~メコンツアー

10 メコンツアーへ~ネズミと墓と

 おはようございます。旅行者の朝は早いのです。
 昨日とはうってかわって、本日は日本人のみのツアーであります。果たしてどんな集団になるのか。1人者のアラフォーおじさんには居場所はあるのか。

 この日は、昨日のような大型バスは使わず、ミニバンで移動です。私は昨日同様ツアーオフィス前で乗り込みましたが、ホテルでピックアップされている方もおられました。
 メンバーは、お子様2人と母祖母の4人家族、女子2人組、女子3人組、女性1人、NP。をい、男性がお子様とNPしかいないではないか。誰もベトナムのギャンブル事情について語りそうな人がいないぞ。これはアウェー必至。
 ……ということはなく、普通に楽しく終わりました。もちろん、若い女子集団と会話はしてませんが、家族4人組のおばあさんと話したりはできたので、まあよかったです。内心では「ゴールデンウィークにこんな所に来てるおっさん気持ち悪い。大人しくかしわ記念に行ってればいいのに」と思われていた可能性は否定できませんが、とりあえず明示的にそういう発言はされなかったので気にしないことにします。

 この日のガイドはブンさん。名前は「平和」という意味らしいです。昨日クチトンネルに行ってきたばかりの身としては、いろいろと考えさせられる名前です。
 一行はメコン川目指して車で突き進みます。
 
 ブンさんのお話をメモしたものを以下に。犬だのネズミだのカブトムシだの、ブンさんが説明したと言うよりは自分は何故それを嬉しそうにメモに残したのか、という感じですね。
 - 犬。南の男性は酒の肴、北部は全員食べる
 - ねずみ。ココナッツネズミ。ココヤシの上に住んでいて、汚くない
 - カブトムシの幼虫。ココナッツにたまごをおとす。生きたまま食べて、頭を捨てるらしい
 - 給料月3万。ホンダは20万、カワサキは250万くらい。日本製は壊れないから好まれる。日本製90%。大人は二人まで
 - 畑は米作。三期作

 自分がスマホにとったメモなので、内容の信憑性はかなりイマイチです。聞き間違い・打ち間違いの存在の可能性は極めて大きいです。
 それにしても、米の三期作というのは、土が枯れっ枯れにならないのか(肥料使いまくりじゃないのか)心配になります。メコン川がそれだけのものを運んできてくれているのでしょうか。適当に「ベトナム 三期作」と検索したところ、ドイモイ以降二期作が広まり、堤防技術の発展で二期作→三期作になることはできたけれども、やっぱり肥料は相当量使ってるっぽいですね。あと、「川」というと「エジプトはナイルのたまもの」ということわざ?を聞かされてきた人間として、洪水で肥沃な土とかを運んでくるイメージしか持ってなかったんですが、塩水遡上問題があるんですね。考えてみたらそりゃそうだ。メコン川も味方になることもあれば敵になることもあります。
 それにしても、「ドイモイ」って言葉はかなり久しぶりに見た気がします。

 そんなわけで、ベトナムの車窓から。

ベトナム国旗っぽい旗と、鎌と槌の共産主義っぽい旗 有名なシンツーリスト
旅行客が一杯います
車内からバイク軍団を見る
横のおじさんはマスクしてます。
私もベトナムでウロウロするときはマスクしてました
そのおかげで、2020年初めのマスク騒動の時は
旅行鞄の中からマスクがいくつか発見されてたすかりました
旗が落ちてますが
これでいいのでしょうか
(落とした人の命は
あるのでしょうか……?)
ブンさん

 ネズミ料理については、検索してみたところ、朝日新聞の記事YouTubeがヒットしました。朝日新聞はなにやってんだ。National Geographicのページもヒット。
 もちろん、都会にいる最近まみれのネズミではなく、田舎のネズミを食すようですが、それにしてもちょっと想像がつかないな。同じゲテモノでも、ナマコとかタコとかイナゴみたいな「見た目が食物じゃない」奴らとは違い、「ネズミ=細菌がいて危険」というかたちで危険物として認識しちゃってるので、どうしても脳が料理方向に向かない。「おまえらフグ食べといてネズミにだけその扱いはないだろ」と言われたらその通りだと言わざるを得ないのだけど。

当時ネズミを検索していたらしい Gà Taは鶏 、Muối Ớtは塩とこしょうであるとGoogle翻訳先生が言ってます

 市街地を抜けます。
 自分のメモによると、高速の道路は南方面の方がいい、とのことです。
 ただ、高速は片側2車線の区間が多く、東南アジア~南アジア的な運転も相まってグダグダな部分も多かったようです。

車内 料金所を抜けていきます Bump 路肩を進む車もいる

 さて、田舎地帯に入っていくので、車窓には畑が広がります。これが三期作の稲作耕作地ですね。
 そして、田んぼの真ん中に何やら気になる人工物があります。聞いてみると、これらはお墓であるとのことでした。ずいぶん目立つ人工物です。まあ、日本でも石碑的なものは大きく目立たせますし、こういうのもありなんでしょう。なお、どうも土葬のようで、30年以上経つと骨になるので掘り起こしてお寺に入れることもある、とのことです。土葬だからこそ目立つ構造物の下に入れないといけないのかもしれないな。
 ちなみに、お墓をデカデカと設置するのはいいとして、土地制度について聞いてみたところ、土地は所有可能であるとのことでした。ベトナムの法制度についてはよく分かってないのですが、そういうもんなんですね。

田んぼが続く 立派な家が建っています
田んぼのど真ん中に気になる人工物。これがお墓なのであります

11 永長寺

 一行はミトー市内の永長寺という仏教寺院に到着しました。
 共産党と宗教、というととかく相性がよろしくないイメージですが、一応宗教としての仏教は認められているようです(「認める」という表現が適切なのかは分からない)。Wikipediaにも内容は薄いながらも「ベトナムの仏教」という項目があります。ちなみに、検索していたところ、日本の本庄市にある大恩寺がベトナム寺院として、コロナ禍で苦しむベトナム人たちの助けになっているようでした。

 そんなベトナム。割合的には、仏教が70%、キリスト教20%、その他カオダイ・ヒンドゥー・イスラムなどの宗教があるようです。昨日見たカオダイ教は、12時に1時間お祈りしなければならないので、若い人からは忌避される傾向にあるとのこと。
 ベトナム仏教におけるこの永長寺の重要性はよく分からないのですが、とにかくデカい寺院であることは事前知識として仕入れていました。一応、英語版Wikipediaベトナム語版Wikipediaに項目があるようなので、暇ができたときのためにリンクだけ貼っておこう。パッと英語版とベトナム語版のGoogle英訳を見た限り、この寺院ができたのは19世紀と、わりと最近ですね。まあ、日本のように民族間戦争がなかった国とは宗教の安定性が違うものな。ミーソンやドン・ジュオンなどの遺跡は仏教美術で名高いですが、破壊されちゃってるものなあ……。

山門

 気付いたら、天気は雨です。ベトナムにはレインコート持参で来ましたが、小さいナップサックには入れずに来てしまいました。そんなときに限って雨になるから嫌になりますね。まあ、気にしないことにします。
 中は自由行動ということで、ふらふらします。なお、本堂?内は基本的には靴を脱いで移動することになります。
 それにしても、日本であれば、このレベルの観光寺院ならばほぼ100%境内地図がどこかにあるわけですが(なんならパンフレットも)、ここにはそんな軟派なものはありません。荘厳な宗教施設にはそんなものは不要なのです。

 歴史的なことはわからないので放っておきます。19世紀創立のお寺がどうやってこんなに大きくなったのかにはちょっと興味はあるけど。
 内部構造。本堂?は、真ん中に中庭があって、そのまわりをぐるっと囲む方式です。
 様々な仏像が祀られているのは日本に近いです。ただ、色々なご位牌や遺影、さらには骨壺っぽいものが多数祀られており、このあたりは日本との違いですね。
 真ん中にはバックに電飾のある仏像が鎮座しています。バックに電飾、というと、ペナンのビルマ寺院を思い出します。ただ、仏像は面長ではあるものの、童顔ではなく、日本の仏像に近い見た目ではありますね。

なんとなくベトナムっぽくない、不思議な外観 中庭 永長古寺。祖印重光。
別のお寺の解説をした方のページですが、
祖印重光とは「祖師の足跡は大切な光なり」
という意味のようです

 本堂?を一通りまわり終えたので、外を歩きます。
 やはり目立つのが3体の白い仏像軍団。でかいです。大きな建物を見ると地震のことが心配になってしまうのは日本人の性なのではないかと思いますが、ベトナムにも一応地震はあるようですね。まあ、頻度も規模も日本の比ではないみたいだけど。
 雨量は多い国だろうに、そこまで汚れてるように見えないのは、遠目に見てるからでしょうかね?

よく分からない3連の塔 鶴と亀
観音様かな?
ライトアップされそうです
蓮池 仏像
寝釈迦 布袋さんに近づいていきます
あらためて本堂
こうやって見ると
どこかの宮殿かホテルみたいです
あらためて山門 浄土玄門 陶器などが埋まってます 鎮静山門 鯉のゴミ箱
入れるのでなく、
何かを吐き出そうとしてる
ように見えてしまいます
立仏に近づく 立仏と、奥に布袋さん 立仏

12 メコン川を渡る

 続いて、メコン川を橋で渡り、対岸に渡ります。かの有名なメコン川を渡る、というのはなかなかに感慨深いものがあります。まあ、今となっては橋と車で特に苦しむこともなく渡ってしまうわけですが、世が世ならここを渡るのも命がけだったのかもしれません(このあたりの歴史知らんけど)。さらに書くと、これを書いてる時点でラオスのルアンパバーンでメコン川を再訪していて、若干感動が薄れているのも事実です。

 メコンの意味は、我らが日本国外務省によると、「一説によると「メー」はタイ語やカンボジア語で「母」を意味し、「コン」は「水」を表すカンボジア語からきているそうです。つまり「メコン」は“Mother Water"、日本語にすると「母なる川」というわけです。」ということですので、これを信頼しておくことにします。ちなみに、Wikipedia先生は、「メ(メー)はメーナーム(川)の短縮語、コン(コーン)の意味には諸説ある。有力な説は、コーン(Khong)はサンスクリット語のガンガ(ganga=ガンジス川)の転訛とするもの。すなわち、メコンは(ガンジス川のように)偉大な川、大きな川と解釈する。」という説を採用しています。外務省とWikipediaの説が対立するというなかなかに興味深い事態になってますね。ところで、Wikipedia先生はこういうときに説の典拠を示さなくていいんでしょうか。

 このメコン川、ブンさんによると現地ではクーロン川と呼ばれているようです。私のメモには「9流の意味」とありました。3年経ってからメモを読むと、「9流」は一流、二流……の果ての9流に読めてしまって、頭の中がはてなマークになっていたんですが、コトバンク先生が助け船を出してくれました。9流というのは、九つの流れ。転じて9つの龍。そこで九龍→クーロンとのことです。なるほど、これなら納得です。

川が見えてきました 渡り始めます 渡っています
水上生活をしているようです 島に入ります 島を抜けてまた渡ります

 水上生活をしている人は、魚の養殖をしているとのことです。メコン川の漁業権争いとかはなかなか激しそうです。
 ちなみに、ブンさんはキリン島のご出身だとか。

 そして、びっくりすることに、このメコン川、水は濁っていますが、実は綺麗で、濾過すれば飲めるとのことです。まあ、それはキリン島で生まれ育ったブンさんだからできることであって、我らが軟弱戦後日本人がそんなもん口にしようものなら大変なことになるのでしょうが……。もしかしたら戦時中の日本軍の兵隊の方々はメコン川の水を口にされたのかもしれません。

13 演奏と果物

 しばらくすると車が止まり、歩き出します。

対岸の店の数々

 ヤシの木などがそびえる、ザ・南国です。

止まった場所 暑い国のお約束、寝そべる犬 木の下を進みます 何かの実(多分ジャックフルーツ)
お墓があります さらに進みます これもなにかの実(多分グァバ)

 一同、座席に迎えられます。目の前には美味しそうな南国フルーツ。
 昨日書いたとおり、私は「海外で生ものを食べてはいけない」という家訓のもとで生きております。そんな私の味方はバナナのみです。あらゆる外敵から皮で実を守り、しかも皮は簡単にむけて中は美味しいときたもんだ。
 問題はその他の果物です。なんというかですね、目の前にこんなのがあるのに悩まないといけないってのがもういろんな意味で悲しいですよね。
 で、今回私は家訓を破って食べました。結果、セーフでした。家訓を破った甲斐がありましたよ。

提供された果物類 安心安全
みんな大好きバナナです
ジャックフルーツの断面は
こんな感じになってます
ブンさんが実(グアバ?)をとってくれました 中はこんな感じ

 で、果物を頬張りつつ、音楽の生演奏を聴く、という流れになります。
 ブンさんも楽器を手に取って演奏されています。歌手の方が歌っているものもありました。とりあえず、ちょっとだけ録画したものを自分のためにいんたーねっとなる世界の海の中に投げてみます。YouTubeさんの著作権管理にはひっかかりませんでしたが、どう考えてもなにか問題がある気がします。演奏のみ歌あり
 もちろん、この音楽のCDは販売されております。1枚5USD。私は多分買わなかったんじゃないかと思います(記憶が曖昧。この手のCDは買った瞬間がピークなので、その後聞かずに放置されることが多くあって、聞いたことのありなしと買ったかどうかが食い違うのです……)。


 このあと、一行は歩いて船の乗り場へと向かいます。
 道中、ニワトリがおりました。タマゴのためなのか、食用なのか、それ以外の目的なのかは分かりません。

バナナ このあたりの家
コンクリート造りの平屋です
穴をつつくと蜂がでてきます
ニワトリ こんな道を進みます お墓

 ツアー後半戦に続きます。

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