9月9日
朝、顔を洗っていると廊下を犬と宿のおばさんが大声を出しながら走り回り始めた。朝からにぎやかなことである。そんな宿を後にして吉田牧場に向かった。
吉田牧場に到着。ここはかの有名なテンポイントを生産した牧場でお墓があるらしい。駐車場に車を置き、牧場の人を探そうとうろついていると1匹の犬がやってきた。そして全員のにおいをかぎはじめて。一通りかぎ終わると回りをぐるぐるし始める。しばらくするとようやく牧場の方に会うことができ、お墓参りの許可をもらう。そして、お墓をめざして歩きだした。すると、何と犬も一緒に歩きだしたのである。一緒というよりもむしろ先導する感じで。その様子から犬は「誘導犬」と名づけられた。誘導犬について歩くこと数百メートル。ようやくお墓に到着。テンポイントの他にもキングスポイントやプリティキャストなど何頭かのお墓があった。そして静かにお墓参り。戻ろうとするとやはり誘導犬が一緒についてきた。
続いて、吉田浩三牧場にむかった。このあたりには吉田という名前が多い。親戚なのだろうか?そして、吉田浩三牧場のあたりについた。しかし、どれがそれなのかがわからない。車で道を進んでいくと通行止めになってしまった。ここで断念。次の目的地、岩見沢に向かうことにした。
岩見沢での目的はもちろん、ばんえい競馬観戦。世界中で北海道でしかやっていないタイプの競馬である。市街地から少し離れたところに競馬場はある。わくわくしながら入場。すごくほのぼのとしていい感じの競馬場である。とりあえずレースを見た。ばんえいのレースと平地のレース観戦の最も大きな違いはばんえいは馬と一緒に移動しながら観戦できることである。ばんえいのコースは200メートルで障害が2つある。そこを埒沿いに歩いてみるのだ。しかし、スタートから第1障害までは各馬元気があるので意外に早い。第1障害を越えてからは数メートル歩いては止まるということを繰り返しながら進んでいく。ここで飛ばすと馬はばててしまうようである。そして、第2障害の手前で全馬そろってとまる。ここが最大の見所だ。第2障害は第1よりも高く。力をためて勢いをつけ一気に超えなくてはならない。ここを超えた順番がかなり勝敗に影響する。最後の直線は馬が止まらないことを祈るだけである。ここでも突然歩くのをやめてしまう馬がいるので油断はできない。そして、ゴール。平地は鼻が入った瞬間にゴールだが、ばんえいはそりの後ろが通過したらゴール。最後まで気がぬけない。
レース後、次のレースのパドックに行った。パドックではすごい迫力の馬がぐるぐる回っている。しかし、そこまでは普段と同じである。騎乗合図がかかってからが、驚いた。そもそもばんえいの馬に騎乗することが意外だった。本馬場入場は騎乗して入っていくのである。それもあぶみ無しの馬に。さらにパドックで騎乗すると厩務員は離れてしまい、騎手だけが乗ってぐるぐる回っているのである。突然、走り出す馬もいるのでこれはなかなか怖い。
そして馬券を買うのだがどうやって予想していいのかが全くわからない。コースの水の含有率が0.5%と表示されているが、これをどう予想に反映させていいかわからないし、コース適性もあるらしいがそんなのもわかるわけがない。結局、新聞の印を信じて買ってみた。そしたらはずれた。かすりもしなかった。しかたがないので次のレースからは騎手買い。リーディング5位以内の騎手を中心に購入。そうしてらようやくかするようにはなった。騎手といえばばんえいには佐藤さんという女性騎手が1人いる。彼女は人気者である。彼女が乗るだけですぐに1番人気になるのである。あるレースで彼女が1番人気になった。ところが、残念なことにその馬は第2障害を越えることができず、かなり時間差のついたビリとなってしまった。その時、彼女にあびせられた野次はすさまじかった。「途中でしょんべんしてんなよ」という感じである。
しかし、次に彼女が出走したレースでは見事勝利。その瞬間、すごい量の拍手が送られた。やはり彼女はみんなに愛されているのである。
ばんえい競馬観戦後、白馬は洞爺湖に向かう。白馬得意の強行軍である。途中、札幌付近でびっくりドンキーで夕食。どうやらこれも定番になってきた。さらに車でひた走る。山の中で休憩をとり、星を見た。きれいだった。僕が中学受験でつちかった星座の知識をいかんなく発揮し、星空を解説した。さらに車で走る。それは全て夜間ドライバーの役目である。そして、ようやく到着。
白馬にはもったいないような高級そうな宿であった。もったいないといえば新潟遠征なのだが、それはおいておこう。入るとまずおしゃれなバーが目に入った。そして、ランプがたくさんかざってあったりする。卓球もやり放題らしい。そんな中をお手軽値段で泊まれるのだ。そして、部屋に通された。係りの人の話によるとこの部屋はトイレが使えないらしい。どうりで安いわけだ。納得した。そして、とりあえず窓際のイスに座ってくつろいだ。と、その時突然部屋の電話がなったのである。「フロントですけど、実はお通しする部屋を間違えました。」なんだそりゃ。ということでなんと部屋の移動を命じられたのである。いかにもひどい扱いである。そして複雑な構造の宿を歩くこと数分。ようやく別の部屋に通された。それにしても、増築を繰り返したらしく、中が広い。迷いそうである。通された部屋は一応トイレも使える部屋であった。どうやら、他の客から隔離されただけのようである。そして、温泉につかり長い一日が終わった。